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中国
【石油・天然ガス】

大きな内外価格差によって改革が迫られる天然ガス価格制度 (08/11/28)
2008/12/1
中国【石油・天然ガス】

 中国国内の天然ガス価格は主に出荷価格、パイプライン輸送費並びに末端配給費から構成されるが、基本的にはコストに合理的な利益を加算したものである。これに対し、海外では、LNG価格の算定は他の代替エネルギー価格に連動する形で行われ、天然ガス市場価格が算定基準になる。

 税関統計によると、今年1〜9月に中国が輸入したLNGは261.42万トン、昨年に比べ18.1%増加した。スポットLNG は、5月から輸入が再開されて以来、累計輸入量は60.9万トンで、LNG総輸入量の23.3%を占める。

 しかし、スポットLNG価格は原油価格の下落にも関わらず高騰が続いており、5月時点ですでにスポット価格は13$/MMBTUを超え、9月に広東省がアルジェリアから調達したLNGのCIF価格は今年最高の1,071.57$/t、20.61$/MMBTUに達している。立米に換算すると5.6元/m3を超えているのである。

 さらに、中国海洋石油総公司(CNOOC)が2006年に契約した福建LNG受入基地向けのトングー天然ガスについて、インドネシアは契約価格引き上げを求めている。

 これとは対照的に、国内パイプラインガスの価格ははるかに安い。深セン市の民生用ガス価格は3.5元/m3、上海の民生用ガス価格は値上げ後でも2.5元/m3、価格の最も高いスワトウや韶関市でも6元/m3を超えていない。

 こうした状況について、中国石油化工(SINOPEC)天然気公司の高官は27日、広東油気商会が主催した第4回LNG国際高層会議の席上、次のような趣旨の発言を行った。

 現在、国内の天然ガス価格は、天然ガスの実際の価値とはあまりにも乖離している。国際スポットLNG価格が高騰し、インドネシアのように長期契約の売り手も契約価格を引き上げようとしている。現時点で国内のLNG受入事業が長期契約を締結すると、輸出入天然ガスと国内天然ガス価格の逆さやが生じ、受入事業の運営に深刻な影響が及ぶだろう。その結果、LNG導入企業は輸入に対して消極的になり、延いては国内のガス源からの供給が十分でない地区にも影響が及ぶ。

 中国の天然ガス価格算定の仕組みは国際変動に対応できていない。また、石油・天然ガス企業は貿易のチャンスを獲得することが難しくなり、需要予測の不確実性や消費量の不安定がもたらされる。

 その上、天然ガス計量方式の面では、国際LNG価格が熱量(MMBTU)を単位としているのに対し、中国では依然として体積(m3)を単位としている。中国のコスト加算による価格算定方式は適切でない。天然ガス市場の需給関係から見て、価格水準に影響を与える決定的な要因は、個別の企業の生産コストではなく、エネルギー市場の価格水準である。
 
 価格算定の仕組みが国内外で異なっているため、輸入天然ガスと国産天然ガスの2種類のガス価格が生じている。輸入ガス価格が国内ガス価格に近づくと、LNG受入事業には損失が生じ、天然ガス市場価格に近づくと、中国の天然ガス価格決定の仕組みを改革することが強く求められる。

 中国の天然ガス源は多様化しており、第1西気東輸パイプライン、東シナ海ガス、建設中の「川気東送」パイプラインガス、国内産LNG等の国産ガス以外に、輸入LNG、中央アジアの天然ガスによる第2西気東輸パイプライン等の海外ガス源がある。現行の国内ガス価格はエネルギーの価値を体現できていない。天然ガス価格決定の仕組みを改革することは、必然の流れであるのみならず、時間的にも差し迫った課題である。

 (中国証券網 11月28日)