賽迪智庫太陽光発電研究所が発表した《2012年下半期における中国太陽光発電産業の経済運行情勢分析並びに予測》は、太陽光発電産業の2012年の全体状況と動向について詳細な分析を行い、太陽光発電産業は「内外挟撃」を受けているとした。 世界の太陽光発電産業は2010年まで爆発的発展を経たが、それ以降急転直下し、米国、ドイツ等の太陽光発電企業の多くが倒産した。中国の太陽光発電産業も例外ではいられず、赤字、減産、停産は業界の常用句になっている。国内的には生産能力の増加スピードが市場の伸びを上回る中、太陽光発電製品価格は急落し、企業経営への圧迫は急速に増大した。一方、対外的には中国の太陽光発電産業を対象とする米国の「反ダンピング・反補助金」制裁は、長らく海外市場に依存してきた中国の太陽光発電産業に影を落としている。主要輸出対象であるEUも中国の太陽光発電製品に貿易制裁を実施しようとしており、もし成立した場合は中国の太陽光発電産業に対してより一層大きな打撃を与えることになる。賽迪智庫の《2012年下半期における中国太陽光発電産業の経済運行情勢分析並びに予測》は中国の太陽光発電産業の現状と発展について次のように徹底した分析を行っている。 (1)製品価格は今後とも下落し企業経営への圧迫が増大する 生産能力過剰と市場の伸び率の鈍化に影響され、太陽光発電製品の価格は大幅に下落した。2011年には太陽光発電産業チェーンの各プロセスにおいて製品価格は遍く50%以上もの下落を示した。2012年の1月から6月にかけて、ポリシリコン価格は30.5ドル/kgから23.6ドル/kgに下落し、下落幅は22.6%になった。電池価格も1月初めの0.951ドル/Wから6月末には0.82ドル/Wへと、13.8%下落した。製品価格はすでに生産コストに近づいている。国内のポリシリコン企業の生産コストは33〜40ドル/kgであり、ポリシリコン平均価格はすでに国内企業の生産コストを下回っている。ポリシリコン企業の80%は生産停止かもしくは半生産停止状態にある。太陽電池企業の大部分は2012年第1四半期に赤字に陥り、経営への圧迫は依然として極めて大きい。第2四半期にはやや好転したものの、全体的には未だ苦境から脱却していない。2012年下半期もポリシリコン価格の低迷が続き、20〜30ドル/kgで推移すると予想される。シリコン電池価格は2012年末には0.7ドル/Wまで下がるだろう。製品価格の下落は企業の利益を圧縮し、生産コストが高く技術水準の低い企業は徐々に市場から淘汰されるだろう。 (2)保護貿易主義が激化 2012年上半期に米国商務省は中国の太陽光発電製品に対して「反補助金」と「反ダンピング」の裁定を行い、それぞれ2.9〜4.7%と31.14〜249.9%の関税を課すとともに、裁定の日から90日遡って関税を徴収することになった。さらに、米国の法律に基づき、関税保証金を徴収することになり、資金繰りの苦しい中国企業にとっては経営への圧迫が激増した。太陽光発電企業の2012年第1四半期財務報告によると、シリコン電池生産コストは約0.75ドル/W、平均販売価格は約0.8ドル/Wであるが、米国が35%近くの「反補助金・反ダンピング」関税を追徴すると、中国の太陽光発電製品は米国市場において完全に競争上の優位を失う。一方、EUも中国の太陽光発電製品に対する貿易保護調査を準備していると伝えられており、中国の太陽光発電産業に対する打撃は一層大きくなる。 (3)国外のポリシリコン企業が低価格攻勢で中国企業に衝撃 国外のポリシリコン企業は低価格競争戦略を実施し、中国へ低価格で輸出して、中国のポリシリコン市場を奪取しようとしている。税関統計によると、2012年5月に米国から輸入されたポリシリコン平均価格は22ドル/kgであった。しかし、米国上場企業の財務報告から分析すると、米国企業の生産コストは23ドル/kg以上である。平均輸入価格は長期契約価格と現物価格の加重平均であるが、長期契約価格が一般に現物価格より高いところから、米国のポリシリコン現物価格はすでに生産コストを大幅に下回っていると見られる。中国のポリシリコン企業は米国の低価格競争戦略によってその80%が生産停止かもしくは半生産停止状態に陥っている。ポリシリコン工場が1年以上生産を停止すると、再開コストは高くなり、完全に倒産する可能性もある。もし、このような状況がさらに半年続くならば、中国の大多数のポリシリコン企業は完全倒産の憂き目に遭うことになる。 (4)統廃合は不可避も多重の困難 今後中国の太陽光発電産業は統廃合が不可避である。しかし、統廃合の過程には多くの問題が付きまとう。シリコンインゴットやシリコンチップの企業はやや状況が良いが、ポリシリコン企業は規模が小さく、生産コストが高いため、買収もままならない可能性がある。電池企業のアフターサービス問題も買収コストの見積もりを進める上で阻害要因になる。そのため、大企業は「買収するよりは新たに建設する方が良い」と表明している。また、太陽光発電事業の融資は地方政府と複雑に絡み合う関係にあり、太陽光発電企業の倒産は現地の雇用に影響を及ぼすだけでなく、地方政府の不良債権につながる可能性もあり、場合によっては温州融資危機に類する社会問題を引き起こすことになる。 (賽迪網 7月26日)
