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中国
【石油・天然ガス】

欧州天然ガス価格高騰で中国の天然ガス価格交渉がますます困難に (08/07/18)
2008/7/22
中国【石油・天然ガス】

石油価格高騰に伴い、欧州の天然ガス価格は1年で2倍になったが、一方、ロシアは対中天然ガス輸出価格を欧州向け価格並みにするよう計画しているため、今後、中国の天然ガス価格交渉はますます不利なものになる。ケンブリッジ・エネルギー・リサーチ・アソシエイツ(CERA)が表明した。

 CERAは、石油価格が1年前の1バレル70ドルから現在140ドルに高騰したため、天然ガス価格も年初の350$/千m3から2009年4月には730$/千m3になるとの予想を示している。また、欧州で一般に行なわれている天然ガス長期売買契約についても懸念が高まっている。この種の契約は石油製品価格とリンクしており、欧州天然ガス価格の変動から石油価格の変動まで約9ヶ月のタイムラグがある。現在の原油価格の水準からは、今後の天然ガス価格も相当高い確度で試算することが出来る。

 一方、現在も続いているロシアから中国への天然ガス輸出価格交渉においても、上述の予想は大きな障害になっている。ロシア最大のエネルギー企業であるガスプロムは対中天然ガス輸出価格を欧州向け天然ガス輸出価格と国内市場価格に準じて確定するとしている。業界筋は欧州の天然ガス価格が今後倍に上昇することになれば、ロシアの対中天然ガス輸出価格もこれに応じて高くなると見ている。

 結局、鉄鉱石価格交渉と同様に、天然ガス価格交渉においても中国は受身に立たされると、華東師範大学国際関係・地域発展研究所の余南平研究員は指摘する。ロシアから中国への天然ガス輸出価格が過去数年の価格を参考にして決定されることは最早根本的に不可能である。なぜなら、国際石油価格の上昇は大きな流れであり、天然ガス価格も国際石油価格の動向に追随するからである。

 また、別の国際問題専門家によると、実際、ロシアはこの数年来のエネルギー価格高騰でうまい汁を吸っており、国力の回復もエネルギー価格高騰に頼っているため、対中天然ガス価格交渉においても、ロシアの磐石の地位を揺るがすことはほとんど不可能である。

 「ロシアはカザフスタンに比べて大きな天然ガス埋蔵量を有し、価格決定能力も高いため、ロシアの対中天然ガス輸出価格がカザフスタンの対中価格よりも低くなることはまずあり得ない。当然ながら、中露の間で何らかの妥協が実現する可能性がある。すなわち、ロシアが天然ガス輸出価格でアドバンテージを得るのなら、その他の貿易などでバランスを取ることになる」と余南平研究員は指摘する。

但し、中国の天然ガス価格決定の仕組みが遅れているため、天然ガス輸出価格をめぐり中国がロシアと上述の基準に基づいて折り合うことになれば、中国のロシアからの輸入価格と国内価格は逆ざやになる。その場合、中国は天然ガス企業に補助金を交付するか又は天然ガス基準価格の引き上げを検討することになろう。



 (上海証券報 7月18日)