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中国
【原子力】

中国科学院の院士が直言「中国の原子力発電大躍進は大問題をもたらす」 (11/06/27)
2011/6/27
中国【原子力】

 中国科学院の院士であり中国科学院理論物理研究所研究員の何祚●氏は、中国の原子力発電大躍進計画は「極めて大きな問題をもたらす」と述べ、真剣に見直すことが必要であると主張した。

 何氏は、「気候変動対応 原子力発電の解決案と課題」フォーラムにおいて、「中国は原子力発電政策を大幅に見直すべし」と題する講演を行ない、大略次のように述べた。

 中国の運転中の原子炉は11基、出力900万kWでしかないが、建設中の原子炉は26基、合計2,800万kWに上る。さらに、国家能源局と工程院は、2020年には7,000万kW、2030年には2億kW、2050年には4〜5億kWに増やすとの目標を検討している。もしこの目標が実現すれば、中国の原子力発電の規模は世界の原子力発電の合計を超える。しかし、問題は、この原子力計画の策定に当たって、安全問題に対していかなる評価や分析も行なっていないことである。チェルノブイリの名前さえ出て来ない。

 世界では400基余りの原子力発電所が運転されているが、これまで重大事故が3回発生した。確率はほぼ1%になる。1%の事故率が中国ではどうなるのか想像に耐えない。

 福島の事故は我々にとって重要な啓示の1つである。少数の人間だけが密室で策定している原子力発電所「大躍進」計画は直ちに停止する必要がある。原子力発電所のコストと収益を改めて評価、分析しなければならない。原子力発電はクリーンで経済的なエネルギーであると単純に考えるわけには行かない。事故を起こさないことが、クリーンで経済的で安全なエネルギーの条件である。中国は原子力発電が大規模に発展する条件を備えてはいない。
 
(一財網 6月27日)

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