10月16日、深セン市都市天然ガス正式小売料金公聴会が深セン市物価局で開かれ、専門家、消費者、経営者など20名余りの公聴代表が出席した。同公聴会では、深センの都市ガス事業を手がける深セン燃気集団の値上げ案をめぐって、公聴代表からの質問と異論が相次いだ。深セン市物価局は、公聴会の意見を取りまとめて報告書を作成し、深セン市政府の審議にかけることになる。 工商業用ガスのコストを住民に転嫁すべきでない 深セン燃気集団は、値上げ理由の1つとして、工商業用の天然ガス需要が増大しているため、広東大鵬液化天然気公司から調達する低価格の天然ガスがますます不足を来たし、深セン燃気はスポット市場から高価な天然ガスを購入することを余儀なくされているため、深センの天然ガスの総合的な調達コストが上昇していることを挙げている。しかし、多くの公聴代表は、工商業用ガス増加のコストを一般庶民に転嫁すべきでないとの考えを示している。 会計専門家の某公聴代表は次のように指摘する。深セン市物価局価格認証センターが提供した「監査報告」によると、2007年10月から2008年8月の間に深セン燃気が購入した低価格のガスは1億6,484万m3、一方、住民、学校及び公共福祉関係への販売量は1億4,943万m3で、低価格のガスは差し引き1,541万m3余ることになる。工商業向け販売量は4,461万m3であり、高価格での購入を要するガスはわずか2,920万m3に過ぎない。つまり、広東大鵬から深セン燃気に供給される低価格の天然ガスは住民、学校及び公共福祉関係の需要を賄うに十分であり、さらに余剰のガスを工商業向けに供給することも出来る。然るに、こうした状況にも関わらず、深セン燃気が依然として高価格の天然ガスを大量に購入しなければならない原因は大幅に増大する工商業用の需要にあり、そのための高価なガスのコストを住民に転嫁するのは不合理である。 深セン燃気の収益は大きく、値上げは不合理 上述の深セン市物価局価格認証センターの報告によると、パイプライン天然ガスの単位当たりコストは3.24元/m3との試算が出ている。これには住民用と工商業用のいずれもが含まれるため、住民用のコストは3.24元/m3よりも低いことになる。現在の試行料金では、深セン燃気の収益は相当大きく、さらに値上げすれば、収益はもっと大きくなる。 上述の会計専門家が都市天然ガスの2つの価格決定方式案を分析したところによると、「小売価格=調達コスト+ガス配給費用+利潤(0.10元/m3)+税金」になる。会計専門家氏の見るところでは、こうした価格算定方式は実質的に「固定利益率の下で全コストが相互に連動する価格算定メカニズム」であり、この算定方式によって価格を決定する場合、政府統制の機関と企業の間にコスト情報の深刻な非対称性が存在するため、最終的にコスト価格の実際の水準をコントロールすることは不可能になり、企業の操業コストの変化によってもたらされるコスト価格の変化を政府はコントロールする術がなく、企業もまたコスト引き下げに対して後ろ向きになる。なぜなら、このような算定方式では、たとえ企業は操業コスト引き下げに努力しても、コスト引き下げによる利益を獲得できないからである。 価格連動メカニズムはなお改善の要あり 別の公聴代表は、深セン市の天然ガス建設への投資が継続すると、天然ガスユーザーが増えるだけでなく、企業の従業員も増え、そうなれば総コストの増加と単位当たりのコストの変動がもたらされるが、その変化は同じペースで進むとは限らないと指摘し、ガス企業の持続可能な発展を確保しつつ暴利が生じないようにするには、価格算定モデルと連動メカニズムを完備することが必要であるとした。同代表は、今回の深セン燃気集団の都市ガス価格算定方式は実質的にはコスト加算モデルであるが、純利益によって価格を決定するモデル、利潤総額による価格決定モデル、準資産収益率によるモデルや投資回収率によるモデル等々も用いることが出来ると指摘した。 自然独占企業はもっと大きな社会責任を担うべし 深セン燃気集団は自然独占企業であり、より大きな社会責任を担うべきとの指摘もあった。指摘によると、深セン燃気が天然ガス料金を引き上げるのは赤字を抑えるためでなく、より多くの利益を追求するためであるが、自然独占企業である以上、深セン燃気集団はより大きな社会的責任を負うべきである。都市天然ガス価格は庶民の生活に直結する問題であり、企業の利益と庶民の生計問題が衝突する場合、深セン燃気集団は庶民の生活のために譲歩すべきであり、公共交通と同様に、たとえ赤字になっても政府が補助金を給付することもできるとした。 また、深セン燃気集団の2007年10月から2008年8月の経営費用は2億9,400万元余りに達し、出張費だけでも月々26万元余りに上っているが、こうした経営コストはなお圧縮の余地があり、ガス料金の値上げをしなくとも、経営コストを圧縮することで利益を生み出すことは可能であるとの指摘もあった。 (深セン新聞網 10月20日)
