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【石油・天然ガス】

中露天然ガス価格をめぐる溝を埋めるのは「融資との交換」?中国企業の露上流開発参入? (09/10/15)
2009/10/15
中国【石油・天然ガス】

 中露双方は天然ガス貿易に関して枠組み協議書に調印したものの、依然、天然ガス価格をめぐる溝は埋められていない。

 ロシア副首相セーチンは来年初頭から中露天然ガス価格交渉が開始されると表明したが、ロシアから中国への天然ガス供給は、当初予定されていた2011年からは大幅に遅れ、2014〜15年にずれこむことになる。

 消息筋によると、問題の焦点は天然ガス価格である。ロシア側は対中天然ガス輸出価格と欧州向け天然ガス輸出価格を一本化するのが希望であり、また、中国を極東における唯一の顧客にすることは望んでいない。

 そもそも2006年に中露双方はロシアから中国への天然ガス輸出で基本合意したが、しかし、その後、石油・天然ガス市場には大きな変化が生じた。最早売り手市場は存在せず、中国もまた国内の日増しに拡大する天然ガス需要をロシアの天然ガスのみに依存することは望んでいない。

 もっとも、中国のエネルギーセキュリティにとってロシアは依然重要であるに違いない。中国国内の天然ガス需要の拡大やパイプライン、受入基地の増加、利用率の上昇などで、中国の輸入天然ガスの比率は必然的に高まり、ガス供給源の拡大は中国が解決すべき緊急の課題である。

 一方、ロシア側は、欧州向け天然ガス輸出の急減のため、欧州市場への一方的な依存を減らしたいところである。ロシアは天然ガス輸出総額に占めるアジア向けの比率を、2015年には12%、2030年には20%に高めるよう計画している。但し、極東における天然ガスの買い手が中国一国のみになる状況は避けたいところであり、太平洋沿岸に到るパイプラインによって、アジアの+輸出先の多元化を図っている。

 いずれにせよ、価格問題は中露双方の駆け引きの焦点であり続ける。ロシア側は、対中天然ガス輸出価格についても、国際慣行及びGazpromの輸出原則に基づくことを主張している。Gazpromの原則とは、同質の天然ガスである限り、いかなる国に販売する場合でもGazpromが同等の収益を確保すること、すなわち欧州向けと同一価格を適用するということになる。

 しかし、欧州向け並みの天然ガス価格は中国にとって受け入れ難い。もしロシア側の条件を呑んだ場合、中国側は輸入コストが嵩み、巨額の赤字に陥るだけでなく、問題がさらに波及する恐れがある。中国の天然ガス末端価格は依然として低い水準にあり、天然ガス価格制度も未確定だからである。

 中露双方が価格問題で折り合うためには、ギブアンドテイクが必要である。某国際石油メジャーの中国駐在幹部は、中国企業がロシアの資源開発において権益を獲得することをロシア側が認めれば、中国側は天然ガス購入で相応の損失を引き受けることも可能になると指摘する。また、中国社会科学院世界政治経済研究所の沈●如研究員は、天然ガス貿易においても「石油と融資の交換」が適用できるとの見方を示している。これは、ロシアが中国に対して優遇価格で天然ガスを輸出する見返りに、250億ドル程度の低利の融資を供与されるという方式である。金融危機によりロシア経済が大きな打撃を受けている中で、中国からの低利の借入はロシア経済の回復に有効であろう。

 (上海証券報・21世紀経済報道 10月15日)

 ●…馬へんに「冀」