国家統計局の最新統計によると、中国の第1〜第3四半期のGDP成長率は9.9%に低下し、特に第3四半期の伸び率は9%という5年ぶりの低水準に止まった。国際金融市場の動揺と世界経済の減速はすでに中国経済の成長に影響を及ぼし始めている。 第1〜第3四半期の9.9%というGDP成長率は前年同期の12.2%をはるかに下回り、今年上期の10.4%をも下回っているが、2008年の通年目標値8%を上回る。 データを見ると、経済成長の3大牽引車である輸出、投資、消費のそれぞれの寄与度に著しい変化が生じている。国際環境の影響で輸出の寄与度が大幅に低下する一方、これまで軟調だった消費の寄与度が上昇した。投資の寄与度は安定している。 国内市場の小売総額は急速な伸びを示し、第1〜第3四半期の社会消費財小売総額の伸び率は前年同期よりも6.1ポイント高い22%となり、うち9月は23.3%となった。 しかし、今年のインフレ率とマイナス利率が大きいため、消費には見せかけの繁栄が生じているだけであり、今年の小売総額を昨年の低インフレ下の小売総額と単純に比較することは出来ないとの見方もある。世界経済減速の中、内需拡大は中国政府の所定の政策であるが、株式市場の暴落、不動産価格の高止まり、マイナス利率等のため、内需の伸びは頭打ちになっている。上海株式指数の今年以降の累計下落幅は63%に達しており、株価暴落は消費者心理に大きな影響を与えるとともに、企業の借り入れにも深刻な困難がもたらされている。また、マイナス利率の下で消費者は手元にある貨幣の購買力低下を恐れて商品購入に走る一方で不必要な支出を抑えており、そのため上辺だけの消費の繁栄の一方で、実質的な消費需要の減退がもたらされているのである。その上、不動産価格上昇の勢いは弱まったとはいえ、住宅価格水準は依然として異常に高く、例えば、北京の住宅価格をサブプライム危機前の米欧のバブリーな価格と同じ条件で比較した場合、北京の価格は依然として米欧をはるかに上回っている。そのため、一部消費者は住宅を購入するかまたは購入計画のためにその他の支出を抑えているのであり、その結果、消費分野において奇形的な発展が生じ、住宅を除く大部分の消費分野で消費者信頼度に深刻な影響が及んでいる。 一方、輸出の伸びは鈍化し、第1〜第3四半期の伸び率は前年同期よりも4.8ポイント低い22.3%に止まった。また、同じ時期の一定規模以上の工業付加価値生産額の伸び率は前年同期より3.3ポイント低い15.2%に下がった。 先日開催された中国共産党第17期中央委員会第3回総会において、党中央は柔軟かつ慎重な経済政策を取り、内需、とりわけ消費需要の拡大、経済・金融・資本市場の安定、社会の大局的安定、民生対策の改善に力を入れて、経済の良好かつ急速な発展を引き続き推進することを打ち出した。 このことは中央政府のマクロ政策の基調が「引き締め」から「柔軟かつ慎重」に転換したことを示している。また、資本市場の安定がこのような重要会議で打ち出されたのは今回が初めてである。政府が次に打つべき経済政策を総合的に考慮していることが伺える。 すでに株式市場の面では、金利引き下げ、印紙税の引き下げ、流通株回収や、非流通株解禁に対する制限措置が取られているが、今後、新たな株式市場安定化措置が打ち出されると期待される。 また、今年下半期以降、中国政府は引き締め策を放棄しつつある。預金準備率や基準利率の引き下げ、輸出還付税率の引き上げ等の措置はそうした政策転換を示すものである。国務院もまた一連の景気刺激策を打ち出している。温家宝首相は今月17日、国務院常務会議において第4四半期の経済対策の部署を指示したが、特に中小企業の相次ぐ倒産、輸出の頭打ちや不動産市場の不景気などを焦点に、同会議は中小企業への融資拡大や技術革新に対する財政支援の強化、投資の強化、アパレル、紡績など労働集約型産業や高付加価値電気製品の輸出還付税率引き上げ、住宅取引税の引き下げ、住民の住宅購入に対する支援など様々な対策を打ち出した。 さらに、共産党中央政策研究室の鄭新立副主任が明らかにしたところによると、関係政府部門は景気を刺激するため、来年の重要政策の検討を進めている。11月に開かれる中央経済対策会議は、米国の金融危機、景気減速、需要不足等の問題に対して重要な配置を行い、政策の連続性を保ちつつも、新たな状況に対応する新政策を決定することになる。不動産対策も目下研究段階にあり、同会議において重要政策が決定されるだろう。 鄭新立副主任によると、来年は内需拡大のための重要措置が取られることになる。消費を拡大するとともに、インフラ投資を拡大することになるだろう。第17期中央委員会第3回総会は農村改革と農村の内需拡大策を決議した。また、投資を増やすには必要に応じて重要プロジェクトに依存することが必要であり、インフラ、公益事業、鉄道等の建設が加速される公算が大きい。 (外匯通 10月20日)
