1. HOME
  2. 中国 【石油・天然ガス】

中国
【石油・天然ガス】

2009年の中国の原油対外依存度50%超の見通し 将来は70%の可能性も (10/01/13)
2010/1/14
中国【石油・天然ガス】

 昨年以降、中国国内の原油生産は前年比での低下傾向が続いている。国家統計局は今月下旬に工業統計を発表するが、最も楽観的な見方でも、昨年の中国の原油生産量は1.9億トン前後に止まる見通しであり、中国の原油依存度はすでに52%に達しているとも見られている。

 中国は1993年に石油純輸入国に転じたが、原油対外依存度は同年の6%から上昇を続け、2006年には45%を突破した。その後、毎年平均2ポイントのペースで上昇し、2007年は47%、2008年は49%になった。そして、2009年は50%の警戒ラインを突破することになる。石油純輸入国に転じて以来わずか16年でしかない。

 中国経済の成長によって石油需要も足並みをそろえて急増している。国際経済危機の中でも中国経済はV字回復を示し、2009年のGDP成長率8%維持は間違いないというのが大方の予想である。一方、2009年には、中国海洋石油 (CNOOC)の恵州プロジェクト、中国石油化工 (Sinopec)の福建、天津プロジェクトなど複数の1,000万トン級大型石油化学事業が沿海部において操業を開始し、海外原油に対する需要が拡大した。加えて、建設中の国家戦略備蓄基地や国内の原油生産低下など、いずれも中国の原油輸入拡大の要因になった。

 さらに、中長期的に見た場合、自動車販売量が世界一になった中国において、原油対外依存度が今後も引き続き上昇することは自明のことである。

 2008年末の「全国鉱産資源計画(2008〜2015年)」の予測によると、2020年の中国の原油対外依存度は60%に達し、昨年発表された「エネルギー青書」は10年後には64.5%に達するとしている。

 今後の中国の取るべき対策について、中国の石油専門家は次のように指摘する。

 ●中国石油大学エネルギー戦略研究センター執行主任・王震
 原油対外依存度は重要であるが、過度に重視するには及ばない。中国は国際エネルギー協力に一層傾注すべきである。また、国内のエネルギー需要の管理も適切に進めなければならない。中国はこれまで長い間エネルギー供給を過度に重要視してきた反面、需要の視点からのエネルギー管理を疎かにしてきた。これからは、単位当りのエネルギーの価値を高め、エネルギー消費を低減し、排出を削減するといった対策が真に必要になる。

 ●アモイ大学エネルギー経済研究センター主任・林伯強
 原油対外依存度が50%を超えたことは中国に対する警鐘だ。米国の石油対外依存度は中国よりも高いが、米国のエネルギー消費がピークに達しているのに対し、中国のエネルギー需要は依然極めて大きい。中国国内の石油生産はすでにピークに達しており、今後の石油消費の増加は輸入によって賄うことが必要である。手を拱いていれば、いずれ中国の石油対外依存度が米国を超えることは必定であり、場合によっては70%に達する可能性すらある。発展途上のエネルギー消費大国である中国にとって、国際石油価格に対する決定権を持たないまま、石油需要の70%を海外に依存するのは極めて危険。中国の石油企業は海外に進出し、様々なルートによって権益原油を獲得すべきだ。

 (第一財経日報 1月13日)