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【原子力】

中国内陸部の原子力発電事業はなぜ凍結解除されなかったのか (12/10/25)
2012/10/25
中国【原子力】

 10月16日、原子力安全第12次5ヵ年規画が打ち出され、「原子力発電再開」をめぐる論議が改めて巻き起こっている。核心的な問題は、中国が建設準備が進められてきた内陸部の原子力発電所に対する許認可手続きを再開するかどうかである。

 福島原発事故が発生するまでは、中国は2015年には原子力発電設備容量を4,000万kWに、2020年には8,000万kWに拡大するよう計画していた。一方、現在運転中の原子炉は15基、総設備容量は2,000万kW足らずである。沿海地区ではすでに既存の原子力発電所がほぼフルに配置されており、建設が計画されている原子力発電所はすべて内陸部の江西、湖南、広西、四川、河南など人口密度の高い地区に立地されている。今回の原子力発電事業再開には内陸の原子力発電所も対象になるというのが大方の見方であった。しかしながら、10月24日に開かれた国務院常務会議は《エネルギー発展第12次5ヵ年規画》を議決するとともに、《原子力発電安全規画(2011〜2020年)》と《原子力発電中長期発展規画(2011〜2020年)》を改めて審議し、議決した。

 国務院常務会議は、昨年3月以降、運転中並びに建設中の原子力発電ユニットに対する総合安全検査を実施した上で、国務院が2回にわたって前記2つの計画について討議し、原子力発電の安全と発展に対して極めて厳正かつ慎重に対処していると指摘し、当面並びに今後一定期間における原子力発電建設の部署を行った。

 (1) 正常な建設を安全に再開する。建設のリズムを合理的に把握し、着実かつ秩序立って推進する。
 (2) 事業配置を科学的に進める。第12次5ヵ年規画期は沿海部に限って、十分な実証を経た上で少数の原子力発電所の立地を進める。内陸部については原子力発電事業の部署を行わない。
 (3) 参入基準を引き上げる。世界で最も高い安全要件に従って、原子力発電所の新規建設を進める。新規建設の原子力発電ユニットは第三世代安全基準に適合することを必須とする。
 
 注目すべきは、内陸原子力発電所が未だ凍結解除されていないことである。中国工程院の葉奇蓁院士は「技術的な角度から見て、内陸部の原子力発電所建設の安全性は十分に保障されている。しかし、福島原発事故発生以降、内陸原子力発電所をめぐる論議が高まり、原子力発電開発部門は関係部門や公衆の憂慮を考慮し、原子力発電所の正常な運転及び事故が周囲の公衆及び環境に及ぼす影響を軽減するか除去するための有効な措置を見出すまでは、内陸原子力発電事業の許認可を保留した」との解釈を示した。

 (中国電力網 10月25日)