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【新エネルギー】

戦略的新興産業計画が8月浮上の見通し 対象9分野がほぼ確定 (10/04/26)
2010/4/28
中国【新エネルギー】

 投資計画規模4兆元とも見込まれている「戦略的新興産業発展計画」(以下「新興産業計画」)が水面に浮上する時期もますます近づいている。この計画は中国の経済成長パターンの構造を調整する上で重要な措置と見なされている。

 国家発展改革委員会が長らく立案作業を続けてきた「新興産業計画」は今年8月前後に次々と打ち出される予定であり、これまで「難産」であった「新エネルギー計画」はその1つになる。「新興産業計画」の対象9分野は基本的に確定済みとのことである。但し、発展改革委員会筋によると、9大分野には依然流動的なところもあり、海洋事業や新エネルギー車については異論もあるとのこと。

 10大産業振興計画の財源とは異なり、「新興産業計画」は政府投資により大きく依存することになる。「新興産業計画」は不動産に次いで大量の資金の受け皿になるかも知れない。

 発展改革委員会ハイテク司筋によると、工業情報化部、財政部など複数の部局が当っている「戦略的新興産業の速やかな育成に関する国務院の決定」の起草作業は終盤に入りつつあり、今年上半期の国務院への上程に向け取り組みが進んでいる。

 国家発展改革委員会の張暁強副主任は先頃、「新興産業計画」は年内に打ち出されると公に表明した。前出のハイテク司筋も、順調に進めば8月頃に「新興産業計画」の単一振興計画が打ちだされるとしている。

 昨年11月、温家宝首相は首都科技界大会において、戦略的新興産業について詳細な解釈を施したが、それによると、戦略的新興産業には、新エネルギー、省エネ・環境保護、電気自動車、新材料、新医薬、生物育種、ITの7大産業が含まれる。温家宝首相によると、新エネルギー分野については、水力発電、原子力発電、風力発電、太陽エネルギー発電、メタン発酵ガス発電や、地熱の利用、クリーン・コールなど、クリーン・エネルギーと再生可能エネルギーを突出させることになる。

 「新興産業計画」の中でも新エネルギー計画は特に注目を集めている。発展改革委員会は早くから「新エネルギー計画」の立案作業を進めているが、「難産」の状態が続いていた。前出の発展改革委員会の官僚によると、「新エネルギー計画」は「新興産業計画」の1分野に入れられており、真っ先に打ち出される公算である。また、各種新エネルギー開発の計画規模も相当引き上げられているとのこと。

 情報によると、発展改革委員会、科学技術部、工業情報化部、財政部等の20部局からなる戦略的新興産業総合構想協調チームが発足するとともに、新興産業計画起草チームもこれに呼応して発足した。チームのリーダーは張暁強発展改革委員会副主任が担当し、「戦略的新興産業の速やかな育成に関する国務院の決定」と「戦略的新興産業発展第12次5ヵ年規画」の研究、起草に当る。

 この調査研究に参加している専門家によると、各地方の発展改革委員会も国家発展改革委員会に各自の発展構想を上程し、一方、国家発展改革委員会も調査研究の状況や各地の発展構想に応じて産業区分の調整を随時進めている。

 先に打ち出された10大産業振興計画は、財政投入を引き金により多くの民間資本を導入しようとするものであったが、「新興産業計画」はそれとは異なり、その資金を財政投入により大きく依存することになる。しかし、発展改革委員会に詳しい専門家は、財政投入を重視する観点には否定的であり、新興産業の資金ルートとして巨額の民間資本を導入することが必要であり、財政投入に依存するのでは経済振興の目的を達成することは難しいとしている。

 一部の地方政府はすでに新興産業振興のスローガンを唱え、具体的な融資構想を打ち出している。例えば、北京は新興産業の発展に300億元の融資を表明し、湖南、広東等の地方政府も融資を表明している。
 
 前出の専門家は、「実際には『新興産業計画』は財政投入を引き金に民間資本を導入する構想であり、さらなる4兆元刺激策と見ることが出来る。中国の経済構造と成長パターンを転換するエンジンになる」と語る。

 4月のプレス発表において、張暁強副主任は「国の4兆元の投資のうち相当額がインフラ建設に当てられ、多くの重工業プロジェクトが着工されたが、このため、鉄鋼、セメント等の生産能力過剰がさらに進み、経済構造はますますバランスを失うことになった。経済構造の転換は一刻の猶予も許されない」と直言した。

 北京大学の経済学教授であり、国務院参与の李慶雲氏は次のように指摘する。新興産業の発展は長期的な課題であり、資本、技術、労働力をめぐる問題を解決しなければならない。技術の向上は長期的な課題であり、実際の生活に応用してこそ新たな技術の産業化を進めることができる。新興戦略産業は必要であり、産業の高度化の根本であるが、中央製油と地方政府の財政投入においては、投資方式に注意し、投資のコストを考慮に入れなければならない。

 (中金オンライン 4月26日)