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中国
【石油・天然ガス】

中国の今後のエネルギー価格改革の重点対象は天然ガス価格 (09/02/23)
2009/2/26
中国【石油・天然ガス】

 2月19日に発表された石油化学産業調整振興計画はエネルギー価格形成の仕組みの完備を謳っているが、これによって中国の天然ガス価格改革も進むだろう。

 中国石油天然ガス集団(CNPC)の権威筋は「第一財経日報」紙の記者に対して、中国の天然ガス価格改革は、国内外の天然ガス出荷価格の一本化が大きな流れになると述べた。

 価格改革の加速

 天然ガス事業は、上流のガス田、中流の輸送、下流の小売という3つのプロセスに分けられるが、各プロセスの価格は地域によって異なり、整った天然ガス価格決定の仕組みは未だにない。しかし、国内外の大型天然ガス事業が具体化していく中、天然ガス価格決定の仕組みを制定することが迫られている。今年か今後数年内に、龍崗ガス田、普光ガス田などの大型ガス田が生産を開始するとともに、海外LNG、中央アジアパイプラインからの輸入も拡大するからである。

 前出のCNPC筋によると、当面の動きから見て、国内外の天然ガス出荷価格は一本化されることになる。つまり、国外からのLNGやパイプライン天然ガス価格は引き続き抑制され、一方、国産天然ガス価格が引き上げられる見込みである。

 中国の国産天然ガスはこれまであまりにも価格が安かった。例えば、中原油田の天然ガス価格は現在1.298元/m3であるが、広東大鵬LNG事業の入荷価格は約1.6302元/m3である。

 国家発展改革委員会は2005年に天然ガス出荷価格の改定を行い、天然ガス価格を1級と2級に分けたが、1級は優遇価格が適用され、例えば化学肥料用の天然ガスはわずか0.56元/m3とされた。一方、2級の出荷価格は0.98元/m3とされた。

 しかし、ペトロチャイナ規画院の幹部によると、この価格案は海外天然ガスには適用されなかった。

 天然ガス出荷価格の一本化は困難

 しかし、天然ガス出荷価格の一本化を実現するのは容易なことではない。天然ガス開発コストは地域によって異なり、その上、現在の低い石油価格では、天然ガスの値上げも容易でない。さらに、国内外の価格を一本化した場合、ユーザーの負担は極めて大きなものになる。

 アモイ大学の林強伯教授によると、トルクメニスタンの天然ガスであれ、ミャンマーの天然ガスであれ、海外でも開発コストは異なり、しかも中国が結んでいるLNG長期契約は「テイク・オア・ペイ」方式のため、改訂される可能性は低い。また、中投証券研究員の芮定坤氏も、天然ガス価格は石油価格に連動しており、原油価格が大幅に下落している中では、国内天然ガスの値上げの余地は小さいと指摘する。

 下流のユーザーの受入能力に関しても、易貿資訊の陳力山研究員が指摘するように、「天然ガスを値上げすると、一部ユーザーは重油、石炭等の代替エネルギーを選択する可能性もあり、天然ガス産業の発展にとって不利になる」。

 さらに、芮定坤氏は、価格コスト計算の作業量が膨大なものになるため、政府が当面規制価格を継続し、税率や「平衡基金」によって企業の利潤を調整する可能性も排除出来ないと言う。

 (第一財経日報 2月23日)