6月7日、ロン・カーク米国通商代表(駐WTO大使)は、中国が国内風力発電所の調達に対する補助金の停止に同意したと対外的に表明した。 国家発展改革委員会エネルギー研究所の某研究員は「毎日経済新聞」の記者に対し、「補助金撤廃」という言い方は事実に反し、メディアは誤解していると指摘した。同氏によると、度重なる交渉を経て最終的に認識が一致したのは、財政部が2008年に制定した《風力発電設備産業化専門基金管理暫定弁法》を廃止するということである。同弁法は、条件に適合する風力発電設備メーカーの当初の50台のメガワット級風力発電機に対し、1キロワット当たり600元の基準で補助金を交付すると規定している。この助成基準において、完成機メーカーと中核部品メーカーが各50%を占めるとともに、中核部品の中でも脆弱な部分に重点的に傾斜し、主に新製品の開発に補助金を当てた。 前出の研究員の指摘によると、米国は、財政部のこのような「報奨によって補完する」政策は中国に風力発電機を輸出する上での最大の障害になると見なしてきた。同研究員は、第12次5ヵ年規画期に国が風力発電設備メーカーに対する補助金を続けるのかどうか、具体的な措置は未だはっきりしていないと述べている。 次第に成熟した風力発電企業 2008年に前出の暫定弁法が制定されて以降、3年余りの修練を経て、中国の風力発電企業は徐々に成熟し、「今や相当の競争力を備えており、すでに産業化が進んでいる」。アモイ大学エネルギー経済研究センターの林伯強主任は「毎日経済新聞」のインタビューを受けて表明した。中国の風力発電企業は今では「走出去」(対外進出)を行なうに足る十分な実力を有している。 しかし、米国の風力発電設備は価格が高いので、コスト面の優位が極めて高い中国の風力発電設備と拮抗することが出来ない。そのため、中国の風力発電の「躍進」に対して、米国は恐れを抱かないわけには行かない。 昨年10月、米国は中国のクリーン・エネルギー関連政策措置に対する「301調査」を発動した。中国が新エネルギー企業に巨額の補助金を交付するとともに、新エネルギー事業の入札から米国企業を排斥していると見なしたのである。 この調査は、中国の風力、太陽エネルギー、電池や省エネ型自動車産業に及んだが、特に風力発電はその矢面に立った。 中国再生可能エネルギー学会風力専門委員会の施鵬飛氏は以前、中国政府は「走出去」を進める風力発電企業に対して何ら補助金を交付しておらず、企業が現地の状況に適応できるかどうかを見るべきであると表明したことがある。 研究開発の不足が足枷 林伯強氏は、今回の補助金撤廃が決定事項であるなら、中国の風力発電設備メーカーの「走出去」にとって益するところが多いと指摘する。 林伯強氏の見方によると、中国の風力発電技術は依然としてレベルを高めることが必要である。自主研究開発が十分でなく、製品の更新が遅れを取っているため、産業の持続可能性に影響が及んでいる。林伯強氏は、中国の風力発電設備は依然「安価」を競争のポイントとしており、全体的に国外の同種の設備にははるかに及ばない。 北京交通大学新エネルギー研究所の姜久春所長は、中国は風力発電の基礎研究開発に対する投資が十分でなく、産業発展は欧米との間に依然大きな格差があり、国内の科学技術界、産業界はイノベーションを重視すべきであると指摘したことがある。 そのため、前出の国家発展改革委員会エネルギー研究所の某研究員は、今後も中国は依然風力発電設備メーカーを支援し、研究開発等に対して適正な助成を行うことになると指摘する。 補助金停止の影響は極めて軽微 グリーン・ピースの気候・エネルギーマネージャーである李昂氏は、「毎日経済新聞」記者に対し、中国の風力発電はすでに起動段階を過ぎており、たとえ補助金が部分的に撤廃されたとしても影響は大きくないと告げた。但し、今後とも再生可能エネルギーにはもっと多くの財政、市場面の支援が必要である。 2010年末、中国は米国に代わり、世界最大の風力発電設備国になった。李昂氏によると、中国の再生可能エネルギー開発が今後直面する国際競争は恐らくはもっと多くなり、対応の準備をしっかりと行なうことが必要である。 「強壮」になってきた中国の風力発電設備メーカーは、今後極めて長期にわたって海外で価格上の優位を維持するだろう。林伯強氏は、たとえ補助金がなくなっても、中国の風力発電メーカーの「海外進出」にはほとんど影響はないと見ている。 (毎日経済新聞 6月10日)
