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【エネルギー全般・政治経済】

中露副首相級定期エネルギー協議 石油・天然ガスが重要な焦点に (08/07/28)
2008/7/29
中国【エネルギー全般・政治経済】

 先週末、中露両国は副首相級定期エネルギー協議の仕組みを確定し、王岐山副首相がロシアとの協議に当たることになった。中露両国は今後石油・天然ガス、原子力、電力等の協力を拡大するが、中でも当面は石油・天然ガス分野における協力が焦点になる。中露エネルギー協議の性格と行方について、エネルギー戦略に詳しい武建東氏に話を聞いた。

 中露エネルギー協力により、ロシアは中国という第2の石油・天然ガス貿易相手を獲得する。また、これを機に最大の輸出市場である欧州への輸出価格を引き上げるとともに、中央アジア等から中国への石油・天然ガス輸出競争においてもバランスを取ることが可能になる。一方、中国側は既定の石油・天然ガス輸入多元化戦略を進めている。折りから、半月前、中国−カザフスタン天然ガスパイプラインが着工されたが、ロシアは中央アジアから中国への石油・天然ガス輸出に焦慮を募らせ、中央アジアに対するコントロールを喪失することを恐れていると取り沙汰されている。

 貿易協力としての中露エネルギー協議

 今回の中露副首相級エネルギー協議では、工業、エネルギー、通信等を担当する張徳江副首相ではなく、商務や金融を担当する王岐山副首相が中国側代表になった。つまり、今回の中露エネルギー協議は工業問題ではなく、貿易問題と受け取ることが出来る。商品の金融化は国際的な潮流であり、中露エネルギー協力問題は、中国がロシアで油田開発に投資することでもなければ、ロシアが中国の油田開発を援助することでもない。両国は資源開発に対して極めて厳格な管理を行なっているからである。こうした協力の実質からすれば、中国側が貿易担当の副首相・王岐山を協議の代表として派遣するのも自然なことである。一方、ロシア側の代表は、工業とエネルギーを担当するセーチン副首相になるが、彼はロシア国営石油会社ロスネフチの会長を兼ねている。

 今回確定された中露エネルギー協議の仕組みは、第1に、協議代表のクラスを決めたこと、第2に定期協議にしたことが大きなポイントである。これまで石油企業間の協議が展開されてきたが、石油・天然ガス価格も含む決定を規範的な政策行動のレベルに高めるには副首相級の協議が必要である。また、これまで、中露間の首脳会談は、首相級会談も含めいずれも不定期であったが、今回、政府首脳による恒常的、固定的なエネルギー分野の長期対話体制が確立したことになる。

 協議の焦点は石油・天然ガス

 中露エネルギー協議の中で、中露間の水力発電分野の協力として中国がロシアに水力発電所を建設し、その電力を中国に送ることも盛り込まれるが、しかし、このことは中露エネルギー協力のごく一部に過ぎない。中露エネルギー協力の焦点は、当面は石油・天然ガス分野における協力になる。ロシアは世界第2の石油輸出国である。また、世界の天然ガス埋蔵量の3分の1を有し、世界第1位である。

 協議について、中露双方は石油・天然ガス分野における長期重点事業について重点的に言及している。中でもESPOパイプライン(東シベリア−太平洋パイプライン)の中国支線問題については、2009年末の着工が決まっている同石油パイプラインの1日当たり原油輸送量は160万バレルになる見込みである。

 また、アルタイ天然ガスパイプライン建設問題もまた、今回の協議において重要な議題になる。同パイプラインの建設に当たっては解決すべき問題が多い。今回の中露副首相級エネルギー協議の仕組みはこれら未解決の問題解決に役立つだろう。

 (東方早報 7月28日)