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【石炭】

【論説】中国は石炭純輸入国へ アジア太平洋石炭市場地図が塗り替え (07/10/12)
2007/11/22
中国【石炭】

 【論説】中国は石炭純輸入国へ アジア太平洋石炭市場地図が塗り替え (07/10/12)

「鳳凰週刊」特約執筆者 葉松

 中国、石炭不足により輸出を次第に制限

 2007年1月、中国の石炭輸入は前年同期比81.1%増の470万トンに達し、一方、輸出は20.4%減の329万トンとなった。このまま推移すると、今年中国は石炭純輸出国から純輸入国に転じる可能性が極めて高い。こうした背景には、経済発展に起因する石炭需要の急増と石炭輸出関税の改正がある。

 この数年、中国の石炭輸出は急速に減少が進んでいるが、輸入は大幅に増加している。石炭輸出は2001年に9,012万トンであったのが、2006年には6,300万トンに減り、輸入は249万トンから3,836万トンに増加した。

 また、2006年9月、政府は石炭輸出に対する8%の関税補助金を撤廃し、さらに11月1日からは、石炭、石油等の資源的製品に対する輸出税を5%引き上げる一方で、石炭輸入への関税をこれまでの36%から3%以下に引き下げた。

 日韓両国に影響

 こうした中国の動きに最も大きな衝撃を受けているのは、日本と韓国である。日韓両国は石炭資源に乏しく長年にわたり中国から石炭を輸入していた。世界最大の石炭輸入国である日本の2005年の輸入量は約1.5億トン、うち12%は中国からの輸入であった。世界第2位の石炭輸入国である韓国の2005年の輸入量は6,000万トン以上、うち20%が中国からの輸入であった。

 日本と韓国の企業は幸いにも石炭輸入先の多元化を進めている。両国の輸入する石炭は今では中国よりも、オーストラリアやインドネシアからのものが多い。ロシア、ベトナム、北朝鮮からの輸入もある。日韓の企業にとってインドネシアとオーストラリアが最も主要な石炭輸入先であり、日韓両国の総輸入量の60%以上を占める。オーストラリアとインドネシアは世界的にも上位2位の石炭輸出国であり、2004年の輸出量はオーストラリアが2.19億トン、インドネシアは1.07億トンに上った。

 しかし、インドネシアもオーストラリアも日韓両国から極めて遠く、日韓の企業は依然として一定程度中国炭に依存せざるを得ない。中国から韓国までは3日、日本までも1週間以内の行程であるが、オーストラリアから日本へは1ヵ月余り、インドネシアから日本へも20日以上かかる。

 日韓両国の懸念材料はこれに止まらない。中国は数年前の石炭輸出国から今では輸入国に転じ、中国企業は国際石炭市場に参入して日韓の企業と石炭資源争奪戦を繰り広げている。中国東南沿海の広東、福建や浙江等の経済発展地区はインドネシアやベトナムと相対的に距離が近く、資源争奪戦においても中国は優位に立っている。

 中国は昨年ベトナムと一連の合意に達し、ベトナムから石炭する輸入するともに西南地区の余剰電力をベトナムに販売することになった。また、中国国電集団は今年3月、インドネシアから初めて発電用石炭6万トンを輸入した。中国国電集団はインドネシア炭の発熱量が十分でないことや硫黄含有量が多いことを懸念してこれまでは国内炭しか使用していなかったのである。

 塗り替えの進むアジア太平洋石炭市場

 2004年のオーストラリアの石炭輸出量は前年比4.6%増の2.18億トンで世界第1位、インドネシアは同26.8%増の世界第2位、一方、中国の石炭輸出量は7.7%減の8,590万トンとなり、世界第3位に退いた。ロシアのアジア太平洋地区向け一般炭輸出は1,080万トン、ベトナムの輸出は420万トンになった。

