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【省エネ・環境】

上海市が第12次5ヵ年規画低炭素経済発展基本構想対策建議を発表 (11/01/14)
2011/1/25
中国【省エネ・環境】

 低炭素経済の発展やグリーン開発の促進が世界の新しい経済発展と変革の原動力となっている中、中国で最も経済の発展している都市の一つである上海は今後5年間、こうした課題に対していかに対応するのだろうか。超大型都市の特性に適合した低炭素発展の道を徐々に歩んで行くのだろうか。

 1月13日に開かれた上海市人民代表大会記者発表会において、第12次5ヵ年規画低炭素発展研究チームは、《上海市第12次5ヵ年規画期における低炭素発展の基本構想と対策建議》を発表、上海が今後5年間、低炭素発展を探求する上で直面する様々な課題をめぐって、様々な分野から対象を絞った解決策を提唱した。

 研究報告が指摘しているように、人口が高度に密集し、産業が高度に集中し、エネルギーが高度に投入され、汚染を高度に排出する超大型都市である上海にとって、低炭素開発は第12次5ヵ年規画期の発展を図る上で必然的な選択になる。研究チームの提供したデータによると、上海のエネルギー総消費量とCO2排出総量は年々上昇しており、2008年の上海のCO2総排出量は約2億トン、一人当たりのCO2排出量は年間約11トンに上り、中国平均水準の2倍余りになる。GDP1万元当たりのCO2排出強度は約1.7トンで、北京、広州などの諸都市の水準を上回っている。

 上海の一部の高炭素産業、例えば、電力、石油化学、鉄鋼等の産業は上海の支柱産業であり、こうした産業を短期的に改めることは極めて難しい。そのため、比較的顕著な「CO2 排出源の固定化(カーボンロックイン)」をもたらしている。近年、上海の建築と交通分野のエネルギー使用と炭素排出もまた急速な増加を示している。統計によると、現在建築で使用されているエネルギーは上海の総エネルギー消費のおよそ18%を占め、しかも毎年10%前後のペースで増加している。その他にも、自然条件や地理的環境、土地資源などの制約のため、上海の太陽エネルギーや風力などの新エネルギーは開発の余地が限られ、その結果、カーボンシンク能力の伸びも限られる。上海が現在進めている低炭素発展促進策は、技術的な保障や監督管理の手段を欠いている。

 今回の「建議」によると、上海の第12次5ヵ年規画期における低炭素発展の基本構想には、低炭素万博のデモ推進作用を十分に発揮せしめること、低炭素技術の研究開発と応用を加速、推進すること、生産と生活方式の転換を加速、推進すること、低炭素イノベーションによって上海の発展方式の転換を推進することなどが含まれる。また、エネルギー、工業、交通や建築等の分野に重点を置いて、エネルギー効率と資源効率を高め、クリーン・エネルギーの供給及び使用の比率も高め、低炭素技術の研究開発と使用に対する支援を強化し、都市の炭素監督管理の能力と水準を適切に高め、全面的な低炭素社会の建設を誘導することをもって、低炭素発展の全体目標とする。

 「建議」は、上述の発展の構想及び目標に基づき、エネルギー、工業、建築、交通及び農村など多様な分野をカバーする解決策を打ち出している。「建議」は、エネルギー分野では引き続きエネルギー供給並びに消費構造の高度化を進めるとし、また、工業分野では、エネルギー効率の水準と炭素生産率を重要な根拠として、産業、業種及び企業の取捨選択を適切に行うべきとしている。また、交通分野では、国際的にも海運業の炭素排出削減の呼び声がますます高まる中で、上海は低炭素港湾、低炭素造船業やクリーン・エネルギー船団といった分野で建設と発展を進めることを一層重視し、長興島ハイエンド造船基地を創出し、第4世代「低炭素スマートネットワーク型」の国際海運センターを建設すべきであるとしている。

 (中新社 1月14日)