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【エネルギー全般・政治経済】

中国が国家エネルギー基金設立へ (08/07/17)
2008/7/19
中国【エネルギー全般・政治経済】

 北京理工大学中国産業投資基金研究センターは先頃国家能源委員会弁公室の承認を得て、国家エネルギー金融システムの構築と「中国エネルギー資源開発銀行」について研究を展開することになった。同センター主任の崔新生教授に話を聞いた。以下、崔教授の解説。

 中国のエネルギー産業は危機に直面し、エネルギーセキュリティも大きな課題を負っている。その要因の1つは、国際エネルギー市場において中国が価格決定権を有していないことだ。特に国際石油価格の高騰に対しては、なすべき術は極めて少ない。エネルギー基金を基礎とするエネルギー金融システムは、中国が複雑な内外エネルギー分野において戦略投資を模索するのに役立ち、エネルギーセキュリティの維持につながる。

 中国がエネルギー価格決定権を握るのは容易なことではない。重要な点は、中国のエネルギー所有制構造が海外の資源獲得にとって不利であることだ。また、民営石油企業は実力が十分でなく、海外における探鉱リスクの負担や技術的なハードルの高さに対しては力不足だ。また、国有石油企業は実力があるが、地政学的な圧力を受けやすい。中国海洋石油(CNOOC)がユノカルの買収に失敗したのはその一例だ。

 しかし、基金には本来所有制の区別がなく、エネルギー金融システムに至っては混合所有制の概念が当てはまる。基金の形で資源の探索や協力を行なえば、不必要な面倒を避けることができる。米国は事実上、先進的な金融システムを武器として世界をコントロールしている。

 中国のエネルギー分野は段階別の開放を行なうと良い。つまり、上流では国有企業が絶対的経営権を握り、中流は適度に開放し、下流は完全に開放する。その中で、国家エネルギー基金は、上流分野の資源を基金に帰属させ、政府は資源に対して価格決定を行なう。同時に石油企業大手は公開入札を行なって、資源の収益は最終的に基金に反映される。

 国家エネルギー基金が発足すると、あらゆる中国人は投資して基金の出資者になることが出来る。こうすることで、一般庶民もまた真の意味で国の資源と富の成長からの利益に与ることが出来るのだ。

 (上海証券報 7月17日)