「早ければ来年初め頃に風力発電系統連系技術の国家標準が施行される」。6月25日に開催されたアジア風力エネルギー大会において、中国電力科学院新エネルギー研究所の遅永寧副総工程師が本紙記者に明かした。 実際、国家電網はこの数年来、風力発電系統連系への参入の仕組みを絶えず強化している。中国初の風力発電所系統連系の技術ガイドラインである《風力発電所電力系統連系技術規定》(以下《技術規定》とする)は、中国科学院が起草し、その後、2005年12月12日には国家品質監督検査検疫総局と国家標準化管理委員会が合同で公布した。 遅永寧副総工程師の言う国家標準とは正しく《技術規定》のグレードアップ版であり、「当時の風力発電規模やユニットの製造レベルを考えても、あの《技術規定》は極めて低級な標準であった」。 記者が得た情報では、風力発電系統連系技術の国家標準は、有効出力及びその制御要件、無効出力容量の範囲及び電圧制御要件、LVRT ( Low Voltage Ride-Through )能力の要件並びに風力発電所の系統連系モニタリングの4つの面で改訂を進めることになる。現在、国家標準の意見募集版が完成し、専門家のみに公開されている。 今は未だ正式に公表されていないにも関わらず、間もなく制定される国家標準はすでに波紋を広げている。技術がどの程度高められるかに加え、技術モニタリングと認証資格についても様々な憶測を呼んでいる。 形を変えた老朽生産力の保護に? その日の発言の中で、遅永寧副総工程師が最も頻繁に口にしたのが「LVRT」である。風力発電の系統連系においてLVRTは不可欠であるという結論になるが、実際には利害関係者にとって頗る微妙な問題である。 LVRTとは、電力系統の故障や変動によって風力発電の系統連系ポイントの電圧低下が生じた場合、一定の電圧低下の範囲内において、風力発電ユニットが間断なく連系運転出来ることを言う。 中国電力科学院は国家電網直属の科学研究機関であり、新標準制定の中心になっているため、必然的に争論の矢面に立っている。 「国家電網は国や業界を代表しているのか、それとも彼等自身のために標準を制定するのか」と、国内の風力発電開発企業大手の関係者は疑問を投げかける。「もし電力系統がもっと堅固であれば、容量がもっと大きければ、計画がもっと適切であれば、電力指令がもっと良好であれば、果たしてこのような問題が起きただろうか」 同関係者の見方によると、電力系統の問題は、風力発電所に大鉈を振るうことではなく、電力系統の改造に所在する。「いかなる企業といえども、国を代表して他の産業の発展を制約してはならない。今回の標準制定は、形を変えた時代遅れの生産力の保護であり、中核利益グループが先進的生産力の発展を制限するものである」と同人は言う。 同関係者の強烈な反発に比べると、外国風力発電機メーカーの関係者は若干穏やかであり、「外国にもこのような要件がある。国家電網の標準に全く道理がないとは言えない」としている。 LVRT能力の要求について、外部関係者はまだ信頼できる情報を得ていない。しかし、この外国風力発電機メーカーの関係者も心配している。風力発電設備に対する無理解のため、新標準の制定は細目の面でやや厳しいものになる可能性があり、「知り得る限りでは、中国には未だLVRT能力を備えるユニットはない」とのこと。 前出の国内の風力発電開発企業大手の関係者によると、完成済みの風力発電所を改造することは基本的に不可能である。風力発電所の改造は、全体的な改造であれ、個別のユニットの改造であれ、徐々に改造するには極めて複雑な技術的検討が必要であり、国際間においても未だ適当な手段がない。 「現有の風力発電所の投資はすでに2,000億元を超えている。さらに改造となると、もっと多くの金がかかる」と風力発電開発企業関係者は言う。 この点について、遅永寧氏は、国家標準の意見募集版に技術レポートを付して、技術標準の制定時に、いかなる原因によって問題が発生しているかについて説明したと言う。また、遅永寧氏は、「意見募集版完成後、中国電力企業聯合会と国家電力監督管理委員会に提出し、そこから関係機関に意見を求めた。もし、個別の要件があまりにも厳しいと普遍的に考えられる場合には、討論の余地がある」とした。 「我々の目的はただ1つ。風力発電を、予測と制御が可能で、障害に強い高品質の電源、電力系統に優しい電源にすることだ」と遅永寧氏は言う。 (人民網 6月29日)
