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【原子力】

中国の新規原子力発電事業再開がほぼ確定 (12/05/25)
2012/5/25
中国【原子力】

 福島原発事故後に停止されていた中国の原子力発電事業の再開がすでに固まるとともに、開発規模も拡大することになる。原子力発電の専門家であり中国科学院院士である何祚●氏は、第15回中国北京国際科技産業博覧会・2012年中国スマートグリッド産業とクリーン・エネルギー発展サミットフォーラムにおいて、中国が原子力発電3,000万kWを新規建設する計画であり、実現すれば第12次5ヵ年規画期末の中国の原子力発電設備容量が7,000万kWに達すると表明した。

 「事業再開は近い。当面の問題は総量が増加するのかしないのか、どの程度増加するのかということだ。5月29日に中国科学院は計画案について検討会を開いた」と何祚●氏は述べた。同氏によると、中国の運転中の原子力発電設備容量は現在1,250万kWであるが、以前の計画案は、2015年には4,000万kW以上にするとしていた。

 ここ1年余りの調査で、電力不足やエネルギー構造を考慮に入れた結果、4,000万kWの設備容量ではすでに賄えないということになった。少し前に中国原子力産業協会副事務局長の徐玉明氏が第8回中国原子力国際大会において、6月に新規原子力発電事業の許認可が再開されるとの見通しを示していた。5月21日には総投資額70億元の四川省仁寿県雲端原子力発電設備プロジェクトが着工された。業界筋の見方では、同プロジェクトの着工は原子力発電事業の再開が時間の問題であることを示すものである。

 しかし、何祚●氏は、新たな3,000万kWの原子力発電を増やすかどうかについては大きな論争があると指摘し、自身も反対者の一人であると言う。「当面の国際間の既存技術では原子力発電の絶対的安全を十分保証することが出来ない。現在政府が提唱している第三世代原子力発電技術も小改良に過ぎない。第三世代も第二世代と同様に打開的な改良があるわけでは決してない。このような状況では4,000万kWでもすでに限界だ。もし、さらにほとんど倍増ということになれば、技術上の難題を打開することは根本的に不可能だ」と何祚●氏は言う。同氏の指摘によると、政府が原子力発電を停止していた間、企業が既成事実化を進め、そのため当面の総量がすでに政府の把握している状況を大幅に超えている。

 この点について、アモイ大学中国エネルギー経済研究センターの林伯強主任は、原子力発電事業の再開は確かに必然の勢いであるが、総量面ではしっかり抑えておく必要があり、大きな急進は不可能」との見方を示しつつ、「しかし、中国の建設能力や安全確保から見て、4,000万kWを維持するだけで精一杯だ。もしさらに3,000万kW追加することになれば、工期を保証することができなくなるだけでなく、安全にも問題が出る」と述べ、また、「技術レベルの問題だけでなく、民衆の憂慮も軽視できない」と指摘しつつ、「これまでの検査で生じた問題は決して公表されていない。総量が増えれば、必ずやパニックと反対を引き起こすに違いない」とした。

 国家能源局のデータによると、2011年の中国の全国電力使用量は4.7兆kWhであったが、2015年の全国電力需要は現在の1.42倍の6兆kWh前後に達する。

 (北京商報 5月25日)

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