先頃開催された全国エネルギー工作会議は、今後3年間における石油・天然ガス生産の明確な目標を打ち出した。原油の生産目標は、2009年1.92億トン、2010年1.96億トン、2011年1.98億トンになり、天然ガスの生産目標は2009年860億m3、2010年1,050億m3、2011年1,200億m3になる。 このような生産目標を達成するには、石油・天然ガスのさらなる安定供給や高効率化、クリーン化が重要な鍵になり、発展の中でいかにしてボトルネックを打破するかが重要課題である。そのため、今後3年間の石油・天然ガス産業発展計画は、次のように具体的な任務と政策措置を打ち出している。 (1) 石油・天然ガスの核心競争力を高める 1) 大型石油・天然ガス生産基地を建設する。今後3年間、松遼、渤海湾盆地など東部の油田の生産量を安定させ、タリム、ジュンガル、オルドス、四川盆地など西部の石油・天然ガス鉱区の建設を加速する。また、海上石油・天然ガス生産を高め、南方の海成天然ガスの探査・開発を新たな段階へと進める。2011年には、原油可採埋蔵量を約7億トン増やし、生産能力を7,000万トン増やす。また、天然ガス可採埋蔵量を1.2兆m3、生産能力を650億m3増やす。 2) 大型製油基地を建設する。今後3年間、東北、西北、西南、海上の4大石油・天然ガス輸入ルートの建設を加速する。中国・カザフスタンパイプライン第2期、中緬パイプライン、漠河−大慶、日照−儀征、蘭州−成都等の原油パイプラインと、蘭州−鄭州−長沙、福建、江蘇等の石油製品パイプラインの建設を重点的に進める。国内外の天然ガス(LNGも含む)、炭層ガス、石炭ガス等の資源について総合的に計画する。「川気東送」パイプライン、中国・中央アジアパイプライン並びに第2西気東輸パイプライン(深センのピーク調整用LNG受入基地も含む)、中緬パイプライン、青海・チベットパイプライン、第3陝西・北京パイプライン、東北天然ガスパイプライン網、渋北−寧夏−蘭州パイプライン複線、楡林−済南パイプライン、四川東北−四川西パイプライン等の天然ガスパイプライン建設を加速する。青島、寧波、唐山、珠海等のLNG受入基地及び関連パイプラインの新規建設を進める。 3) 石油備蓄を推進する。石油備蓄基地第2期事業の建設に着手し、地下備蓄タンクを主とする。国家石油備蓄基地の総容量を4,460万m3として、国家備蓄能力をさらに増強する。 4) 石油代替燃料の開発を進め、石油の対外依存度を引き下げる。主に石炭由来液体燃料、バイオマス液体燃料等の開発を進める。華南、西南、華東、華北に非穀物系エタノール生産基地と付属の栽培基地を建設する。山西、内蒙古、寧夏等の石炭直接液化事業並びに間接液化事業を加速、推進する。新疆、内蒙古、陝西等のDME事業を着実に推進する。 (2) 石油・天然ガス産業の持続可能な発展を確保する 1) エネルギー積極投資政策を実施する。今後3年、政府は国庫からの予算や国債を、長期のセキュリティや民生に関わるエネルギーインフラに投入する。特に、石炭、電力、石油、ガスの広域輸送ルートやパイプライン網の建設、都市・農村電力網、農村エネルギー、都市ガス網等のインフラおよび民生プロジェクトの建設、石油や天然ウラン等の戦略備蓄施設の建設に投資の重点を置く。 2) エネルギー投融資体制改革を推進する。今後3年、政府はエネルギー事業の許認可手続きを簡略化し、条件を備える同種事業については包括許認可手続きや専門建設計画による統一配置を適用する。新エネルギーや再生可能エネルギーについては、社債や上場等によるエネルギー企業の直接融資のルートと規模を広げる。また、エネルギー産業発展基金の開設を推進し、エネルギー投資の多元化を図る。石油備蓄、エネルギーリスク探鉱、炭層ガス開発利用等についても公的な専門基金を設ける。再生可能エネルギー専門基金並びに省エネ専門基金の管理体制を完備し、重点エネルギー分野の発展を支援する。 3) 財政・租税による政策支援を強化する。