10月16日、深セン市都市天然ガス正式小売料金公聴会が深セン市物価局で開かれ、専門家、消費者、経営者など20名余りの公聴代表が出席した。同公聴会では、深センの都市ガス事業を手がける深セン燃気集団の値上げ案をめぐって、公聴代表からの質問と異論が相次いだ。深セン市物価局は、公聴会の意見を取りまとめて報告書を作成し、深セン市政府の審議にかけることになる。
工商業用ガスのコストを住民に転嫁すべきでない
深セン燃気集団は、値上げ理由の1つとして、工商業用の天然ガス需要が増大しているため、広東大鵬液化天然気公司から調達する低価格の天然ガスがますます不足を来たし、深セン燃気はスポット市場から高価な天然ガスを購入することを余儀なくされているため、深センの天然ガスの総合的な調達コストが上昇していることを挙げている。しかし、多くの公聴代表は、工商業用ガス増加のコストを一般庶民に転嫁すべきでないとの考えを示している。
会計専門家の某公聴代表は次のように指摘する。深セン市物価局価格認証センターが提供した「監査報告」によると、2007年10月から2008年8月の間に深セン燃気が購入した低価格のガスは1億6,484万m3、一方、住民、学校及び公共福祉関係への販売量は1億4,943万m3で、低価格のガスは差し引き1,541万m3余ることになる。工商業向け販売量は4,461万m3であり、高価格での購入を要するガスはわずか2,920万m3に過ぎない。つまり、広東大鵬から深セン燃気に供給される低価格の天然ガスは住民、学校及び公共福祉関係の需要を賄うに十分であり、さらに余剰のガスを工商業向けに供給することも出来る。然るに、こうした状況にも関わらず、深セン燃気が依然として高価格の天然ガスを大量に購入しなければならない原因は大幅に増大する工商業用の需要にあり、そのための高価なガスのコストを住民に転嫁するのは不合理である。
深セン燃気の収益は大きく、値上げは不合理
上述の深セン市物価局価格認証センターの報告によると、パイプライン天然ガスの単位当たりコストは3.24元/m3との試算が出ている。これには住民用と工商業用のいずれもが含まれるため、住民用のコストは3.24元/m3よりも低いことになる。現在の試行料金では、深セン燃気の収益は相当大きく、さらに値上げすれば、収益はもっと大きくなる。
上述の会計専門家が都市天然ガスの2つの価格決定方式案を分析したところによると、「小売価格=調達コスト+ガス配給費用+利潤(0.10元/m3)+税金」になる。会計専門家氏の見るところでは、こうした価格算定方式は実質的に「固定利益率の下で全コストが相互に連動する価格算定メカニズム」であり、この算定方式によって価格を決定する場合、政府統制の機関と企業の間にコスト情報の深刻な非対称性が存在するため、最終的にコスト価格の実際の水準をコントロールすることは不可能になり、企業の操業コストの変化によってもたらされるコスト価格の変化を政府はコントロールする術がなく、企業もまたコスト引き下げに対して後ろ向きになる。なぜなら、このような算定方式では、たとえ企業は操業コスト引き下げに努力しても、コスト引き下げによる利益を獲得できないからである。
価格連動メカニズムはなお改善の要あり
別の公聴代表は、深セン市の天然ガス建設への投資が継続すると、天然ガスユーザーが増えるだけでなく、企業の従業員も増え、そうなれば総コストの増加と単位当たりのコストの変動がもたらされるが、その変化は同じペースで進むとは限らないと指摘し、ガス企業の持続可能な発展を確保しつつ暴利が生じないようにするには、価格算定モデルと連動メカニズムを完備することが必要であるとした。同代表は、今回の深セン燃気集団の都市ガス価格算定方式は実質的にはコスト加算モデルであるが、純利益によって価格を決定するモデル、利潤総額による価格決定モデル、準資産収益率によるモデルや投資回収率によるモデル等々も用いることが出来ると指摘した。
自然独占企業はもっと大きな社会責任を担うべし
深セン燃気集団は自然独占企業であり、より大きな社会責任を担うべきとの指摘もあった。指摘によると、深セン燃気が天然ガス料金を引き上げるのは赤字を抑えるためでなく、より多くの利益を追求するためであるが、自然独占企業である以上、深セン燃気集団はより大きな社会的責任を負うべきである。都市天然ガス価格は庶民の生活に直結する問題であり、企業の利益と庶民の生計問題が衝突する場合、深セン燃気集団は庶民の生活のために譲歩すべきであり、公共交通と同様に、たとえ赤字になっても政府が補助金を給付することもできるとした。
また、深セン燃気集団の2007年10月から2008年8月の経営費用は2億9,400万元余りに達し、出張費だけでも月々26万元余りに上っているが、こうした経営コストはなお圧縮の余地があり、ガス料金の値上げをしなくとも、経営コストを圧縮することで利益を生み出すことは可能であるとの指摘もあった。
(深セン新聞網 10月20日)