中国の専門家の多くは、今回の中国アルミとリオ・ティントの戦略提携破談は中国企業の海外におけるM&Aに警鐘を鳴らすものと受け止めており、中国企業、特に中国の国有企業に対する外国からの厳しい制約に直面する中、戦略、戦術面の向上が待たれるとしている。以下、専門家による指摘。 清華大学中国世界経済研究センター所長・李稲葵 国有企業の投資は全体的に順調に進んでいない。現在は「走出去」(対外進出)の好機であるが、欧米諸国は中国の買収に対してますます警戒を強めている。国有企業の特殊性のため、その投資行為は海外からは往々にして政府の行為と見られがちであり、そのことも国有企業の海外投資が一層困難になっている重要な原因だ。企業の海外事業に当たっては、その商業的意義、非戦略的意義をより一層強調しなければならない。現段階では、投資銀行や民営企業等と連携して、投資財団や新たに企業を設けて海外投資を進めるべきであり、企業単一での大規模な海外M&Aは避けた方が良い。M&Aに当たっては全方位的な運用を強化し、交渉過程だけでなく、現地政府や相手企業の株主に対する遊説も重視すべき。また、世論対策も強化しなければならない。 長江商学院金融学教授・周春生 中国は海外M&Aの経験が乏しい。聯想、TCL、ハイアール、中国海洋石油なども含め、格別優れた成功例はない。聯想のIBM買収は大きな成功と見られているが、実際はうまくいってはおらず、すでに数億元の赤字になっている。企業は国際経験の不足やリスク評価の不足など多くの問題を抱えている。政府の全体的な計画や企業に対するリスク管理の指導、M&Aに携わる人材育成などいずれも不十分である。 商務部国際貿易経済協力研究所研究員・梅新育 中国企業はあれよあれよと言う間にオーストラリアに飛びついたため、過度の注目を集め、その結果、政治的なリスクが高まった。これを教訓として、今後は協調を強めなければならない。特に株価上昇を真の動機として海外投資を進める企業もあるので、この点、注意する必要がある。 新華社経済アナリスト・崇大海 中国企業はM&Aにおいて時間的効率性も重視すべきだ。中国企業の「提携」情報は相手側の外国企業にとって有利になる。その会社の株価や投資家の信頼度が回復すると、中国企業の本来の優位性が失われ、失敗の可能性が高まる。中国アルミの失敗はその好例。中国企業は機会があれば、好機を逸さないよう速やかに出撃しなければならない。 (経済参考報 6月8日)
中国の専門家の多くは、今回の中国アルミとリオ・ティントの戦略提携破談は中国企業の海外におけるM&Aに警鐘を鳴らすものと受け止めており、中国企業、特に中国の国有企業に対する外国からの厳しい制約に直面する中、戦略、戦術面の向上が待たれるとしている。以下、専門家による指摘。
清華大学中国世界経済研究センター所長・李稲葵
国有企業の投資は全体的に順調に進んでいない。現在は「走出去」(対外進出)の好機であるが、欧米諸国は中国の買収に対してますます警戒を強めている。国有企業の特殊性のため、その投資行為は海外からは往々にして政府の行為と見られがちであり、そのことも国有企業の海外投資が一層困難になっている重要な原因だ。企業の海外事業に当たっては、その商業的意義、非戦略的意義をより一層強調しなければならない。現段階では、投資銀行や民営企業等と連携して、投資財団や新たに企業を設けて海外投資を進めるべきであり、企業単一での大規模な海外M&Aは避けた方が良い。M&Aに当たっては全方位的な運用を強化し、交渉過程だけでなく、現地政府や相手企業の株主に対する遊説も重視すべき。また、世論対策も強化しなければならない。
長江商学院金融学教授・周春生
中国は海外M&Aの経験が乏しい。聯想、TCL、ハイアール、中国海洋石油なども含め、格別優れた成功例はない。聯想のIBM買収は大きな成功と見られているが、実際はうまくいってはおらず、すでに数億元の赤字になっている。企業は国際経験の不足やリスク評価の不足など多くの問題を抱えている。政府の全体的な計画や企業に対するリスク管理の指導、M&Aに携わる人材育成などいずれも不十分である。
商務部国際貿易経済協力研究所研究員・梅新育
中国企業はあれよあれよと言う間にオーストラリアに飛びついたため、過度の注目を集め、その結果、政治的なリスクが高まった。これを教訓として、今後は協調を強めなければならない。特に株価上昇を真の動機として海外投資を進める企業もあるので、この点、注意する必要がある。
新華社経済アナリスト・崇大海
中国企業はM&Aにおいて時間的効率性も重視すべきだ。中国企業の「提携」情報は相手側の外国企業にとって有利になる。その会社の株価や投資家の信頼度が回復すると、中国企業の本来の優位性が失われ、失敗の可能性が高まる。中国アルミの失敗はその好例。中国企業は機会があれば、好機を逸さないよう速やかに出撃しなければならない。
(経済参考報 6月8日)