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【新エネルギー】

急成長する中国の新エネルギー産業に付きまとう4大問題 (12/10/17)
2012/10/25
中国【新エネルギー】

 賽迪顧問公司(CCIDコンサルティング)が10月17日に発表した研究レポートによると、中国の新エネルギー産業は急速に発展しているが、産業体系の不健全、国内市場の未成熟、政策体系の不備、コアテクノロジーの対外依存という4大問題が付きまとっている。また、地域分布の面では、新エネルギー産業のクラスター化と集中化がさらに顕著になり、環渤海エリアと長江デルタエリアを中核とする東部沿海新エネルギー産業集中区が形成されており、中部の一部地域でも江西、河南、四川、内蒙古、新疆等の中西部新エネルギー産業集中区が形成されている。

 地域分業の面では、長江デルタと環渤海地区は主に新エネルギーの研究開発やハイエンド製造機能を担い、中部地区は中核材料の研究開発及び製造機能を担っている。また、西部地区は豊かな天然資源に依拠して新エネルギー発電事業を担っている。新エネルギー発電事業は電力グリッドを通して電力を華北、華中、華南等に送り、全体的に新エネルギーには東部・中部・西部の協調的な発展の局面が形作られている。

 賽迪顧問のデータによると、中国は新エネルギー開発規模が最も大きい国であり、2010年の再生可能エネルギー発電設備(水力・風力発電・ソーラー・バイオマス・原子力等を含む)は総設備容量の26.5%を占めた。2011年の中国のポリシリコン生産能力は16.5万トン、生産量は約8.4万トンに上り、前年比87%増となった。2011年の新規風力発電設備容量は1万7,630.9MW、前年比6.85%減と10年ぶりのマイナスなったが、依然として新規設備では世界最多である。2011年の世界のクリーン・エネルギー投資は前年比5%増えて2,600億ドルになったが、その中で中国のクリーン・エネルギー投資は474億ドルに上り、米国に次ぐクリーン・エネルギー投資大国である。全体的に見て、中国の新エネルギー産業は急速に発展している。

 その一方で、同レポートは中国の新エネルギー産業には多くの問題があると指摘する。

 第1に、産業体系が不健全であり、過剰と不足のジレンマが顕著である。新エネルギー産業体系の建設には、新エネルギー設備製造、製品の生産、事業建設、融資、企業(又は発電所や事業)管理運営システム、産業標準、技術イノベーションシステム、参入システムなど一連の内容が包摂されるが、中国の新エネルギー産業は歴史が浅く、産業体系が未だ整っていない。産業体系が不健全なため、新エネルギー産業の発展において生産能力の過剰と不足のジレンマが発生している。

 第2に、国内市場の成熟度が低く、資源保障能力は乏しい。中国の新エネルギー市場は海外に集中しており、国内の新エネルギー市場の成熟度は相対的に低い。国内新エネルギー市場の建設に対する戦略性、長期性、複雑性や新エネルギーの高い開発コストに対する認識が不十分であり、社会の認知や整った市場環境にも欠ける。

 第3に、政策体系が整っておらず、市場のニーズに応じることが出来ない。過去数年、中国は新エネルギー産業の発展を推進するため、《再生可能エネルギー法》や《再生可能エネルギー中長期規画》も含め一連の政策法規を制定したが、《系統連系電力価格法》に類する市場推進法案は制定されておらず、市場の推進は遅れを取っている。また、現行の法規では、事業の許認可、資金配分の転換、価格メカニズムなど統一的な協調の仕組みについては明確な規定がない。

 第4に、コアテクノロジーを海外に依存し、自主イノベーション能力が弱い。中国は今や世界第2位の風力発電設備大国であり、第1位の太陽電池生産大国であるが、基礎研究開発投資の不足が顕著であり、キーテクノロジーのボトルネックが打開できないままである。自主技術の成熟は遅々として進まず、そのため産業は「導入−陳腐化−再導入」の隘路に陥っている。コアテクノロジーの空洞化は中国の新エネルギー生産能力が急速に発展する中で、ますます突出した問題になっている。

 (新華08網 10月17日)