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中国
【省エネ・環境】

4種類の省エネ・排出削減指標によって地方幹部の業績を評価 (07/09/04)
2007/11/22
中国【省エネ・環境】

 8月26日、国家発展改革委員会主任・馬凱は全人代において「省エネ目標責任業績評価実施方案」を制定すると報告した。下半期以降の省クラス地方指導幹部の定期人事異動においても、この省エネ・排出削減責任制度を適用することになる。今後、省エネ・排出削減の評価は、地方政府指導幹部の行政成績評価を行う上で重要な要素となるだろう。

 同方案は、「エネルギー総合類」「エネルギー管理類」「組織体系類」及び「エネルギー技術経済類」の4種類の評価指標を設けている。

 「エネルギー総合類」は、GDP単位当たりエネルギー消費、工業付加価値生産額単位当たりエネルギー消費、GDP単位当たり電力消費の3項目からなる。

 「エネルギー管理類」は、行政各部門の間の総合政策協調や行政措置について評価を行うもの。

 「組織体系類」は、地方の省エネ・排出削減組織体系について評価する指標である。「エネルギー技術経済類」は、企業を対象にした指標であり、主要エネルギー消費製品の技術や工程におけるエネルギー消費等について詳細に規定している。

 今回の方案は、業績評価の対象を、中央の各部・委員会、省政府及び地市政府の3つのクラスに分けている。

 「経済観察報」の報道によると、この「方案」の起草に参加した中心人物は、地方政府の部門には省エネの責務を負う人間はわずか数人に過ぎないのが現実であると指摘し、「エネルギー消費統計を例に取って見ても、国家統計局はそれなりの専門要員を要しているものの、省政府クラスになると1人か2人、地市政府クラスだとさらに少なくなる。統計データがいい加減だと、その他の対策がうまくいくわけがない」と述べている。また、同人物は20%の省エネ目標は、1つや2つの部門だけで達成できるものではなく、各部門、各クラスの政府が共同して努力することが必要であり、地方の省エネ・排出削減政策において遺漏が生じた場合、その関係部門の指導幹部の責任を直接追究できるシステムが必要であると強調し、省エネ・排出削減目標を達成するには、具体的かつ操作可能な組織体系が必要であるとした。

 中央政府は環境保護、省エネ・排出削減に本腰を入れてはいるが、「緑のGDP」の公表が地方政府の抵抗によって無期延期を余儀なくされた例に見るように、地方政府の指導幹部の多くはこれまでGDPの成長を最優先課題とし、環境や省エネを極めて軽視してきた。最近になって、ようやく中央政府から環境軽視のツケを支払うよう迫られているが、地方間の経済競争にも勝ち抜く必要のある地方幹部の前に、GDPの成長と省エネ・排出削減目標達成は最大のジレンマとして立ちはだかっている。また、周知のごとく、中国の統計が信頼できないのは、地方政府のさじ加減があまりにも大きすぎることが一因になっている。「省エネ目標責任業績評価実施方案」の制定によって、こうした悪弊を改め、地方政府が意識改革を行って、GDPの成長を追求するばかりでなく、環境保護や省エネ・排出削減をGDPと同じかそれ以上に重要な成長の指標として重視し、正確な統計や科学に基づいた環境保護・省エネ政策を実施するようになるのか、その行方が注目される。

(中国能源網 9月4日)