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【石油・天然ガス】

中露天然ガス合意の可否はプーチン頼みであってはならない (12/05/17)
2012/5/25
中国【石油・天然ガス】

 プーチンが3回目の大統領選に当選したことは、中露関係にどのような新しい変化をもたらすのだろうか。この点について、商務部国際貿易経済協力研究院の梅新育博士が問題の分析と寸評を行い、プーチンが中露間の長期戦略でアレンジを行うが、中露天然ガス合意が成るかどうかはプーチンだけに頼るわけにはいかないとして、次のような見方を示した。

 プーチン大統領は、今回の任期が6年に延長されて、より多くの時間を与えられ、より一層長期的で戦略的な政策措置が可能になる。中露間の長期的、戦略的関係についてもプーチンがより長期的なアレンジを行うことが出来ると期待される。プーチンの第3期の任期中、中露間の力のバランスや国際政治経済システムにおける中露両国の地位にも変動があるだろう。プーチン就任前に比べると国際政治経済システムにおけるロシアの地位にはひっくり返るような変化があったが、しかしそれさえも、国際政治経済システムにおける中国の地位の上昇には比べ物にならない。もし任期が余りにも短ければ、ロシアにとって調整を進めることは比較的困難になるが、任期が長ければ、直面する圧力も小さくなる。ロシアの外交的伝統は「双頭の鷲」であり、地理的位置と文化的伝統によって規定される。ロシアの歴史、地理的位置や文化的伝統は西洋キリスト教的伝統を底流としているが、同時にアジアからの色彩も多分に汲み取ってきた。我々はロシアが「双頭の鷲」の作用を発揮するよう期待する。しかし、「双頭の鷲」戦略は当面のところ厄介な問題をもたらしている。民間の社会伝統、社会の世論と空気、中露間の文化交流はあまり重視されていない。ロシアの社会エリート階層は多分に西洋に追随し、中国の文化的伝統に対する理解は相対的に低い。このことは、中露間の政治、経済、戦略等の全面的な深化と拡大に対して、一種の、無形でありながら非常に強烈な影響をもたらしている。

 中露天然ガス交渉は膠着状況を打開することが難しい。鍵になるのは利益の分配である。その主な理由は、第1に、当面の国際エネルギー価格が高水準にあること。しかし、このような高い水準が長期的に続くとは思われない。

 第2に、ロシア産天然ガスが中国国内に入った後は中国が国内の販売と敷設を把握するというのが我々の希望である。しかし、ロシア側はこうした販売等の面でも利益を手にしようと欲している。そのため、価格決定モデルをめぐって争論がある。ロシアは中国のみならず、韓国と日本にも天然ガスを輸送するよう図っている。消費と大口顧客を増やすことで、中国という顧客だけに一面的に依存することを避けるとともに、自身の対中交渉力を増強しようとしている。しかし、中国にとっては、海外の天然ガス源が一つだけというわけでは決してない。中国は国内においてほとんど十指を数える1,000億m3級のガス源を手にし、海外の天然ガス源についてもトルクメニスタンとカザフスタンがある。トルクメニスタンからの天然ガスパイプラインはすでに広東に伸びている。その上、中国にはオーストラリアからのLNG輸入源がある。

 Gazpromが中国市場における自身の交渉能力を自覚し、最終的に長期持続的な価格モデルで合意に達するには時間がかかる。しかし、中国とロシアが天然ガスで最終合意文書に調印できるかどうか、プーチン大統領のみに頼ることは出来ない。資源の国際相場やエネルギー市場の変動を見守ることが極めて重要である。ロシア側をして、自身の高すぎる期待値を引き下げ、中国という大口顧客を逃さないようにさせなければならない。

 (中国経済網 5月17日)