 こうした状況は昨年さらに変化が進んだ。中国の石炭輸出は6,300万トンに下がり、輸入は2001年の249万トンから3,836万トンに上昇した。アジア太平洋地区では日本、韓国、台湾に次ぐ輸入量である。

中国にとって最大の石炭輸入先はベトナムであり、次いでオーストラリア、北朝鮮、インドネシア、カナダ、ニュージーランドの順になるが、特にオーストラリア、インドネシア、ベトナムからの石炭輸入が急増している。

オーストラリアの石炭生産量の75%以上は輸出されており、2004年の同国の輸出量は世界石炭貿易総量の29%を占めた。アジアはオーストラリアの石炭にとって最大の市場であり、総輸出量の78.5%を占めた。主要輸出先は日本、韓国、台湾、中国である。2004年のオーストラリアの一般炭輸出量は1.07億トン、コークス用原料炭は1.12億トン。2015年にはオーストラリアの年間石炭輸出量は3.4億トンに達すると予想される。

2004年のインドネシアの石炭輸出量は1.07億トンになった。主に日本、台湾、韓国、フィリピン、香港に輸出された。インドネシアは5年後には石炭生産量を倍増させるよう計画し、増加分は輸出に当てることになる。アジア石炭市場におけるインドネシアの第2位の地位は当面継続するだろう。ベトナムは東南アジア第3の石炭生産国であり、世界第3位の無煙炭生産国でもある。2004年の石炭輸出量は1,000万トン余りに上り、輸出先では中国と日本が60%以上を占めた。

石炭輸入量で中国のランキングは急上昇している。2012年に中国の輸入量は40%増加して、5,000万トンに達するだろう。その他にも、インドの輸入量は61%増加して、4,100万トンになる。また、マレーシアの輸入量も倍増して2,100万トンに達するだろう。

日本の2004年の石炭輸入量は9,710万トン、主な輸入先はオーストラリア、南アフリカ、米国、中国である。韓国は今や世界第2位の一般炭輸入国であり、2004年の輸入量は5,800万トン、主要輸入先はオーストラリア、中国、インドネシアである。台湾の2004年の一般炭輸入量は5,300万トン、前年比720万トン増加した。輸入先別では中国が47%、インドネシアが37%、オーストラリアが13%を占める。

 新たな状況に直面する中国の石炭輸出企業

 国際市場における中国のシェアは急速に低下しているが、中国の石炭企業はほとんど気にも止めていない。石炭輸出資格を有する中国の石炭企業は神華集団、中煤集団、五鉱集団、山西煤炭進出口集団の4社であるが、国内石炭価格が高騰しているため、これらの企業は輸出に積極的でない。しかも、中国の外貨準備は十分にあるので、政府も資源的製品の輸出を故意に規制している。

 中国企業はむしろ、国際市場において日本や韓国の企業、場合によってはインド等の企業と競り勝って、高品質の石炭を安い価格で購入するにはどうすればいいかという問題に直面している。

 中国の石炭企業は海外石炭資源の獲得にも邁進しており、モンゴルやオーストラリアにも炭鉱を有している。オーストラリアのサウス・ウェールズ州にある兗州煤炭業集団の炭鉱は昨年生産を開始している。

 中国企業が海外の石炭資源を獲得する上で、韓国企業の経験は参考に値しよう。韓国企業は海外の炭鉱に資本参加する対策を取り、資本参加した炭鉱からの供給量はすでに韓国の総輸入量の30%に達している。また、韓国電力公社もオーストラリアでいくつかの炭鉱に出資している。日本企業の輸入多元化戦略についても中国企業は参考にすべきである。

 石炭企業だけでなく、中国の発電企業もまた海外に照準を定めている。中国国電集団は早くからインドネシアの石炭購入を手がけている。日本や韓国の石炭輸入の大部分は石炭需要企業によるものであり、電力会社や製鉄会社が直接海外で石炭を購入している。彼等は自社のボイラーに最適な石炭を購入するにはこうした方法を取るのが良いことを知っているのである。

 (中国能源網 10月12日)