6月7日、ロン・カーク米国通商代表(駐WTO大使)は、中国が国内風力発電所の調達に対する補助金の停止に同意したと対外的に表明した。
国家発展改革委員会エネルギー研究所の某研究員は「毎日経済新聞」の記者に対し、「補助金撤廃」という言い方は事実に反し、メディアは誤解していると指摘した。同氏によると、度重なる交渉を経て最終的に認識が一致したのは、財政部が2008年に制定した《風力発電設備産業化専門基金管理暫定弁法》を廃止するということである。同弁法は、条件に適合する風力発電設備メーカーの当初の50台のメガワット級風力発電機に対し、1キロワット当たり600元の基準で補助金を交付すると規定している。この助成基準において、完成機メーカーと中核部品メーカーが各50%を占めるとともに、中核部品の中でも脆弱な部分に重点的に傾斜し、主に新製品の開発に補助金を当てた。
前出の研究員の指摘によると、米国は、財政部のこのような「報奨によって補完する」政策は中国に風力発電機を輸出する上での最大の障害になると見なしてきた。同研究員は、第12次5ヵ年規画期に国が風力発電設備メーカーに対する補助金を続けるのかどうか、具体的な措置は未だはっきりしていないと述べている。
次第に成熟した風力発電企業
2008年に前出の暫定弁法が制定されて以降、3年余りの修練を経て、中国の風力発電企業は徐々に成熟し、「今や相当の競争力を備えており、すでに産業化が進んでいる」。アモイ大学エネルギー経済研究センターの林伯強主任は「毎日経済新聞」のインタビューを受けて表明した。中国の風力発電企業は今では「走出去」(対外進出)を行なうに足る十分な実力を有している。
しかし、米国の風力発電設備は価格が高いので、コスト面の優位が極めて高い中国の風力発電設備と拮抗することが出来ない。そのため、中国の風力発電の「躍進」に対して、米国は恐れを抱かないわけには行かない。
昨年10月、米国は中国のクリーン・エネルギー関連政策措置に対する「301調査」を発動した。中国が新エネルギー企業に巨額の補助金を交付するとともに、新エネルギー事業の入札から米国企業を排斥していると見なしたのである。
この調査は、中国の風力、太陽エネルギー、電池や省エネ型自動車産業に及んだが、特に風力発電はその矢面に立った。
中国再生可能エネルギー学会風力専門委員会の施鵬飛氏は以前、中国政府は「走出去」を進める風力発電企業に対して何ら補助金を交付しておらず、企業が現地の状況に適応できるかどうかを見るべきであると表明したことがある。
研究開発の不足が足枷
林伯強氏は、今回の補助金撤廃が決定事項であるなら、中国の風力発電設備メーカーの「走出去」にとって益するところが多いと指摘する。
林伯強氏の見方によると、中国の風力発電技術は依然としてレベルを高めることが必要である。自主研究開発が十分でなく、製品の更新が遅れを取っているため、産業の持続可能性に影響が及んでいる。林伯強氏は、中国の風力発電設備は依然「安価」を競争のポイントとしており、全体的に国外の同種の設備にははるかに及ばない。
北京交通大学新エネルギー研究所の姜久春所長は、中国は風力発電の基礎研究開発に対する投資が十分でなく、産業発展は欧米との間に依然大きな格差があり、国内の科学技術界、産業界はイノベーションを重視すべきであると指摘したことがある。
そのため、前出の国家発展改革委員会エネルギー研究所の某研究員は、今後も中国は依然風力発電設備メーカーを支援し、研究開発等に対して適正な助成を行うことになると指摘する。
補助金停止の影響は極めて軽微
グリーン・ピースの気候・エネルギーマネージャーである李昂氏は、「毎日経済新聞」記者に対し、中国の風力発電はすでに起動段階を過ぎており、たとえ補助金が部分的に撤廃されたとしても影響は大きくないと告げた。但し、今後とも再生可能エネルギーにはもっと多くの財政、市場面の支援が必要である。
2010年末、中国は米国に代わり、世界最大の風力発電設備国になった。李昂氏によると、中国の再生可能エネルギー開発が今後直面する国際競争は恐らくはもっと多くなり、対応の準備をしっかりと行なうことが必要である。
「強壮」になってきた中国の風力発電設備メーカーは、今後極めて長期にわたって海外で価格上の優位を維持するだろう。林伯強氏は、たとえ補助金がなくなっても、中国の風力発電メーカーの「海外進出」にはほとんど影響はないと見ている。
(毎日経済新聞 6月10日)