賽迪智庫太陽光発電研究所が発表した《2012年下半期における中国太陽光発電産業の経済運行情勢分析並びに予測》は、太陽光発電産業の2012年の全体状況と動向について詳細な分析を行い、太陽光発電産業は「内外挟撃」を受けているとした。
世界の太陽光発電産業は2010年まで爆発的発展を経たが、それ以降急転直下し、米国、ドイツ等の太陽光発電企業の多くが倒産した。中国の太陽光発電産業も例外ではいられず、赤字、減産、停産は業界の常用句になっている。国内的には生産能力の増加スピードが市場の伸びを上回る中、太陽光発電製品価格は急落し、企業経営への圧迫は急速に増大した。一方、対外的には中国の太陽光発電産業を対象とする米国の「反ダンピング・反補助金」制裁は、長らく海外市場に依存してきた中国の太陽光発電産業に影を落としている。主要輸出対象であるEUも中国の太陽光発電製品に貿易制裁を実施しようとしており、もし成立した場合は中国の太陽光発電産業に対してより一層大きな打撃を与えることになる。賽迪智庫の《2012年下半期における中国太陽光発電産業の経済運行情勢分析並びに予測》は中国の太陽光発電産業の現状と発展について次のように徹底した分析を行っている。
(1)製品価格は今後とも下落し企業経営への圧迫が増大する
生産能力過剰と市場の伸び率の鈍化に影響され、太陽光発電製品の価格は大幅に下落した。2011年には太陽光発電産業チェーンの各プロセスにおいて製品価格は遍く50%以上もの下落を示した。2012年の1月から6月にかけて、ポリシリコン価格は30.5ドル/kgから23.6ドル/kgに下落し、下落幅は22.6%になった。電池価格も1月初めの0.951ドル/Wから6月末には0.82ドル/Wへと、13.8%下落した。製品価格はすでに生産コストに近づいている。国内のポリシリコン企業の生産コストは33〜40ドル/kgであり、ポリシリコン平均価格はすでに国内企業の生産コストを下回っている。ポリシリコン企業の80%は生産停止かもしくは半生産停止状態にある。太陽電池企業の大部分は2012年第1四半期に赤字に陥り、経営への圧迫は依然として極めて大きい。第2四半期にはやや好転したものの、全体的には未だ苦境から脱却していない。2012年下半期もポリシリコン価格の低迷が続き、20〜30ドル/kgで推移すると予想される。シリコン電池価格は2012年末には0.7ドル/Wまで下がるだろう。製品価格の下落は企業の利益を圧縮し、生産コストが高く技術水準の低い企業は徐々に市場から淘汰されるだろう。
(2)保護貿易主義が激化
2012年上半期に米国商務省は中国の太陽光発電製品に対して「反補助金」と「反ダンピング」の裁定を行い、それぞれ2.9〜4.7%と31.14〜249.9%の関税を課すとともに、裁定の日から90日遡って関税を徴収することになった。さらに、米国の法律に基づき、関税保証金を徴収することになり、資金繰りの苦しい中国企業にとっては経営への圧迫が激増した。太陽光発電企業の2012年第1四半期財務報告によると、シリコン電池生産コストは約0.75ドル/W、平均販売価格は約0.8ドル/Wであるが、米国が35%近くの「反補助金・反ダンピング」関税を追徴すると、中国の太陽光発電製品は米国市場において完全に競争上の優位を失う。一方、EUも中国の太陽光発電製品に対する貿易保護調査を準備していると伝えられており、中国の太陽光発電産業に対する打撃は一層大きくなる。
(3)国外のポリシリコン企業が低価格攻勢で中国企業に衝撃
国外のポリシリコン企業は低価格競争戦略を実施し、中国へ低価格で輸出して、中国のポリシリコン市場を奪取しようとしている。税関統計によると、2012年5月に米国から輸入されたポリシリコン平均価格は22ドル/kgであった。しかし、米国上場企業の財務報告から分析すると、米国企業の生産コストは23ドル/kg以上である。平均輸入価格は長期契約価格と現物価格の加重平均であるが、長期契約価格が一般に現物価格より高いところから、米国のポリシリコン現物価格はすでに生産コストを大幅に下回っていると見られる。中国のポリシリコン企業は米国の低価格競争戦略によってその80%が生産停止かもしくは半生産停止状態に陥っている。ポリシリコン工場が1年以上生産を停止すると、再開コストは高くなり、完全に倒産する可能性もある。もし、このような状況がさらに半年続くならば、中国の大多数のポリシリコン企業は完全倒産の憂き目に遭うことになる。
(4)統廃合は不可避も多重の困難
今後中国の太陽光発電産業は統廃合が不可避である。しかし、統廃合の過程には多くの問題が付きまとう。シリコンインゴットやシリコンチップの企業はやや状況が良いが、ポリシリコン企業は規模が小さく、生産コストが高いため、買収もままならない可能性がある。電池企業のアフターサービス問題も買収コストの見積もりを進める上で阻害要因になる。そのため、大企業は「買収するよりは新たに建設する方が良い」と表明している。また、太陽光発電事業の融資は地方政府と複雑に絡み合う関係にあり、太陽光発電企業の倒産は現地の雇用に影響を及ぼすだけでなく、地方政府の不良債権につながる可能性もあり、場合によっては温州融資危機に類する社会問題を引き起こすことになる。
(賽迪網 7月26日)