中国証券報の記者が国家能源局の権威筋から得た情報によると、中国のエネルギー戦略計画はすでに度重なる意見聴取を経て、目下細部の調整が進められている。今年第3四半期には公布される公算であり、その後すぐに、電力、石炭、石油・石油化学、再生可能エネルギーも含む各エネルギー産業の第12次5ヵ年規画も次々と制定される。これら各エネルギー産業計画の雛形はすでに形作られている。 中国の経済成長パターンの転換に伴い、各エネルギー産業の第12次5ヵ年規画は中国のエネルギー構造の現状を調整する構想を明確に体現することになる。具体的には、エネルギー構造に占める石炭の比率は低下し、一方、天然ガスや各種再生可能エネルギーの比率は大幅に上昇するだろう。また、そうした基礎に立って、電力構造の合理化と「低炭素化」が一層進むことになる。 専門家によると、中国のエネルギー戦略計画は各エネルギー産業の原則的な発展目標を確定し、第12次5ヵ年規画期のエネルギー発展の基調を確定する。一方、詳細な目標と任務は各産業計画によって規定される。 【電力】電力構造調整の深化 中国電力企業聯合会は現在、電力事業第12次5ヵ年規画の検討作業を進めており、国家能源局の電力計画策定に対して政策提言を行っている。 中国電力工程顧問集団公司の汪建平総経理(社長)が明かしたところでは、第12次5ヵ年規画は、電力構造を主軸とし、資源と環境の統一的な計画を強化し、供給サイドと需要サイドのバランスを取り、電力構造の高度化と省エネ・排出削減を2大重点とする。 電力構造については、クリーン・エネルギーが発展の重点になる。中国電力企業聯合会の基本的な試算によると、第12次5ヵ年規画末には、全国の総発電量に占めるクリーン・エネルギー発電の比率は30%を超え、水力発電、原子力発電及び風力発電がクリーン・エネルギーの主力になる。2015年には、水力発電、風力発電、原子力発電、太陽エネルギー、バイオマスエネルギー等の再生可能エネルギーは標準炭換算で3.46億トンの石炭に相当する。 これとは対照的に、火力発電の比率は低下が続くことになるが、2015年の石炭需要量はなおも記録を更新して38億トンに達する見通しである。中国エネルギー研究会の周大地常務副理事長の考えでは、石炭は依然として中国の主力エネルギーであるが、エネルギー消費に占める比率は次第に低下して、2050年には40%か、場合によっては35%前後に低下すると見込まれる。石炭は現在の基幹エネルギーから次第に重要基礎エネルギーに変わっていくだろう。 それに伴い、電源構造も高度化が進む。基本的な見積もりでは、第12次5ヵ年規画末の中国の電源総設備容量は12.6億kWになるが、うち石炭火力発電の比率は68%に下がり、ガスタービンの比率は4%、水力発電は20%、原子力発電は2%、新エネルギーは6%になる。 専門家の予測によると、電力第12次5ヵ年規画は電力産業開発政策と同時に制定され、電力事業のエネルギー消費標準は大幅に上昇する。また、中国電力企業聯合会も電力事業の気候変動対策行動の枠組を策定中である。 中国電力企業聯合会の王志軒事務局長は、電力事業の第12次5ヵ年規画において、省エネと排出削減は際立った地位を占めると表明している。その中で、省資源、発電所のクリーン・プロダクションや火力発電所の汚染排出規制の強化、窒素酸化物の抑制などが重点になる。 国家電網の鄭宝森副総経理(副社長)によると、国家電網自身の第12次5ヵ年規画はすでに完成しており、国家発展改革委員会、能源局等の部門に提出された。国家電網の第12次5ヵ年規画では、スマートグリッドの建設が焦点になる。 【石炭】産業集中が大きな流れに 現在、多くの省において石炭企業の統廃合が次々と展開されており、石炭産業のM&Aは依然として第12次5ヵ年規画の重要な内容をなしている。第12次5ヵ年規画期において、石炭企業の数は現在の11,000社から、7,000社も激減して4,000社になる。第12次5ヵ年規画期末には8〜9の大型企業グループが形成され、石炭資源の集中が一層進むことになる。 石炭企業の集中度を高めるため、国は政策面において、1鉱区につき1開発主体、1開発主体による複数の鉱区の開発許可を奨励して、大型石炭企業グループの発展を促進する。 国家能源局の呉吟副局長は、26日に開催された石炭企業M&A高層フォーラムにおいて、現在複数の地区・省域に跨る石炭産業の統廃合が余りにも少なく、神華集団のような炭鉱・鉄道・港湾も付帯する大規模な企業はさらに少ないと指摘した。