国家統計局の最新統計によると、中国の第1〜第3四半期のGDP成長率は9.9%に低下し、特に第3四半期の伸び率は9%という5年ぶりの低水準に止まった。国際金融市場の動揺と世界経済の減速はすでに中国経済の成長に影響を及ぼし始めている。
第1〜第3四半期の9.9%というGDP成長率は前年同期の12.2%をはるかに下回り、今年上期の10.4%をも下回っているが、2008年の通年目標値8%を上回る。
データを見ると、経済成長の3大牽引車である輸出、投資、消費のそれぞれの寄与度に著しい変化が生じている。国際環境の影響で輸出の寄与度が大幅に低下する一方、これまで軟調だった消費の寄与度が上昇した。投資の寄与度は安定している。
国内市場の小売総額は急速な伸びを示し、第1〜第3四半期の社会消費財小売総額の伸び率は前年同期よりも6.1ポイント高い22%となり、うち9月は23.3%となった。
しかし、今年のインフレ率とマイナス利率が大きいため、消費には見せかけの繁栄が生じているだけであり、今年の小売総額を昨年の低インフレ下の小売総額と単純に比較することは出来ないとの見方もある。世界経済減速の中、内需拡大は中国政府の所定の政策であるが、株式市場の暴落、不動産価格の高止まり、マイナス利率等のため、内需の伸びは頭打ちになっている。上海株式指数の今年以降の累計下落幅は63%に達しており、株価暴落は消費者心理に大きな影響を与えるとともに、企業の借り入れにも深刻な困難がもたらされている。また、マイナス利率の下で消費者は手元にある貨幣の購買力低下を恐れて商品購入に走る一方で不必要な支出を抑えており、そのため上辺だけの消費の繁栄の一方で、実質的な消費需要の減退がもたらされているのである。その上、不動産価格上昇の勢いは弱まったとはいえ、住宅価格水準は依然として異常に高く、例えば、北京の住宅価格をサブプライム危機前の米欧のバブリーな価格と同じ条件で比較した場合、北京の価格は依然として米欧をはるかに上回っている。そのため、一部消費者は住宅を購入するかまたは購入計画のためにその他の支出を抑えているのであり、その結果、消費分野において奇形的な発展が生じ、住宅を除く大部分の消費分野で消費者信頼度に深刻な影響が及んでいる。
一方、輸出の伸びは鈍化し、第1〜第3四半期の伸び率は前年同期よりも4.8ポイント低い22.3%に止まった。また、同じ時期の一定規模以上の工業付加価値生産額の伸び率は前年同期より3.3ポイント低い15.2%に下がった。
先日開催された中国共産党第17期中央委員会第3回総会において、党中央は柔軟かつ慎重な経済政策を取り、内需、とりわけ消費需要の拡大、経済・金融・資本市場の安定、社会の大局的安定、民生対策の改善に力を入れて、経済の良好かつ急速な発展を引き続き推進することを打ち出した。
このことは中央政府のマクロ政策の基調が「引き締め」から「柔軟かつ慎重」に転換したことを示している。また、資本市場の安定がこのような重要会議で打ち出されたのは今回が初めてである。政府が次に打つべき経済政策を総合的に考慮していることが伺える。
すでに株式市場の面では、金利引き下げ、印紙税の引き下げ、流通株回収や、非流通株解禁に対する制限措置が取られているが、今後、新たな株式市場安定化措置が打ち出されると期待される。
また、今年下半期以降、中国政府は引き締め策を放棄しつつある。預金準備率や基準利率の引き下げ、輸出還付税率の引き上げ等の措置はそうした政策転換を示すものである。国務院もまた一連の景気刺激策を打ち出している。温家宝首相は今月17日、国務院常務会議において第4四半期の経済対策の部署を指示したが、特に中小企業の相次ぐ倒産、輸出の頭打ちや不動産市場の不景気などを焦点に、同会議は中小企業への融資拡大や技術革新に対する財政支援の強化、投資の強化、アパレル、紡績など労働集約型産業や高付加価値電気製品の輸出還付税率引き上げ、住宅取引税の引き下げ、住民の住宅購入に対する支援など様々な対策を打ち出した。
さらに、共産党中央政策研究室の鄭新立副主任が明らかにしたところによると、関係政府部門は景気を刺激するため、来年の重要政策の検討を進めている。11月に開かれる中央経済対策会議は、米国の金融危機、景気減速、需要不足等の問題に対して重要な配置を行い、政策の連続性を保ちつつも、新たな状況に対応する新政策を決定することになる。不動産対策も目下研究段階にあり、同会議において重要政策が決定されるだろう。
鄭新立副主任によると、来年は内需拡大のための重要措置が取られることになる。消費を拡大するとともに、インフラ投資を拡大することになるだろう。第17期中央委員会第3回総会は農村改革と農村の内需拡大策を決議した。また、投資を増やすには必要に応じて重要プロジェクトに依存することが必要であり、インフラ、公益事業、鉄道等の建設が加速される公算が大きい。
(外匯通 10月20日)