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【エネルギー全般・政治経済】

【論説】2月のCPI、PPIともにマイナスになったことをどう見るべきか (09/03/10)
2009/3/10
中国【エネルギー全般・政治経済】

 中国のCPI上昇率は1月の+1.0%から2月には−1.6%になった。また、2月のPPIは−4.5%になり、下落率は1月よりも1.2ポイント大きくなり、引き続き下落傾向を示している。

 2月にCPIとPPIがともにマイナスになったことをどう見るべきだろうか。果たしてデフレを意味しているのであろうか。この点について、国家統計局筋は、今回CPIとPPIがいずれもマイナスになったのは、国際市場の初級製品の価格の著しい下落と、部分的な特殊要因の影響を受けたものであり、デフレが発生しているのかどうかは未だ判断し難いと表明している。

 経済学者の定説によると、デフレは貨幣供給量の不足に起因する物価水準の低下と定義される。しかし、中国の状況を見ると、積極財政と緩やかな貨幣政策によって貨幣供給量は充足しており、金融機関の融資も大幅に増加している。通貨不足問題は存在していない。広義貨幣供給量(M2)は2ヶ月連続で上昇し、12月末は前年同期比17.8%増、1月末は18.8%増と、2006年6月以来の高い水準になった。金融機関の新規融資も大幅に増加しており、1月期の新規融資は1.6兆元に上り、2月の新規融資も1兆元を超えていると見られる。

 2月にCPIとPPIがともに下落した原因は多岐にわたるが、特に次の2点が重要である。

 第1に、国際市場の初級製品価格の持続的な大幅下落が中国にも波及したためである。世界的な経済不振の影響で原油、鉱石、金属など基礎製品の国際価格は低迷し、輸入価格も著しく低下しているが、そのことは主要生産資材価格にも波及している。2月期の国際エネルギー価格は前年同期比48.8%下落し、下落幅も1月よりも3.4ポイント大きくなった。非エネルギー価格の下落率は33.1%になり、前月に比べ9.4ポイント拡大した。金属と鉱産物価格は48%下がり、下落率は10.3ポイント拡大した。

 第2に、中国の特殊要因による影響である。例年、旧正月に当たる月の消費者物価、特に食品価格は上昇を示すが、2008年は旧正月が2月であり、その上、旧正月前に中国南部に深刻な大雪災害が発生し、その災害が2008年の2月のCPI上昇率を1ポイント押し上げた。それに対し、今年の旧正月は1月であり、しかも災害のような影響因子はなく、結局、昨年2月の基数が高かったため、今年2月のCPIが前年同期比で著しく低下することになったのである。

 さらに、前月比の価格水準を見ると、全体的にPPIの下落幅は収まりつつある。2月期のPPIは前月比マイナス0.7%であり、対前月比の下落幅は、2008年11月に比べ2.7ポイント、12月に比べ1.6ポイント縮小し、2009年1月に比べると0.7ポイント縮小した。

 (国家統計局総合司 3月10日)