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【石油・天然ガス】

中露天然ガス交渉に「上流と下流の一体化」の新構想 (12/05/30)
2012/6/7
中国【石油・天然ガス】

 5月29日、中国外交部の程国平副部長は、中露間の天然ガス価格問題について、両国の企業が中国側の新たな提案に基づいて交渉を進めていると表明し、新たな打開につながることに対して期待を示した。

 29日、程国平副部長とラゾフ駐中国ロシア大使が北京でプレス発表を行い、ロシア大統領プーチンの訪中について説明した。プーチン大統領は6月5〜7日に中国を公式訪問する。5月7日の大統領就任後初の中国訪問になる。プーチン大統領は北京で開かれる上海協力機構加盟国元首理事会会議に参加することになる。

 今回のプレス発表において最も注目されたのは中露天然ガス協力問題である。中露天然ガス交渉が始まって久しいが、価格問題のため双方は合意に達していない。交渉は度々暗礁に乗り上げ、「融資と資源の交換」や「中国側の代金前払い」などのプランも相次いで否定された。

 程国平副部長が明らかにしたところでは、4月末に李克強副首相がロシア訪問中に、天然ガス価格について新たな提案を行っていた。程国平副部長はこの提案の詳細については具体的な説明を避けたが、全く新しい協力方式であり、「上流・下流の一体化」を方向性として、「リスクの共同分担と利益の共有」を原則とするとした。程国平副部長によると、プーチン大統領はこの提案に対して「これは良いアイデアだ」との反応を示し、「現在中露両国の関係企業は中国側の提案に基づいて交渉を進めている」と述べ、「今回、双方の交渉において新たな打開が実現されるに違いない」とした。

 ロシアから中国への天然ガス輸出については2004年に中露間の交渉が始まり、ロシアは2006年3月の了解覚書に基づいて2本の中国向け天然ガスパイプラインを敷設し、2011年には中国への天然ガス輸出を開始する計画であったが、価格問題で隔たりを埋めることができず、交渉は遅々として進まなかった。2008年には副首相級のエネルギー交渉の仕組みを樹立し、王岐山副首相が中国側の代表を担当してきた。

 6月1日、中露エネルギー交渉代表第8回会談が北京で開かれる。ロシア側代表は新たに副首相に就任したドボルコビッチ、中国側は王岐山副首相。

 ラゾフ駐中国ロシア大使は、今回の会談の主要任務として、第1に両国元首のエネルギー問題に関する交渉の下準備を行い双方が各自の立場を表明すること、第2にエネルギー協力をめぐって一部プロジェクトを推進することを挙げた。また、ラゾフ大使によると、プーチン大統領の中国訪問中にエネルギー交渉についても中露間に文書が交わされ、金額は「数十億ドル」に達する公算である。

 (経済観察網 5月30日)