また、石炭産業の統廃合において、一部国有企業には「鳳凰の尻尾よりも鶏の頭になることを選ぶ」という風潮がある。呉吟副局長は、石炭産業の統廃合は、産業の次元を絶えず高め、石炭産業全体の競争を維持し、過当競争にも独占にも陥らないようにすることが目的であるとし、そうすることで国民経済の発展を石炭によって支えることが出来ると指摘した。 中国石炭産業発展研究センターの賀佑国主任が明かしたところでは、第12次5ヵ年規画期末の中国の石炭生産目標は36億トンになり、うち120万トン以上の大型炭鉱の生産量が22億トン、60%を占め、30万トン以上の炭鉱の生産量が10億トンで30%、30万トン以下の小炭鉱の生産量は約4億トンで、10%を占めることになる。 また、石炭産業配置については、従来、石炭産地のそれぞれの機能に基づき、石炭の移入、移出、自給の3つに区分していた機能区を、移入と移出の2種類の機能区に改める。うち移入区は東北、北京・天津・河北、華東、中南、四川、重慶、青海、チベットである。一方、移出区は山西、陝西、内蒙古、寧夏、甘粛、雲南、貴州、新疆であり、主に西南と西北に位置する。 第12次5ヵ年規画期において、中国の炭鉱建設は、旧来の大中型炭鉱建設の重視から、大型現代化炭鉱の建設へと転換する。石炭資源の豊かな山西、内蒙古、陝西、甘粛、寧夏、新疆の6省・自治区では、120万トン未満の生産能力の新規建設や拡張を禁止する。また、生産能力の新規建設と増設については、旧来の新規建設を主とするものから、現有の炭鉱の技術改造、生産能力を主とするものに転換する。 国は第12次5ヵ年規画期に石炭産業参入基準の引き上げを検討することになる。消息筋によると、一般坑井の年産規模は30万トンを下回ってはならないと規定されるだろう。また、国家重点計画鉱区の坑井の年産量は60万トン以上で、坑内ガスの噴出や深刻な水災害がないことが要件になる。主要石炭生産省の鉱区における坑井の生産量は120万トン以上と規定される。 【石油・石化】構造調整が焦眉の急 中国石油化学工業企画院の白頤副院長によると、石油・石油化学第12次5ヵ年発展規画の要綱部分はほぼ完成しており、次の段階では、4つの産業を対象に、計画の細分化を進めることになる。 第12次5ヵ年規画の石油・石油化学産業発展の全体的な構想は、「構造調整と産業の競争力の向上」であり、中国石油化学産業の「大」から「強」への転換を実現して、国際市場競争に対応することが目的になる。 呉吟副局長は、「第12次5ヵ年規画期には天然ガス消費のシェアが倍増し、エネルギー消費構造に占める比率は現在の4%から8%に上昇する。天然ガス産業の発展を促進するため、価格の梃子としての調節作用を発揮させて、石油からガスへの転換奨励を検討することになろう」と述べている。 白頤副院長の見方では、中国の石油化学産業は長年にわたる発展を経て、製品供給は「全体量の不足」から「構造的な不足」に変化しており、構造調整こそが焦眉の急である。構造調整の主要な任務は、ハイエンド石油化学製品を発展させ、差別化や高付加価値製品技術によって発展をリードし、原料の多元化を実現し、国際化プロセスを加速させることにある。 具体的には、産業構造の調整が最優先課題になる。石油製品の環境保護面における品質のさらなる向上、ガソリン・軽油比率の合理化、高濃度化学肥料、ラジアルタイヤ、イオン膜法による苛性ソーダ、高効率・低毒性・低残留農薬、環境配慮型塗料及び染料など、先進的製品の比率を高める。また、建設用プラスチック、フッ素シリコン材料、ポリウレタン等のハイエンド石油化学製品の自給率を高める。 計画の配置については、第12次5ヵ年規画期における石油化学産業の重要な開発エリアは、長江デルタ、珠江デルタ並びに環渤海地区になる。上掲地区へ産業をさらに集中させ、集中度をより一層高め、石油製品の「北から南への輸送」の現状を改める。 その他にも、企業構造の高度化も必然の流れとしなければならない。2015年には、2,000万トン級の製油市場基地をいくつか形成する。全国の製油所の平均規模を年産600万トン超とし、エチレンプラントの平均規模を年産60万トン以上とする。窒素肥料、農薬、クロロアルカリ、炭酸ソーダ、カーバイド等の在来型産業については、老朽化設備の淘汰やM&Aによって企業数を減らし、産業の集中度を高め、全国石油化学100強企業の売上高が産業全体に占める割合を3分の1に高める。売上1,000億元超の企業を10社以上とする。 (中国証券報 6月29日)
