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【新エネルギー】

ペトロチャイナの炭層ガスパイプライン網建設をめぐる葛藤 (10/04/22)
2010/4/23
中国【新エネルギー】

 4月21日に開かれた中国非在来型石油ガスサミットにおいて、ペトロチャイナ規画総院パイプライン工程研究所の楊建紅副所長は、炭層ガスパイプライン網計画の前提は炭層ガスの大規模生産であり、炭層ガスが真に天然ガスの補完になるためには、各公司及び鉱区の各種ガス源を総合的に計画、運用し、比較的大きなガス源を基幹パイプライン網に入れることが必要であると述べた。以下、楊建紅副所長の発言要旨。

 炭層ガス生産規模20億m3以上は国家パイプライン網に入れる、5〜20億m3の規模は独立型パイプラインを建設し、1〜5億m3はその他の輸送パイプラインに入れるか液化事業を建設すべきである。1億m3以下は小型液化プラントを建設すべきである。

 国内で完成済み又は建設中の炭層ガス液化プラントの半分は30万m3/日超の規模である。しかし、これでは、価格がパイプラインガスよりもはるかに高くなり、量も極めて多く、下流の販売に圧力をもたらす。液化炭層ガスがパイプラインガスとの価格競争力を備えるには、一般に現地のピーク調整用ガス源にする。昨年のガス不足を経て、ペトロチャイナは大型地下ガス貯蔵庫の計画と着工を進め、地方のガス公司も末端のピーク調整施設の建設と計画を進めている。長期的に見て、末端のピーク調整能力が増強されれば、高価なピーク調整用ガス源の需要を引き下げることになる。従って、特に大きな規模の炭層ガス液化事業はリスクに直面する可能性がある。

 様々なガス源と炭層ガスパイプライン網の計画と運用を総合的に進め、比較的規模の大きい炭層ガスを天然ガス基幹パイプライン網に入れれば、下流の開発と利用にとって一層有利になる。

 ペトロチャイナによる統合運用論に対し、下流の炭層ガス販売公司は、パイプライン網に組み込むことであらゆるガス源がペトロチャイナに集約されることになれば、炭層ガス下流市場は天然ガスと同様にペトロチャイナによって独占されると指摘するが、炭層ガスは一事業としてではなく、一つの産業として発展させるべきである。ガス源が大企業によって支配されるとの懸念は理解できるが、各地方が利益を争うことは炭層ガス産業の拡大強化にとって不利である。

 現地の豊かな炭層ガスを基幹パイプライン網に入れることには確かに得失がある。一面では、より多くのガス源が石油会社から制約を受け、独占の版図に組み込まれるが、別の一面では、末端のユーザーへのパイプラインガス供給が増え、パイプラインガスのコストをLNGによるピーク調整用ガスよりも低くすることが出来る。

 (中国証券報 4月22日)