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【石油・天然ガス】

新たな石油・天然ガス価格改革案が国務院に上程 (11/10/13)
2011/10/17
中国【石油・天然ガス】

 【政府関係部局が特別収益金の課徴起点の引き上げを検討開始】

 石油価格の16か月ぶりの引き下げや資源税改革の全国推進が近いことから、中国の新たな石油・天然ガス市場化改革が幕を開けるだろう。

 権威筋によると、石油製品と天然ガスの2大価格改革案が国務院に上程され、承認を待っている。国内石油製品価格の透明度が増し、また、天然ガス価格は国際油価に応じて動態的に調整される公算である。同時に、政府関係部局は特別収益金の課徴起点の引き上げを検討し始めた。

 【石油・天然ガス価格改革が推進間近】

 上述の権威筋は、「現行の国内石油価格制度が始まってからすでに3年になり、原油と国内石油製品価格の関係は基本的に合理化され、市場への安定供給が確保されている。しかし、実際の運営において部分的な問題も表面化している。例えば価格調整のサイクルが長すぎることや、価格調整時期が遅いこと、国内石油製品価格に国際原油価格の変化を直ちに反映させることが難しいこと、価格決定フォーミュラの透明度が低いことなどだ」と述べた。

 同筋によると、今年に入り国際油価の大幅な変動に伴って、政府は国内石油製品価格に対する統制を強化したものの、石油価格調整の頻度は緩慢であり、大幅な調整は実施されず、そのため製油企業に深刻な赤字をもたらし、価格制度の正常な運行に一定の影響が及んでいる。

 「政府は、国内石油製品価格制度の改革案の研究、完備に取り組んでいる。価格調整サイクルの短縮や価格調整頻度の増加、石油製品価格運行操作方式の改善、価格決定の透明度の向上などだ。改革案はすでに国務院に上程されている」と上述の権威筋は述べた。

 同筋によると、最近の石油製品価格の引き下げも、この新たな仕組みを生み出す条件作りのためである。

 天然ガス価格決定制度の改革について、前出の権威筋は、第12次5ヵ年規画及び第13次5ヵ年計画の天然ガス需要の年平均伸び幅は200億m3を超えるが、現行の国内天然ガス価格形成の仕組みは国産ガスに基づいて制定されたものであり、天然ガス輸入の急増という新たな情勢には最早適応できないと指摘する。

 「目下政府は国内天然ガス価格改革案の制定に取り組んでいる。短期的な改革目標は、市場の需給と資源の不足程度を反映する動態的な調整の仕組みを確立し、天然ガスと代替可能エネルギーの比較価格関係を合理化することだ」と上述の権威筋は指摘する。石油価格改革と同様に、海外資源の導入は国内天然ガス市場価格改革を推進する触媒になる。中国の天然ガスの対外依存度の上昇に伴い、国内天然ガス価格改革も加速されている。近い将来に中国は現在の石油製品価格決定の仕組みに類似する天然ガス価格形成の仕組みを確立することになり、国内天然ガス価格は国際石油相場の変動に応じて動態的に調整されることになる。

 【特別収益金課徴起点引き上げの見通し】

 注目すべきは、国務院が最近修正した資源税暫定条例など3つの文書において、資源税改革が全国に広がり、鉱産使用費が同時に撤廃される。但し、業界が予想している特別収益金の同時改革は未だ実現していない。

 上述の権威筋によると、中国の現行の資源税費制度は「税」と「費」が併存し、機能が重複し、管理体制が分かれているため、新たな情勢下での国内石油資源探査開発の必要には適応できていない。そのため、政府は関連する資源税費制度の調整と完備、特に石油特別収益金政策の調整と完備を徐々に進めている。

 「特別収益金は2006年から課徴が開始されたが、外部環境や石油企業の状況には顕著な変化が発生しており、特別収益金政策の不合理性がますます顕著になっている。資源税改革の全国普及や近年の為替レートの変化、石油ガス企業の生産コストの上昇などの要因を考慮して、政府関係部局は特別収益金の課徴起点の引き上げや政策の弾力性の強化などの面から石油特別収益金政策の検討と完備に取り組んでいる。資源税改革と同時に進むことは間違いない」と同筋は言う。

 中国石油化工集団(SINOPEC)の王天普総裁も昨日、中国は石油ガス特別収益金の課徴起点を引き上げるが、具体的なスケジュールは未だ分からないと表明した。

 俗に「暴利税」と呼ばれる特別収益金は2006年3月26日より全面的に徴収が始まった。原油価格が1バレル40ドルを超えた場合、5つの等級の超過額に応じた累進従価定率に基づき納付する。国際石油価格が高くなればなるほど、納付すべき額も高くなり、課徴比率は最高40%になる。

 海通証券の試算によると、石油特別収益金の課徴起点を1バレル40ドルから50ドルに引き上げると、資源税改革が石油化学企業に及ぼす不利な影響を基本的に相殺することが出来る。

 (中国石化新聞網 10月13日)