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【石油・天然ガス】

中国石油化学産業 世界経済の影響で9月以降業績が著しく悪化 (08/11/07)
2008/11/12
中国【石油・天然ガス】

 中国石油化学工業協会の分析報告によると、今年に入って以来、とりわけ第3四半期以降、国際金融市場の急激な変動と世界経済の失速が中国の石油化学産業にも一定の影響が及び、産業経済に新たな状況と問題が生じている。今後の産業の発展動向も楽観を許さない。

 今年第1〜第3四半期の石油化学産業の売上高は前年同期比31.5%増の4.9兆元、利益は同3.4%増の4,187億元になる見通し。うち化学産業は31%、石油・天然ガス採掘業は53.4%の増益になるが、製油業の赤字は1,200億元余りに上る。

 しかし、9月以降、国際金融危機の広がりに伴い、中国の石油化学産業に対する影響も現れ始めた。伸びは顕著に鈍化し、価格は急落し、収益は低下傾向を示し、経営に困難が生じているのである。そのことは、次の点に現れている。

 (1) 生産量、生産高の伸びが鈍化し、一部製品の伸び率はマイナスに

 今年第1〜第3四半期の産業全体の生産高は50兆元、前年同期比32%増となったが、8月以降、生産高の伸びは著しく鈍化した。9月の伸び率は25.1%で、前月を9.8ポイント下回り、今年最低の伸び率となった。

 9月以降、5割以上の製品の生産量が前年同期比マイナスとなった。重点石油化学製品69種類のうち、56.5%に当たる39種類の生産量が前年同期に比べで減少した。例えば、エチレン生産量は前年同期比8%減、硫酸12.2%減、苛性ソーダ6.2%減。化学肥料と農薬も9月に入り、初めてマイナスになり、化学肥料1.5%減、農薬0.8%減となった。

(2) 需要が減速し、製品在庫が増加して、価格が暴落

景気の見通しが暗いため、市場は低迷している。9月の石油化学市場価格は広範な下落傾向を示し、一部製品には暴落が生じた。石油化学製品168種類のうち、価格が対前月比で下落したのは106種類、63.1%に上る。化学肥料、農薬から染料、塗料に到るまで、ゴムから化繊モノマーに到るまで、無機原料から有機原料に到るまで、すべて価格が下落している状況である。

(3) 企業のコストが増加し赤字企業が増え、収益低下
 
 エネルギー、原材料価格の高騰により、産業のコストは大幅に上昇している。今年1〜8月の産業全体の販売コストは前年同期比36.6%上昇し、うち製油コストは47.7%、化学肥料のコストは38.6%、無機塩類のコストは40.9%上昇した。

 1〜8月の赤字企業は前年同期比2.9%増の4,360社に上り、赤字額は1,605.95億元、前年同期比605%増になった。

コスト上昇によって、赤字が増え、収益は低下傾向を示している。1〜8月の石油化学産業の利益は3,693.72億元、伸び率はわずか3.7%に止まった。9月期には、製品価格の暴落により、有機化学原料、合成樹脂、合成繊維モノマーやポリマーで全面的な赤字が発生している。

(4) 輸出の伸びが鈍化し、化学肥料輸出は大幅減
 
 第1〜第3四半期の産業全体の輸出額は1,012.7億ドル、前年同期比37.2%となったものの、8月以降、輸出額は次第に低下し、伸び率は7月に比べ10ポイント低下した。中でも化学肥料の輸出は大幅に低下している。9月期の化学肥料輸出量は29.6万トン、前年同期比69.3%減、輸出額は2.1億ドル、17.5%減となった。

(5) 投資の伸び率は依然大きく、生産能力過剰が一層顕著に

 今年に入ってから、石油化学産業の固定資産投資の急拡大が続いている。第1〜第3四半期の投資額は前年同期比35.9%増の6,274.5億元に上った。中でも無機塩類の投資は66.3%増、化学肥料は46.1%増になる。また、石炭化学、基礎化学原料の投資も依然盛んであり、特に苛性ソーダ、炭酸ソーダやカーバイド等の分野では低水準で重複した建設が深刻で、生産能力過剰が著しい。需給ギャップはますます突出するだろう。

(慧聡化工網 11月7日)