「早ければ来年初め頃に風力発電系統連系技術の国家標準が施行される」。6月25日に開催されたアジア風力エネルギー大会において、中国電力科学院新エネルギー研究所の遅永寧副総工程師が本紙記者に明かした。
実際、国家電網はこの数年来、風力発電系統連系への参入の仕組みを絶えず強化している。中国初の風力発電所系統連系の技術ガイドラインである《風力発電所電力系統連系技術規定》(以下《技術規定》とする)は、中国科学院が起草し、その後、2005年12月12日には国家品質監督検査検疫総局と国家標準化管理委員会が合同で公布した。
遅永寧副総工程師の言う国家標準とは正しく《技術規定》のグレードアップ版であり、「当時の風力発電規模やユニットの製造レベルを考えても、あの《技術規定》は極めて低級な標準であった」。
記者が得た情報では、風力発電系統連系技術の国家標準は、有効出力及びその制御要件、無効出力容量の範囲及び電圧制御要件、LVRT ( Low Voltage Ride-Through )能力の要件並びに風力発電所の系統連系モニタリングの4つの面で改訂を進めることになる。現在、国家標準の意見募集版が完成し、専門家のみに公開されている。
今は未だ正式に公表されていないにも関わらず、間もなく制定される国家標準はすでに波紋を広げている。技術がどの程度高められるかに加え、技術モニタリングと認証資格についても様々な憶測を呼んでいる。
形を変えた老朽生産力の保護に?
その日の発言の中で、遅永寧副総工程師が最も頻繁に口にしたのが「LVRT」である。風力発電の系統連系においてLVRTは不可欠であるという結論になるが、実際には利害関係者にとって頗る微妙な問題である。
LVRTとは、電力系統の故障や変動によって風力発電の系統連系ポイントの電圧低下が生じた場合、一定の電圧低下の範囲内において、風力発電ユニットが間断なく連系運転出来ることを言う。
中国電力科学院は国家電網直属の科学研究機関であり、新標準制定の中心になっているため、必然的に争論の矢面に立っている。
「国家電網は国や業界を代表しているのか、それとも彼等自身のために標準を制定するのか」と、国内の風力発電開発企業大手の関係者は疑問を投げかける。「もし電力系統がもっと堅固であれば、容量がもっと大きければ、計画がもっと適切であれば、電力指令がもっと良好であれば、果たしてこのような問題が起きただろうか」
同関係者の見方によると、電力系統の問題は、風力発電所に大鉈を振るうことではなく、電力系統の改造に所在する。「いかなる企業といえども、国を代表して他の産業の発展を制約してはならない。今回の標準制定は、形を変えた時代遅れの生産力の保護であり、中核利益グループが先進的生産力の発展を制限するものである」と同人は言う。
同関係者の強烈な反発に比べると、外国風力発電機メーカーの関係者は若干穏やかであり、「外国にもこのような要件がある。国家電網の標準に全く道理がないとは言えない」としている。
LVRT能力の要求について、外部関係者はまだ信頼できる情報を得ていない。しかし、この外国風力発電機メーカーの関係者も心配している。風力発電設備に対する無理解のため、新標準の制定は細目の面でやや厳しいものになる可能性があり、「知り得る限りでは、中国には未だLVRT能力を備えるユニットはない」とのこと。
前出の国内の風力発電開発企業大手の関係者によると、完成済みの風力発電所を改造することは基本的に不可能である。風力発電所の改造は、全体的な改造であれ、個別のユニットの改造であれ、徐々に改造するには極めて複雑な技術的検討が必要であり、国際間においても未だ適当な手段がない。
「現有の風力発電所の投資はすでに2,000億元を超えている。さらに改造となると、もっと多くの金がかかる」と風力発電開発企業関係者は言う。
この点について、遅永寧氏は、国家標準の意見募集版に技術レポートを付して、技術標準の制定時に、いかなる原因によって問題が発生しているかについて説明したと言う。また、遅永寧氏は、「意見募集版完成後、中国電力企業聯合会と国家電力監督管理委員会に提出し、そこから関係機関に意見を求めた。もし、個別の要件があまりにも厳しいと普遍的に考えられる場合には、討論の余地がある」とした。
「我々の目的はただ1つ。風力発電を、予測と制御が可能で、障害に強い高品質の電源、電力系統に優しい電源にすることだ」と遅永寧氏は言う。
(人民網 6月29日)