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【省エネ・環境】

三峡プロジェクトの生態環境に多くの問題 ―― 武漢のシンポジウムで明らかに (07/09/25)
2007/11/22
中国【省エネ・環境】

25日、高級官僚や専門家によるシンポジウムが武漢で開催され、三峡プロジェクトの生態環境建設と環境保護計画について討議が行われたが、三峡プロジェクトの生態環境には従来の危機に加えて、さらに多くの新たな危機が発生していることが明らかにになり、予防管理の時機を失すれば、大きな災いが及ぶことになる。

 三峡プロジェクトの建設はすでに最終段階に入っている。洪水防止やクリーンな水力発電による石炭節約、1億トンのCO2排出削減など効果を上げているが、昨年以来、600kmに及ぶダム地区の生態環境や長江の河流の形態に影響が生じ始めており、影響は次第に顕在化している。

 国務院三峡工程建設委員会弁公室の汪嘯風によると、温家宝首相は今年、国務院会議常務会議において、三峡プロジェクトで解決すべき最優先問題は生態環境問題であると強調した。

 汪嘯風は、三峡プロジェクトをめぐって当初懸念されていた国力、科学技術水準や住民移転等の問題はすでに解決したものの、三峡プロジェクトが引き起こす生態環境問題を重く受け止めるべきであり、一時の経済繁栄のために生態環境を犠牲にしてはならないと指摘した上で、三峡ダム地区の生態環境は脆弱であり、自然災害が頻発し、水土の流失が激化していることを明らかにした。

 この数年、数百億元を投じて、水質汚染の防止、地質災害の管理、植林、生物の多様性の保護といった生態回復と生態建設を進めてきた。毎年公表される三峡プロジェクト生態環境監視計測によると、ダム施工地区及び住民移転地区の環境は全体的に良好である。長江本流の水質は全体的に安定し、ほとんどは第3種水質よりも優れている。

 しかしながら、中国の各クラス政府と専門家は生態環境に対する多くの危険に対して憂慮を示している。国土資源部の専門家であり三峡ダム地区地質災害防止指揮部のリーダーである黄学斌は、頻繁に発生する地質災害はダム地区の民衆の生命と安全を脅かしており、地すべりによる長江への崩落のために生じる波浪は最高数十メートルに達し、数十キロの範囲に波及することもあると指摘した。

 また、湖北省、重慶市の政府担当者は、三峡ダムの湛水後、支流の水質が悪化して、「水華(water blooms)」現象(水質の富栄養化に起因する藻類の大量発生により水が青色または緑色を呈すること)が部分的に発生し、しかもその範囲、持続時間、発生頻度が増えていると指摘した。一部の支流では飲用水に利用することも出来なくっており、香溪河、大寧河、梅溪河等で特に顕著であるとのこと。今年は支流の富栄養化のため、5万人分の飲用水が汚染された。

 湖北省では、荊江堤防の崩落が著しく頻繁になっている。

 こうした問題に対処するため、地方政府は専門や部門の垣根を超えた三峡ダム管理法規やダム地区生態環境保護規則を制定するよう提唱し、黄学斌等の専門家もダム地区における地質災害防止長期メカニズムを確立し、水質の富栄養化を制止するよう呼びかけた。

 (新華網 9月25日)