資源税の減免など優遇措置を制定して、石油企業が開発困難な資源や低品位資源の開発と利用を拡大するよう奨励する。 4) エネルギー法制の整備を加速する。今後3年内に「エネルギー法」「石油備蓄条例」を速やかに制定するとともに、「石油・天然ガス法」など実務的なエネルギー関連法規の制定に取り組み、エネルギーの生産、消費並びに管理を規範化して、エネルギーの健全な発展と改革のための法的保障とする。 5) エネルギーをめぐる国際協力を多角的に支援する。今後3年、政府は企業が海外において資源開発やM&Aを展開するよう奨励し、重要な海外エネルギー投資事業については、金利の補助、優遇融資や財政資本投入率の引き上げといった支援策を適用する。海外石油・天然ガス資源開発協調メカニズムの改善、完備を進める。関係諸国との間で、投資保護、二重課税の回避、司法共助等について、二国間政府協定の締結に取り組む。主要産油国の在外公館にエネルギー担当員を配置し、情報の提供や関係の疎通を行う。外貨準備の中から一定の比率を当てて、海外エネルギー探査開発専門基金を開設するよう検討する。基金は石油企業の海外資源獲得への支援に当てる。 6) エネルギー情報統計システム並びに制度を健全化する。今後3年、エネルギー情報統計システムを速やかに確立し、エネルギー予測分析と予警報を強化し、エネルギー情報申告・開示制度を規範化する。業界団体等は仲介機関としての役割を発揮し、政府の政策決定のために情報を提供する。 2009〜2011年石油・天然ガス産業発展計画で最も印象的なのは、石油・天然ガス資源獲得の多元化と石油・天然ガス生産能力の大規模化が打ち出されたことである。具体的な任務であれ、マクロ政策の設計であれ、国家能源局が今後3年間の中国の石油・天然ガス産業の発展のために制定した計画は、資源の獲得、加工、供給、使用の大規模化を高度に重視し、大規模化の道を進むことによって石油・天然ガス産業の持続可能な発展を実現するという考え方を明確に打ち出していると言える。 (中国石油報 2月16日)
先頃開催された全国エネルギー工作会議は、今後3年間における石油・天然ガス生産の明確な目標を打ち出した。原油の生産目標は、2009年1.92億トン、2010年1.96億トン、2011年1.98億トンになり、天然ガスの生産目標は2009年860億m3、2010年1,050億m3、2011年1,200億m3になる。
このような生産目標を達成するには、石油・天然ガスのさらなる安定供給や高効率化、クリーン化が重要な鍵になり、発展の中でいかにしてボトルネックを打破するかが重要課題である。そのため、今後3年間の石油・天然ガス産業発展計画は、次のように具体的な任務と政策措置を打ち出している。
(1) 石油・天然ガスの核心競争力を高める
1) 大型石油・天然ガス生産基地を建設する。今後3年間、松遼、渤海湾盆地など東部の油田の生産量を安定させ、タリム、ジュンガル、オルドス、四川盆地など西部の石油・天然ガス鉱区の建設を加速する。また、海上石油・天然ガス生産を高め、南方の海成天然ガスの探査・開発を新たな段階へと進める。2011年には、原油可採埋蔵量を約7億トン増やし、生産能力を7,000万トン増やす。また、天然ガス可採埋蔵量を1.2兆m3、生産能力を650億m3増やす。
2) 大型製油基地を建設する。今後3年間、東北、西北、西南、海上の4大石油・天然ガス輸入ルートの建設を加速する。中国・カザフスタンパイプライン第2期、中緬パイプライン、漠河−大慶、日照−儀征、蘭州−成都等の原油パイプラインと、蘭州−鄭州−長沙、福建、江蘇等の石油製品パイプラインの建設を重点的に進める。国内外の天然ガス(LNGも含む)、炭層ガス、石炭ガス等の資源について総合的に計画する。「川気東送」パイプライン、中国・中央アジアパイプライン並びに第2西気東輸パイプライン(深センのピーク調整用LNG受入基地も含む)、中緬パイプライン、青海・チベットパイプライン、第3陝西・北京パイプライン、東北天然ガスパイプライン網、渋北−寧夏−蘭州パイプライン複線、楡林−済南パイプライン、四川東北−四川西パイプライン等の天然ガスパイプライン建設を加速する。青島、寧波、唐山、珠海等のLNG受入基地及び関連パイプラインの新規建設を進める。
