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バイオマスエネルギーの第12次5ヵ年規画目標が再修正 (12/08/16)
2012/8/23
中国【新エネルギー】

 先日公布された《再生可能エネルギー第12次5ヵ年規画》においてバイオマスエネルギーの第12次5ヵ年規画目標はさらに明確になった。今回の規画において目標は若干修正された。同規画によると、2015年には全国のバイオマスエネルギー利用量は化石エネルギー5,000万tce(標準炭換算トン)に相当することになり、うちバイオマス発電設備容量は1,300万kW、メタン発酵ガス年間利用量は220億m3、バイオブリケット年間利用量は1,000万トン、バイオエタノール年間利用量は350〜400万トン、バイオディーゼルとバイオジェット燃料の年間利用量は100万トンになる。

 一方、昨年の全国農村エネルギー工作会議において明らかになった目標は、第12次5ヵ年規画期末のバイオマス発電設備容量1,300万kW、メタン発酵ガス年間利用量220億m3、バイオブリケット年間利用量2,000万トン、バイオエタノール年間利用量300万トン、バイオディーゼル年間利用量150万トンとされていた。

 両者を比較すると、バイオブリケット年間利用量の目標は半減して1,000万トンになり、バイオエタノール年間利用量は50〜100万トン上方修正された。そして、バイオディーゼルにバイオジェット燃料も追加されるとともに、年間利用量の目標は50万トン下方修正された。こうした変更点について関係者に取材したところ、合理的なものであり、関係部門がより実務的になった現れであり、そうすることで既定の目標達成を確保するというのが大方の見方である。

 バイオブリケット目標が半減されたことについては、中国再生可能エネルギー学会バイオマスエネルギー専門委員会の袁振宏事務局長も、一定の必要性があったからと見ており、「もし規画目標を余りにも高く設定すると、国の補助金を大幅に増やして財政負担を増やすことになる」と指摘する。

 2008年に公布された《くずわらエネルギー化利用補助基金管理暫定弁法》に基づき、国はくずわらによるブリケット企業のうち資本金1,000万元以上、年間くずわら消費量1万トン以上の企業にトン当たり100〜150元の資金支援を供与している。「もし目標が2,000万トンになれば、国庫から20億元余りの予算を補助金に当てなければならない。しかも、補助金を給付する企業に対する調査や審査の作業が膨大になる。目標を1,000万トンに下方修正したことは、国の財政負担を軽減し、企業に対する審査作業を減らす上で有効であるのみならず、規画目標を達成する上で勝算も大きくなる」と、袁振宏事務局長は分析する。

 最新のバイオマスエネルギー第12次5ヵ年規画目標はより一層合理的で実務的になったものの、様々な要因からの影響も受けやすい。中でも最も大きい制約は原料供給システムと末端販売市場の建設である。

 業界関係者はバイオマス発電所を例に挙げて原料供給システムの問題を説明し、「燃料として利用する前は、農林廃棄物は量が膨大でしかも価格が安かった。しかし、所要量が大規模な工業原料になると、原料供給には価格高騰問題が発生する。一部の事業者は暴利を貪ろうとして燃料に水や砂を混ぜる者さえおり、発電所の燃料コストが増えるだけでなく、発電効率も下がる。発電所にとっては極めて大きな問題だ」と言う。一方、末端販売市場の問題は主にバイオ液体燃料の面に表れている。専門家の指摘によると、バイオ燃料の生産コストは在来エネルギーに比べると依然として高い。また、国の政策支援や財政補助が乏しく、販売企業や消費者にとっては経済性が欠けるので、バイオ燃料が理想的な市場シェアを占めることは難しい。

 (中国能源網 8月16日)