3年近くに及ぶ「石炭法」改訂作業も終盤を迎えており、すでに国務院の審議にかけられている。国務院の承認が得られれば、全人代常務委員会の可決を経て施行されることになる。 今回の改正のポイントは、炭鉱開発の参入基準引き上げと産業の集中度向上、そして、石炭資源戦略備蓄制度の確立。 この中で参入基準引き上げについては、1996年に制定された現行「石炭法」の参入許可基準が緩く、管理行政部門の裁量権が過大であったため、技術、設備、安全操業条件や環境保護性に劣る企業、個人が次々と炭鉱開発に乗り出し、その結果、2004年から2007年にかけて死者100人以上の重大事故が頻発したことが背景にある。石炭法改正作業の主要メンバーであり、煤炭情報研究院法律研究所である司坡森氏によると、今回の改正案によって、産業計画の法的効力が高まり、事業乱立など無秩序な状況が改められ、生産能力の投入が合理的に計画されることになる。実際、改正案を見ても、炭鉱経営の資格や生産許可の取得条件が大幅に厳格化されている。 参入基準引き上げには、産業集中度を高める狙いがある。中国の石炭産業は集中度があまりにも低く、構造が不合理であるという問題を抱えている。司坡森所長の研究によると、2000年時点の石炭企業上位4社の市場シェアはわずか9.87%、その後、2003年以来の小炭鉱閉鎖措置によって、2007年には上位4社のシェアは18.71%、上位10社のシェアは28.63%に上昇したものの、中国の小炭鉱の数は依然として異常に多い。また、今年初めの大雪災害に際して、産業集中度の高い石油産業のエネルギー分配供給効率に比べ石炭産業の効率が低かったため、政府上層部が石炭産業の集中度向上を決断したとも見られている。 その他にも、今回の改正案では、資源の総合利用、環境保護、就業人員の権利、業界管理等についても補足されている。特に総合利用については、カオリン、炭層ガス、坑内ガス等の随伴資源、水資源の浪費や汚染等の問題についても新たに章を立てて規定を追加している。 また、国家発展改革委員会、国土資源部、国家安全生産監督管理総局などが錯綜する現行の石炭産業管理行政体制にもメスが入れられている。国家安全生産監督管理総局前局長の李毅中氏が度々表明していたように、炭鉱事故多発の原因の1つには、安全操業に対する監督管理体制の問題もある。今回の改正案では、能源局、経済運行局も含む国家発展改革委員会を主体行政部門として明確に規定するとともに、その他の部門の権限と職責を明確化して、権限の重複を防止している。 (第一財経日報 9月18日)
3年近くに及ぶ「石炭法」改訂作業も終盤を迎えており、すでに国務院の審議にかけられている。国務院の承認が得られれば、全人代常務委員会の可決を経て施行されることになる。
今回の改正のポイントは、炭鉱開発の参入基準引き上げと産業の集中度向上、そして、石炭資源戦略備蓄制度の確立。
この中で参入基準引き上げについては、1996年に制定された現行「石炭法」の参入許可基準が緩く、管理行政部門の裁量権が過大であったため、技術、設備、安全操業条件や環境保護性に劣る企業、個人が次々と炭鉱開発に乗り出し、その結果、2004年から2007年にかけて死者100人以上の重大事故が頻発したことが背景にある。石炭法改正作業の主要メンバーであり、煤炭情報研究院法律研究所である司坡森氏によると、今回の改正案によって、産業計画の法的効力が高まり、事業乱立など無秩序な状況が改められ、生産能力の投入が合理的に計画されることになる。実際、改正案を見ても、炭鉱経営の資格や生産許可の取得条件が大幅に厳格化されている。
参入基準引き上げには、産業集中度を高める狙いがある。中国の石炭産業は集中度があまりにも低く、構造が不合理であるという問題を抱えている。司坡森所長の研究によると、2000年時点の石炭企業上位4社の市場シェアはわずか9.87%、その後、2003年以来の小炭鉱閉鎖措置によって、2007年には上位4社のシェアは18.71%、上位10社のシェアは28.63%に上昇したものの、中国の小炭鉱の数は依然として異常に多い。また、今年初めの大雪災害に際して、産業集中度の高い石油産業のエネルギー分配供給効率に比べ石炭産業の効率が低かったため、政府上層部が石炭産業の集中度向上を決断したとも見られている。
その他にも、今回の改正案では、資源の総合利用、環境保護、就業人員の権利、業界管理等についても補足されている。特に総合利用については、カオリン、炭層ガス、坑内ガス等の随伴資源、水資源の浪費や汚染等の問題についても新たに章を立てて規定を追加している。
また、国家発展改革委員会、国土資源部、国家安全生産監督管理総局などが錯綜する現行の石炭産業管理行政体制にもメスが入れられている。国家安全生産監督管理総局前局長の李毅中氏が度々表明していたように、炭鉱事故多発の原因の1つには、安全操業に対する監督管理体制の問題もある。今回の改正案では、能源局、経済運行局も含む国家発展改革委員会を主体行政部門として明確に規定するとともに、その他の部門の権限と職責を明確化して、権限の重複を防止している。
(第一財経日報 9月18日)