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中国
【石油・天然ガス】

シノペック、2015年までに製油能力をさらに3,000万トン増加 (09/12/18)
2009/12/21
中国【石油・天然ガス】

 2009年11月、中国石油化工(Sinopec)の福建一貫プラントが操業を開始し、天津の100万トンエチレンプラントも間もなく操業する。これにより、Sinopecのエチレン年産能力は800万トンを超えるだろう。さらに、2010年には揚子BASFの技術改良によってエチレン年産能力は115万トン増える。また、Sinopecの2008年の年間製油能力は2.02億トンであるが、茂名石化、上海石化、安慶石化等の拡張プロジェクトが竣工すると、2015年までに精製能力が3,000万トン増えることになる。

 しかし、規模の拡張が一段落すると、製油化工分野においてより高次の競争が展開されることになる。

 化学部門では、2009〜2011年にかけて、中東など世界の大型エチレンプロジェクトが次々に操業を開始する。また、シェルは非中核事業の40%を分離し、BASFも基礎化学品や汎用製品事業を分離して、ハイエンド化学事業に重点を移している。

 中国国内の石油化学市場への輸入品の衝撃はすでに現れている。2007年のエチレン輸入量は46万トンであったが、2009年には100万トンを突破する。今年上期の合成樹脂の国内見掛け消費量に占める輸入品の割合は前年同期より8.2%上昇した。1〜5月の中東からのメタノール輸入は前年同期の12倍になった。

 しかし、Sinopecの化学事業は、市場に近いことや上下流一体化、大型化などで優越性を備えているものの、原料コストでは中東のような優越性に欠け、2009年の中東地区のエチレン平均コスト198ドル/トンをはるかに上回った。製品構造の面では、合成材料の汎用品に偏りすぎであり、科学技術上の優勢も発揮できていない。ポリエチレン、ポリプロピレン、CPBRなど総合技術を有してはいるが、この種の製品は、アジアでは生産能力過剰が生じている。

 Sinopecは安定的な運営のために、産業構造と調整の構造を迫られている。Sinopecは最早規模の拡張には重点をおかず、特色ある製品の増産に重点を移している。

 製油部門では、原油の低質化と重質化の一方で、石油製品の品質に対する要求が高まり、排出規制も厳しくなる中、より先進的な精製技術を把握して、低質原油の製油能力の向上とクリーン・プロダクションの採用を進めている。また、軽質原油の歩留まりの向上や硫黄原油の精製技術の向上に取り組んでいる。

 Sinopecはここ数年、燕山、上海、鎮海、茂名、金陵等のプラントの技術改造を進め、規模が小さく、時代遅れで、エネルギー消費の大きいプラントを淘汰している。また、製油とエチレン生産のコンビネーションを深め、コストを引き下げている。

 Sinopecにとって、産業の裾野を広げ、より多くの種類の製品を生産するのか、それとも戦線を縮小するのかは考慮すべき問題である。製品の種類が多くなれば、様々なニーズに応えることが出来る反面、技術開発力が分散し、先端技術や特色ある製品の形成に影響が及ぶ。製油と化学事業の大規模化を進める上で、集団本部は企業に対するコントロールを強め、様々な企業の位置づけ、分業をより科学的、合理的に配置し、グループ内部の秩序なき競争や重複建設を避けることが求められる。

 同時に、「省エネルギー法」「循環経済促進法」等の制定によって環境保護条件が厳しくなっていることや、日増しに複雑になる国際貿易のルール、技術障壁などは、製油化学企業が特に研究、重視すべき課題となっている。

 (中国石化新聞網 12月18日)