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【エネルギー全般・政治経済】

【論説】中国の電力使用量の変化から読み解く経済シグナル (09/04/15)
2009/4/17
中国【エネルギー全般・政治経済】

 中国の電力使用量の変化から読み解く経済シグナル

中華工商時報 黄全権

 最新統計によると、1〜3月の全国電力使用量は7,809.9億kWh、前年同期比−4.02%になった。また、3月期の電力使用量の伸び率は前年同期より17ポイント低い−2.01%になった。

 電力使用量は依然マイナスが続いているが、そこからは様々な変化を読み取ることも出来る。

 1〜3月の全国電力使用量の伸び率は−4.02%であり、昨年同期に比べ17ポイント下がったが、3月の減少幅は−2.01%に縮小し、伸び率は昨年同月を16.43ポイント下回った。中国電力企業聯合会統計部の薛静部長によると、3月も対前年同期比の伸び率は依然マイナスではあるが、昨年10月の急激な減少に比べると、電力使用量の急減傾向には基本的に歯止めがかかっており、徐々にはあるが良い方向に向かいつつある。昨年11月、12月は前年同期比7.56%のマイナスであったが、今年1〜3月にかけて減少幅は次第に縮小している。電力需要の低下が一段落した兆しと見てよい。

 特に3月は、多くの省で電力指標の顕著な回復傾向が見られた。湖南、チベット、新疆、安徽、江西、陝西、北京、重慶では電力使用量の伸び率がプラスになり、5%以上のプラスになった湖南省の例もある。地域別では、山東、上海、安徽や、特に浙江など、華東地区の回復傾向が際立っている。薛静部長は、現地の経済状況のポジティブな変化の現れと指摘する。

 工業の電力使用量も一定程度の回復を示している。国家電網系統の第1四半期の工業用電力使用量は4,470.12億kWh、前年同期比−7.85%であったが、3月期の工業用電力使用量の伸び率は−3.49%、昨年12月の−11.49%に比べると7.88ポイント上昇したことになり、回復の兆しは顕著である。また、中国電力企業聯合会の関係者も、3月の工業用電力使用量の伸び率は昨年12月に比べ8ポイント上昇したことを認めている。

 重工業の電力使用量の回復は依然として遅れているが、軽工業の3月の電力使用量は数ヶ月ぶりにプラスに転じた。特に浙江や広東の紡績業やゴム製造業で回復が顕著であり、これらの業種が輸出型産業であることから、今後の電力の使用量と生産量の回復を占う上で大きな意味を有している。

 以上述べたように、電力使用量の部分的な変化から当面の新たな経済動向が浮き彫りになっているが、専門家や電力部門の関係者はいずれも、それによって中国経済がすでに回復基調にあると判断することは時期尚早であるとの考えを示している。ある専門家は、当面の情勢から判断して、全国の電力使用量が第2四半期に急速に伸びる可能性は小さく、電力供給が需要を上回る情勢は依然続くとしている。中国の電力使用量がプラス成長になるのは今年下半期以降であろう。

 (中華工商時報 4月15日)