在来原子力発電技術の安全性が問われている中、中国独自開発の第4世代原子力発電所である栄成石島原子力発電所が4月上旬に山東省栄成で着工される。投資額50億元、工期4年。中国初の高温ガス冷却炉モデルプラントであり、出資比率は、華能集団47.5%、中国核鉱業建設集団32.5%、清華大学20%。長期的には400万kW規模になる。 世界で運転されている原子力発電所の大多数は第2世代及び第3世代改良技術であり、日本の福島原発は第2世代である。現在、米国ウエスティングハウスのAP1000と仏AREVAのEPRに代表される第3世代技術の商業化が進められており、中国の完成済みの原子力発電所でも第3世代技術を採用している。しかし、第2世代であれ、第3世代であれ、いずれも核反応炉であり、その絶対多数は加圧水型炉である。第3世代と第2世代には実質的な差はなく、第3世代は安全性と技術が向上したに過ぎない。 一方、第4世代技術は中国の独自開発であり、2003年、清華大が設計、建造した1万kW高温ガス冷却実験炉がフル出力の運転と系統連系に成功した。2006年に公布された《国家中長期科学技術発展規画綱要(2006−2020)》では、高温ガス冷却炉を国家科技重要専門事業16件のうちの1つとした。2008年、国務院常務会議は高温ガス冷却炉原子力発電所総合実施計画案を議決し、高温ガス冷却炉は将来のエネルギーセキュリティと経済的需要に適応する第4世代新型原子炉とされた。 第4世代原子力発電技術については一般に殆ど知られていないが、アモイ大学エネルギー研究員の李寧院長によると、第4世代で採用されている高温保護は、第2世代、第3世代とは異なり、放射能漏れの際の冷却を要しない。また、数千度の高温でも運転可能であり、熱から電力への転換効率が高い。「安全性の面で第4世代は第3世代、第2世代よりも著しく優れている。第4世代で採用されるヘリウムガス冷却剤は高温条件の下で自然対流方式によって熱反応炉を制御する。摂氏1600度の高温で数百時間加熱しても、炉芯被膜燃料の完整性を保持することが出来る」と李寧院長は言う。 記者の理解では、現在の加圧水型炉は巨大であるが、実際にはその中で原子炉の体積はおよそ千分の一に過ぎない。原子炉が小さすぎ、単位当たりの熱発生量が極めて大きいため、炉芯溶融を招きやすい。そのため、安全を確保するには大量の水を要する。しかし、原子炉が十分大きければ放熱が容易になり、水冷却によって炉芯の溶融を防ぐ必要もない。第4世代の高温ガス冷却炉はこのような原理に基づく。 業界内では、今回の日本の地震と福島原発の放射能漏れ事故は中国の原子力発電建設に対する警鐘であり、今後の原子力発電所建設計画において4世代原子力発電所技術の開発と応用が一層重視されるとの指摘もある。 (第一財経日報 3月16日)
在来原子力発電技術の安全性が問われている中、中国独自開発の第4世代原子力発電所である栄成石島原子力発電所が4月上旬に山東省栄成で着工される。投資額50億元、工期4年。中国初の高温ガス冷却炉モデルプラントであり、出資比率は、華能集団47.5%、中国核鉱業建設集団32.5%、清華大学20%。長期的には400万kW規模になる。
世界で運転されている原子力発電所の大多数は第2世代及び第3世代改良技術であり、日本の福島原発は第2世代である。現在、米国ウエスティングハウスのAP1000と仏AREVAのEPRに代表される第3世代技術の商業化が進められており、中国の完成済みの原子力発電所でも第3世代技術を採用している。しかし、第2世代であれ、第3世代であれ、いずれも核反応炉であり、その絶対多数は加圧水型炉である。第3世代と第2世代には実質的な差はなく、第3世代は安全性と技術が向上したに過ぎない。
一方、第4世代技術は中国の独自開発であり、2003年、清華大が設計、建造した1万kW高温ガス冷却実験炉がフル出力の運転と系統連系に成功した。2006年に公布された《国家中長期科学技術発展規画綱要(2006−2020)》では、高温ガス冷却炉を国家科技重要専門事業16件のうちの1つとした。2008年、国務院常務会議は高温ガス冷却炉原子力発電所総合実施計画案を議決し、高温ガス冷却炉は将来のエネルギーセキュリティと経済的需要に適応する第4世代新型原子炉とされた。
第4世代原子力発電技術については一般に殆ど知られていないが、アモイ大学エネルギー研究員の李寧院長によると、第4世代で採用されている高温保護は、第2世代、第3世代とは異なり、放射能漏れの際の冷却を要しない。また、数千度の高温でも運転可能であり、熱から電力への転換効率が高い。「安全性の面で第4世代は第3世代、第2世代よりも著しく優れている。第4世代で採用されるヘリウムガス冷却剤は高温条件の下で自然対流方式によって熱反応炉を制御する。摂氏1600度の高温で数百時間加熱しても、炉芯被膜燃料の完整性を保持することが出来る」と李寧院長は言う。
記者の理解では、現在の加圧水型炉は巨大であるが、実際にはその中で原子炉の体積はおよそ千分の一に過ぎない。原子炉が小さすぎ、単位当たりの熱発生量が極めて大きいため、炉芯溶融を招きやすい。そのため、安全を確保するには大量の水を要する。しかし、原子炉が十分大きければ放熱が容易になり、水冷却によって炉芯の溶融を防ぐ必要もない。第4世代の高温ガス冷却炉はこのような原理に基づく。
業界内では、今回の日本の地震と福島原発の放射能漏れ事故は中国の原子力発電建設に対する警鐘であり、今後の原子力発電所建設計画において4世代原子力発電所技術の開発と応用が一層重視されるとの指摘もある。
(第一財経日報 3月16日)