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中国
【原子力】

原子力発電の専門家「国家レベルで原子力発電緊急対応機関を確立せよ」 (11/06/30)
2011/7/7
中国【原子力】

 北京で「国際原子力発電安全シンポジウム」が開催され、米国、欧州、インドや中国の専門家は、原子力発電の安全を対象に国家レベルの緊急対応体制並びに専門機関が必要であり、監督機関は独立性、権威性、専門性を有しなければならないと指摘し、特に独立性については、構造の独立性(他の政府体系や非政府体系から独立し、不当な影響を受けない)、操作の独立性(監督管理体系に十分な技術と金融ソースを提供できる)及び文化の独立性が含まれるとした。

 監督管理機関の役割は極めて重要であり、シンポジウムに参加した専門家は、福島原発事故によって日本の監督管理の欠陥が露呈し、即時の対応が出来なかったとの見方を示した。

 一方、中国は第12次5ヵ年規画及び2020年までの中長期計画において、原子力発電の発展速度や計画で野心を抱いている。2020年には中国の原子力発電規模は米国に次ぐことになる。

 中国の原子力発電の監督管理システムの確立は1984年に開始され、国際間の実践を参考に、原子力開発部門から独立した国家核安全局を設けた。1998年には国務院の機構改革により、国家核安全局は当時の環境保護総局(現環境保護部)に編入された。現在、環境保護部に属する国家核安全局が民用核施設の安全に対する監督管理機能を担っている。

 環境保護部核・放射安全センターの幹部は記者の取材に対して次のように表明した。中国の原子力発電監督管理の主な課題は監督管理能力である。原子力発電発展の必要に完全に応じることが出来ていない。中国の安全監督管理組織は人数が少ない反面、監督管理の範囲が広い。技術と設備は遅れている。職員の待遇は低く、人材を留めておくことが難しい。最適な人材を任用することはさらに難しい。

 然るに、シンポジウムに出席した専門家は、監督管理の仕組みであれ、緊急対応措置や原子力政策の策定実施であれ、いずれも《原子力法》による支えが必要であると指摘する。中国は《原子力法》の制定を立法化の重点にすべきである。

 専門家はさらに、原子力発電の安全を保証する基礎や内在要件として、原子力安全文化の概念を提唱した。原子力安全文化は監督管理機関に体現される。すなわち、営業に干渉して停止させる権力であり、違法行為に対して制裁を行なう能力である。また、市民の有効な参加も原子力の安全を確保する上で重要な条件になる。市民の幅広い参加によって、政府と監督管理機関の不十分な部分を監督、補完するとともに、原子力発電運営企業が常に原子力発電の安全を重視するよう促すことが出来る。

 今回のシンポジウムの主催者でもある米国天然資源保護委員会(NRDC)気候変動・エネルギー上級顧問の楊富強博士は、中国は原子力発電の安全についての市民への宣伝や教育の面で不十分であり、情報の透明度の向上も必要であるとの見方を示した。「安全問題に対応できなければ、原子力発電の発展を阻害することになる。安全問題に十分に対応できてようやく原子力発電は大きな発展が出来る」と楊富強博士は強調する。原子力発電にとって最重要なのは安全である。

 (財新網 6月30日)