中国証券報の記者が国家能源局の権威筋から得た情報によると、中国のエネルギー戦略計画はすでに度重なる意見聴取を経て、目下細部の調整が進められている。今年第3四半期には公布される公算であり、その後すぐに、電力、石炭、石油・石油化学、再生可能エネルギーも含む各エネルギー産業の第12次5ヵ年規画も次々と制定される。これら各エネルギー産業計画の雛形はすでに形作られている。
中国の経済成長パターンの転換に伴い、各エネルギー産業の第12次5ヵ年規画は中国のエネルギー構造の現状を調整する構想を明確に体現することになる。具体的には、エネルギー構造に占める石炭の比率は低下し、一方、天然ガスや各種再生可能エネルギーの比率は大幅に上昇するだろう。また、そうした基礎に立って、電力構造の合理化と「低炭素化」が一層進むことになる。
専門家によると、中国のエネルギー戦略計画は各エネルギー産業の原則的な発展目標を確定し、第12次5ヵ年規画期のエネルギー発展の基調を確定する。一方、詳細な目標と任務は各産業計画によって規定される。
【電力】電力構造調整の深化
中国電力企業聯合会は現在、電力事業第12次5ヵ年規画の検討作業を進めており、国家能源局の電力計画策定に対して政策提言を行っている。
中国電力工程顧問集団公司の汪建平総経理(社長)が明かしたところでは、第12次5ヵ年規画は、電力構造を主軸とし、資源と環境の統一的な計画を強化し、供給サイドと需要サイドのバランスを取り、電力構造の高度化と省エネ・排出削減を2大重点とする。
電力構造については、クリーン・エネルギーが発展の重点になる。中国電力企業聯合会の基本的な試算によると、第12次5ヵ年規画末には、全国の総発電量に占めるクリーン・エネルギー発電の比率は30%を超え、水力発電、原子力発電及び風力発電がクリーン・エネルギーの主力になる。2015年には、水力発電、風力発電、原子力発電、太陽エネルギー、バイオマスエネルギー等の再生可能エネルギーは標準炭換算で3.46億トンの石炭に相当する。
これとは対照的に、火力発電の比率は低下が続くことになるが、2015年の石炭需要量はなおも記録を更新して38億トンに達する見通しである。中国エネルギー研究会の周大地常務副理事長の考えでは、石炭は依然として中国の主力エネルギーであるが、エネルギー消費に占める比率は次第に低下して、2050年には40%か、場合によっては35%前後に低下すると見込まれる。石炭は現在の基幹エネルギーから次第に重要基礎エネルギーに変わっていくだろう。
それに伴い、電源構造も高度化が進む。基本的な見積もりでは、第12次5ヵ年規画末の中国の電源総設備容量は12.6億kWになるが、うち石炭火力発電の比率は68%に下がり、ガスタービンの比率は4%、水力発電は20%、原子力発電は2%、新エネルギーは6%になる。
専門家の予測によると、電力第12次5ヵ年規画は電力産業開発政策と同時に制定され、電力事業のエネルギー消費標準は大幅に上昇する。また、中国電力企業聯合会も電力事業の気候変動対策行動の枠組を策定中である。
中国電力企業聯合会の王志軒事務局長は、電力事業の第12次5ヵ年規画において、省エネと排出削減は際立った地位を占めると表明している。その中で、省資源、発電所のクリーン・プロダクションや火力発電所の汚染排出規制の強化、窒素酸化物の抑制などが重点になる。
国家電網の鄭宝森副総経理(副社長)によると、国家電網自身の第12次5ヵ年規画はすでに完成しており、国家発展改革委員会、能源局等の部門に提出された。国家電網の第12次5ヵ年規画では、スマートグリッドの建設が焦点になる。
【石炭】産業集中が大きな流れに
現在、多くの省において石炭企業の統廃合が次々と展開されており、石炭産業のM&Aは依然として第12次5ヵ年規画の重要な内容をなしている。第12次5ヵ年規画期において、石炭企業の数は現在の11,000社から、7,000社も激減して4,000社になる。第12次5ヵ年規画期末には8〜9の大型企業グループが形成され、石炭資源の集中が一層進むことになる。
石炭企業の集中度を高めるため、国は政策面において、1鉱区につき1開発主体、1開発主体による複数の鉱区の開発許可を奨励して、大型石炭企業グループの発展を促進する。
