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【エネルギー全般・政治経済】

珠江デルタなど中小メーカーの経営難で軽油需要激減 (08/09/17)
2008/9/18
中国【エネルギー全般・政治経済】

 原材料価格や人件費の上昇、輸出還付税の引き下げ、人民元高や引き締め政策等の影響で、中国国内の中小民営企業は冬の時代を迎えている。国家発展改革委員会中小企業司の統計によると、今年上半期に倒産した年間売上高500万元以上の中小企業は6.7万社に上る。特にこれまで繁栄を謳歌していた長江デルタ、珠江デルタでも、多くの中小メーカーが減産や生産停止、場合によっては倒産に追い込まれ、そのため、軽油需要に極めて大きな影響が出ている。エネルギー研究機関である息旺能源によると、メーカーの軽油需要が昨年同期に比べ約3分の1減少した地区もある。

 例えば、「中国民営企業のゆりかご」とも称される温州では、小型企業36万社のうち20%が、この6〜8月に減産または生産停止に追い込まれた。中国石油化工(SINOPEC)の専門家によると、温州瑞安地区のメーカーの年間軽油消費量は6〜7万トンであったが、今年はわずか4万トンに止まる見通しである。同専門家は、軽油需要激減の原因は経営難に陥った企業の激増にあるとしている。また、飲食業やホテル業など、設備の新調や更新に際して値段の安い代替エネルギーに切り替える企業が増えていることも、軽油需要激減の原因になっている。さらに、不動産業の不振のため、新規着工件数が減ったことも軽油需要に影響している。

 輸出型企業が多い珠江デルタ地区でも、輸出不振に伴って、工場の生き残りはますます困難になっている。東莞市の軽油販売業者によると、2007年第4四半期以降、珠江デルタでは1,000社以上の製靴工場が倒産し、1万社余りの香港企業が撤退した。東莞市だけでも、1,000社あった靴メーカーのうち200〜300社が倒産した。同販売業者もまた、珠江デルタ地区の工業用軽油需要は昨年に比べ3割近く減少すると見ている。

 一方、交通運輸部門の軽油需要も景気低迷によって伸び率が鈍化している。北京群鷹創業科技公司のエネルギー専門家である韓暁平氏は、新労働法の公布後、多くの輸出企業が倒産したことで輸出が減少し、その結果輸送用の石油需要にも影響が及んでいると指摘する。

 折から、今月16日、アジア開発銀行は興味深い報告を行った。同銀行のレポートは、アジア太平洋諸国が石油需要を抑えることが出来なければ、自国の経済及び世界経済に不利な影響を及ぼすと指摘し、この数年間、石油価格高騰の下でもアジアは高い経済成長を実現したが、だからといって今後の成長も石油価格の影響を受けないはずだなどと考えてはならないと警告している。

 (上海証券報 9月17日)