最近、中国石油天然ガス集団(CNPC)と中国海洋石油(CNOOC)の山東省における動きが活発である。CNPCは山東省最大の地方製油企業である東明石化との間で日照〜東明原油パイプラインの共同建設で合意し、CNOOCは山東海化集団を傘下に収めた。 一方、これに対し、山東を地盤とする中国石油化工(Sinopec)は目立った動きを示していない。Sinopec内部筋は、Sinopecの今後の目標は南方へ発展して、「北油南運」問題を解決することであると表明している。 山東省最大の油田である勝利油田と山東省に近い河北省の中原油田はSinopecが有しており、山東省内の地方製油企業の大多数はSinopecの「下流工場」として、Sinopecから原油を供給されている。地方製油企業はSinopec離れを望んでいるが、原油供給源が安定していないため、生産を自らコントロールすることが出来ない。新たな原油供給源を模索する山東省の地方製油企業にとって、CNPCとCNOOCの山東省進出は渡りに舟である。 8月28日、東明石化とCNPCは、日照〜東明原油パイプラインで合意が成立し、新たに中石油山東輸油公司を設立することになった。同パイプラインは第1期の輸送能力1,000万トン、東明石化にとって、物流コストと鉄道輸送圧力の低減が可能になる。本来、東明石化とSinopecの中原油田はいずれも山東省と河南省の境界付近にあって、隣り合っている。東明石化にとって、今回のCNPCとの提携は、Sinopecの影響を打破する重要な一歩と見なされる。 一方、山東海化を買収したCNOOCは、3年間で70億元投じて製油所を建設するという目標を打ち出している。また、最新情報によると、CNOOCは山東省淄博で民営サービスステーション2軒を買収したとも伝えられる。但し、Sinopec関係者は、CNOOCは地元の民営サービスステーションを買収することしか出来ないと見ている。もしCNOOCが現地にサービスステーションを新規建設しようとするなら、山東経済貿易委員会の承認だけでなく、Sinopecとの協議も必要になる。 但し、前出のSinopec筋によると、Sinopecは山東省において、CNPCやCNOOCと真っ向勝負をするつもりはない。Sinopecの戦略配置は南方が中心である。「山東で大規模な石油化学事業を進めるのは賢明ではない。現地の石油製品の生産と需要のギャップは大きい」とSinopec筋は指摘する。供給よりも大きい需要があるのは江蘇省以南であり、Sinopecは南方に布石を打って、自社の産業配置を完備しようとしているのである。 もっとも、Sinopecは沿海各省においてはあらかた地盤固めを終えており、残るは西南地区だけである。西南地区にはこれまで大型製油所がなく、今後はSinopecとCNPCの二大石油巨頭の決戦場になるだろう。9月8日には、Sinopecの西南石油製品パイプラインプロジェクト第2期に当たる昆明〜大理石油製品パイプラインが運転を開始した。年間輸送力は290万トンになり、Sinopecは改めて西南地区における石油製品供給の基盤を固めることになる。 (網易財経 9月17日)
最近、中国石油天然ガス集団(CNPC)と中国海洋石油(CNOOC)の山東省における動きが活発である。CNPCは山東省最大の地方製油企業である東明石化との間で日照〜東明原油パイプラインの共同建設で合意し、CNOOCは山東海化集団を傘下に収めた。
一方、これに対し、山東を地盤とする中国石油化工(Sinopec)は目立った動きを示していない。Sinopec内部筋は、Sinopecの今後の目標は南方へ発展して、「北油南運」問題を解決することであると表明している。
山東省最大の油田である勝利油田と山東省に近い河北省の中原油田はSinopecが有しており、山東省内の地方製油企業の大多数はSinopecの「下流工場」として、Sinopecから原油を供給されている。地方製油企業はSinopec離れを望んでいるが、原油供給源が安定していないため、生産を自らコントロールすることが出来ない。新たな原油供給源を模索する山東省の地方製油企業にとって、CNPCとCNOOCの山東省進出は渡りに舟である。
8月28日、東明石化とCNPCは、日照〜東明原油パイプラインで合意が成立し、新たに中石油山東輸油公司を設立することになった。同パイプラインは第1期の輸送能力1,000万トン、東明石化にとって、物流コストと鉄道輸送圧力の低減が可能になる。本来、東明石化とSinopecの中原油田はいずれも山東省と河南省の境界付近にあって、隣り合っている。東明石化にとって、今回のCNPCとの提携は、Sinopecの影響を打破する重要な一歩と見なされる。
一方、山東海化を買収したCNOOCは、3年間で70億元投じて製油所を建設するという目標を打ち出している。また、最新情報によると、CNOOCは山東省淄博で民営サービスステーション2軒を買収したとも伝えられる。但し、Sinopec関係者は、CNOOCは地元の民営サービスステーションを買収することしか出来ないと見ている。もしCNOOCが現地にサービスステーションを新規建設しようとするなら、山東経済貿易委員会の承認だけでなく、Sinopecとの協議も必要になる。
但し、前出のSinopec筋によると、Sinopecは山東省において、CNPCやCNOOCと真っ向勝負をするつもりはない。Sinopecの戦略配置は南方が中心である。「山東で大規模な石油化学事業を進めるのは賢明ではない。現地の石油製品の生産と需要のギャップは大きい」とSinopec筋は指摘する。供給よりも大きい需要があるのは江蘇省以南であり、Sinopecは南方に布石を打って、自社の産業配置を完備しようとしているのである。
もっとも、Sinopecは沿海各省においてはあらかた地盤固めを終えており、残るは西南地区だけである。西南地区にはこれまで大型製油所がなく、今後はSinopecとCNPCの二大石油巨頭の決戦場になるだろう。9月8日には、Sinopecの西南石油製品パイプラインプロジェクト第2期に当たる昆明〜大理石油製品パイプラインが運転を開始した。年間輸送力は290万トンになり、Sinopecは改めて西南地区における石油製品供給の基盤を固めることになる。
(網易財経 9月17日)