国家能源局の呉吟副局長は、26日に開催された石炭企業M&A高層フォーラムにおいて、現在複数の地区・省域に跨る石炭産業の統廃合が余りにも少なく、神華集団のような炭鉱・鉄道・港湾も付帯する大規模な企業はさらに少ないと指摘した。また、石炭産業の統廃合において、一部国有企業には「鳳凰の尻尾よりも鶏の頭になることを選ぶ」という風潮がある。呉吟副局長は、石炭産業の統廃合は、産業の次元を絶えず高め、石炭産業全体の競争を維持し、過当競争にも独占にも陥らないようにすることが目的であるとし、そうすることで国民経済の発展を石炭によって支えることが出来ると指摘した。
中国石炭産業発展研究センターの賀佑国主任が明かしたところでは、第12次5ヵ年規画期末の中国の石炭生産目標は36億トンになり、うち120万トン以上の大型炭鉱の生産量が22億トン、60%を占め、30万トン以上の炭鉱の生産量が10億トンで30%、30万トン以下の小炭鉱の生産量は約4億トンで、10%を占めることになる。
また、石炭産業配置については、従来、石炭産地のそれぞれの機能に基づき、石炭の移入、移出、自給の3つに区分していた機能区を、移入と移出の2種類の機能区に改める。うち移入区は東北、北京・天津・河北、華東、中南、四川、重慶、青海、チベットである。一方、移出区は山西、陝西、内蒙古、寧夏、甘粛、雲南、貴州、新疆であり、主に西南と西北に位置する。
第12次5ヵ年規画期において、中国の炭鉱建設は、旧来の大中型炭鉱建設の重視から、大型現代化炭鉱の建設へと転換する。石炭資源の豊かな山西、内蒙古、陝西、甘粛、寧夏、新疆の6省・自治区では、120万トン未満の生産能力の新規建設や拡張を禁止する。また、生産能力の新規建設と増設については、旧来の新規建設を主とするものから、現有の炭鉱の技術改造、生産能力を主とするものに転換する。
国は第12次5ヵ年規画期に石炭産業参入基準の引き上げを検討することになる。消息筋によると、一般坑井の年産規模は30万トンを下回ってはならないと規定されるだろう。また、国家重点計画鉱区の坑井の年産量は60万トン以上で、坑内ガスの噴出や深刻な水災害がないことが要件になる。主要石炭生産省の鉱区における坑井の生産量は120万トン以上と規定される。
【石油・石化】構造調整が焦眉の急
中国石油化学工業企画院の白頤副院長によると、石油・石油化学第12次5ヵ年発展規画の要綱部分はほぼ完成しており、次の段階では、4つの産業を対象に、計画の細分化を進めることになる。
第12次5ヵ年規画の石油・石油化学産業発展の全体的な構想は、「構造調整と産業の競争力の向上」であり、中国石油化学産業の「大」から「強」への転換を実現して、国際市場競争に対応することが目的になる。
呉吟副局長は、「第12次5ヵ年規画期には天然ガス消費のシェアが倍増し、エネルギー消費構造に占める比率は現在の4%から8%に上昇する。天然ガス産業の発展を促進するため、価格の梃子としての調節作用を発揮させて、石油からガスへの転換奨励を検討することになろう」と述べている。
白頤副院長の見方では、中国の石油化学産業は長年にわたる発展を経て、製品供給は「全体量の不足」から「構造的な不足」に変化しており、構造調整こそが焦眉の急である。構造調整の主要な任務は、ハイエンド石油化学製品を発展させ、差別化や高付加価値製品技術によって発展をリードし、原料の多元化を実現し、国際化プロセスを加速させることにある。
具体的には、産業構造の調整が最優先課題になる。石油製品の環境保護面における品質のさらなる向上、ガソリン・軽油比率の合理化、高濃度化学肥料、ラジアルタイヤ、イオン膜法による苛性ソーダ、高効率・低毒性・低残留農薬、環境配慮型塗料及び染料など、先進的製品の比率を高める。また、建設用プラスチック、フッ素シリコン材料、ポリウレタン等のハイエンド石油化学製品の自給率を高める。
計画の配置については、第12次5ヵ年規画期における石油化学産業の重要な開発エリアは、長江デルタ、珠江デルタ並びに環渤海地区になる。上掲地区へ産業をさらに集中させ、集中度をより一層高め、石油製品の「北から南への輸送」の現状を改める。
その他にも、企業構造の高度化も必然の流れとしなければならない。2015年には、2,000万トン級の製油市場基地をいくつか形成する。全国の製油所の平均規模を年産600万トン超とし、エチレンプラントの平均規模を年産60万トン以上とする。窒素肥料、農薬、クロロアルカリ、炭酸ソーダ、カーバイド等の在来型産業については、老朽化設備の淘汰やM&Aによって企業数を減らし、産業の集中度を高め、全国石油化学100強企業の売上高が産業全体に占める割合を3分の1に高める。売上1,000億元超の企業を10社以上とする。
(中国証券報 6月29日)