石炭業界と電力業界の発電用石炭価格をめぐる交渉が膠着する中、オーストラリア、ベトナム、インドネシア等の石炭輸出国はこれを大きなビジネスチャンスと見て、石炭の対中輸出拡大を図っている。例えば、BHP Billitonなどオーストラリアの石炭企業は社員を派遣して福州での発電用石炭商談会と中国の石炭価格の動向を探るとともに、中国の需要状況に応じて2009年の生産、輸出を合理的に計画配置しようとしている。

　石炭貿易に詳しい黄騰氏によると、現在石炭輸送費は極めて安く、外国の石炭企業が中国に石炭を輸出する場合、価格は問題にならず、外国石炭企業の対中輸出が拡大することになれば、中国国内の石炭企業も国内市場における地位を確保するため値下げを余儀なくされる。

　但し、石炭の輸出入については政府による固定的な枠があるため、外国企業が石炭の対中輸出のシェアを大きくしようとすれば、政府は石炭輸出入市場のバランスを取るため措置を打ち出すことになろう。そのため、外国企業が価格を引き下げて対中輸出を拡大しようとしても、中国の石炭企業にとっては脅威にならないが、しかし、外資企業が中国で操業しようとするなら話は別である。中煤能源株式公司の関係者は、もしそうなれば、外資企業と国内企業の間で中国石炭市場をめぐる争奪戦が生じ、中国企業は中国における市場シェアを維持保するため必然的に省エネによる合理化や値下げに追い込まれる。

　外資が中国の石炭市場を虎視眈々と狙っていることは、中国の石炭業界に対して良い意味での警鐘になる。中国煤炭市場網の李朝林副編集長は、中国石炭市場への外国企業の参入によって、中国の石炭企業は値下げを迫られるだけでなく、実力のない国内石炭企業の淘汰が進むと見ている。市場競争が激化すると、国内石炭産業の再編が加速され、企業の省エネや合理的な管理、品質向上が促進される。外資の参入は必ずしも悪いことばかりではない。

　（北京商報 1月7日）