3) 石油備蓄を推進する。石油備蓄基地第2期事業の建設に着手し、地下備蓄タンクを主とする。国家石油備蓄基地の総容量を4,460万m3として、国家備蓄能力をさらに増強する。
4) 石油代替燃料の開発を進め、石油の対外依存度を引き下げる。主に石炭由来液体燃料、バイオマス液体燃料等の開発を進める。華南、西南、華東、華北に非穀物系エタノール生産基地と付属の栽培基地を建設する。山西、内蒙古、寧夏等の石炭直接液化事業並びに間接液化事業を加速、推進する。新疆、内蒙古、陝西等のDME事業を着実に推進する。
(2) 石油・天然ガス産業の持続可能な発展を確保する
1) エネルギー積極投資政策を実施する。今後3年、政府は国庫からの予算や国債を、長期のセキュリティや民生に関わるエネルギーインフラに投入する。特に、石炭、電力、石油、ガスの広域輸送ルートやパイプライン網の建設、都市・農村電力網、農村エネルギー、都市ガス網等のインフラおよび民生プロジェクトの建設、石油や天然ウラン等の戦略備蓄施設の建設に投資の重点を置く。
2) エネルギー投融資体制改革を推進する。今後3年、政府はエネルギー事業の許認可手続きを簡略化し、条件を備える同種事業については包括許認可手続きや専門建設計画による統一配置を適用する。新エネルギーや再生可能エネルギーについては、社債や上場等によるエネルギー企業の直接融資のルートと規模を広げる。また、エネルギー産業発展基金の開設を推進し、エネルギー投資の多元化を図る。石油備蓄、エネルギーリスク探鉱、炭層ガス開発利用等についても公的な専門基金を設ける。再生可能エネルギー専門基金並びに省エネ専門基金の管理体制を完備し、重点エネルギー分野の発展を支援する。
3) 財政・租税による政策支援を強化する。資源税の減免など優遇措置を制定して、石油企業が開発困難な資源や低品位資源の開発と利用を拡大するよう奨励する。
4) エネルギー法制の整備を加速する。今後3年内に「エネルギー法」「石油備蓄条例」を速やかに制定するとともに、「石油・天然ガス法」など実務的なエネルギー関連法規の制定に取り組み、エネルギーの生産、消費並びに管理を規範化して、エネルギーの健全な発展と改革のための法的保障とする。
5) エネルギーをめぐる国際協力を多角的に支援する。今後3年、政府は企業が海外において資源開発やM&Aを展開するよう奨励し、重要な海外エネルギー投資事業については、金利の補助、優遇融資や財政資本投入率の引き上げといった支援策を適用する。海外石油・天然ガス資源開発協調メカニズムの改善、完備を進める。関係諸国との間で、投資保護、二重課税の回避、司法共助等について、二国間政府協定の締結に取り組む。主要産油国の在外公館にエネルギー担当員を配置し、情報の提供や関係の疎通を行う。外貨準備の中から一定の比率を当てて、海外エネルギー探査開発専門基金を開設するよう検討する。基金は石油企業の海外資源獲得への支援に当てる。
6) エネルギー情報統計システム並びに制度を健全化する。今後3年、エネルギー情報統計システムを速やかに確立し、エネルギー予測分析と予警報を強化し、エネルギー情報申告・開示制度を規範化する。業界団体等は仲介機関としての役割を発揮し、政府の政策決定のために情報を提供する。
2009〜2011年石油・天然ガス産業発展計画で最も印象的なのは、石油・天然ガス資源獲得の多元化と石油・天然ガス生産能力の大規模化が打ち出されたことである。具体的な任務であれ、マクロ政策の設計であれ、国家能源局が今後3年間の中国の石油・天然ガス産業の発展のために制定した計画は、資源の獲得、加工、供給、使用の大規模化を高度に重視し、大規模化の道を進むことによって石油・天然ガス産業の持続可能な発展を実現するという考え方を明確に打ち出していると言える。
(中国石油報 2月16日)