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中国
【石油・天然ガス】

仏トタル社が中国−カザフスタンパイプラインに関心 (07/10/10)
2007/11/22
中国【石油・天然ガス】

10月3日、第15回カザフスタン国際石油・天然ガス大会において仏トタル社の販売・マーケットマネージャーJerome Bourcret氏は中聯油(CNPCの子会社)、PK(ペトロカザフスタン、カザフスタンに権益をもつカナダの石油会社、CNPCが買収)や中国−カザフスタンパイプラインの代表者に接触し、タトル社の原油を中国−カザフスタンパイプラインに入れる件で交渉していた。また、Bourcret氏は同大会において、タトル社が原油を中国−カザフスタンパイプラインに入れることに関心を有していると公表した。

 トタル社は、カザフスタンのカシャガン油田の権益のうち20%を有している。同油田はカザフスタン西部の都市アティラウ近郊にあり、2010年に生産を開始する予定。原油生産量は日量30万バレル、年間1,500万トンになり、うち中国−カザフスタンパイプラインには200万トンを入れることが可能と見られている。トタル社はカシャガン油田から、アティラウにあるKTO(Kaz Trans Oil)の送油中継ステーションまで約80kmのパイプラインを建設することも検討している。この中継ステーションからは、船積みしカスピ海を渡ってバクー−ジェイハンパイプラインに連携することも出来、一方、中国−カザフスタンパイプラインに連携することも可能である。つまり、もしトタル社のパイプラインをこの中継ステーションに通すと、トタルの石油製品をバクー−ジェイハンパイプライン経由で欧州市場に輸送することも、中国−カザフスタンパイプラインによって中国に送ることも出来るのである。バクー−ジェイハンパイプラインはCBC投資グループに属しており、トタルはジェイハンパイプラインの株主でもある。当然ながらトタル社の原油は自社の投資しているパイプラインに入れることが優先される。しかし、トタル社が中国−カザフスタンパイプラインに入れることを選択肢の1つとしているのは、中国の需要が安定しており、期間も長期にわたるからである。一方、欧州市場は需要の変動が大きく、需給が安定していない。

 トタル社が希望通りに原油を中国−カザフスタンパイプラインに入れることが出来れば、中国−カザフスタンパイプラインの第2期・第2段階のプロジェクトにとっても大きな支えになる。現在アティラウからケンキヤクの中国−カザフスタンパイプラインは、ケンキヤクからアティラウの方向にしか送油できない。この区間は2005年に建設されたが、アクチュビンスク油田の原油をアティラウに送り、船積みしてからカスピ海を渡って欧州市場に販売するのが目的であった。中国−カザフスタンパイプライン第2期の建設に伴い、アタス−ケンキヤク間は2009年末に運転を開始する予定であるが、アティラウ−ケンキヤク間のパイプラインの送油方向については見直しが生じる。つまり、従来の西のカスピ海方向への送油から、中国向けの東への送油に変更が生じるのである。しかし、アティラウ−ケンキヤク間の送油の方向を変えるには、既存のパイプラインの改造が必要になる。CNPCの計画によると、この改造工事は中国−カザフスタンパイプライン第2期プロジェクトの第2段階、2009年以降の実施になり、カシャガン油田の生産開始と同時になる。

 今回、トタル社が名乗りを上げたこともあり、中国−カザフスタンパイプライン第2期・第1段階の着工と建設に伴い、第2期・第2段階の改造工事も速やかにタイムスケジュールに入れることが求められよう。