今年に入ってから、中国の石炭生産は比較的速い増加傾向を維持してきたが、石炭消費の伸び率が下がり、在庫量が高い水準を維持して、供給が需要を上回る局面が形作られている。石炭の新規生産能力は需要の伸びを上回り、石炭生産量は37億トンを超えることになる。輸入は依然高い水準を維持し、来年の石炭経済情勢は依然として楽観できない。

　石炭の供給が頭打ちになる原因として、次のいくつかの点が挙げられる。

　第1に、経済成長が鈍化し、特にエネルギー多消費産業の伸び率が下がって、石炭需要が不振になる。今年上半期のGDP成長率は7.8％で、1.8ポイント下がった。第2に、水力発電の増発が部分的に発電用石炭に取って代わっている。第2四半期の水力発電の発電量は1,800.2億kWhで、前年同期に比べ275.8億kWh増えたが、これは原炭消費量約1,274万トンの減少に相当する。第3に、石炭輸入が大幅に増えている。1〜8月の石炭輸入は前年同期に比べ5,840万トン増えた。第4に、石炭生産は比較的速い増加傾向を維持してきた。1〜8月の石炭生産量は前年同期より1.1億トン増えた。

　そのため、国は各石炭生産地区と石炭企業が生産の合理化を進めるよう積極的に誘導している。2012年の石炭生産量36.5億トンという所期の目標に従って、全国の石炭生産量の増加幅を4％以内に抑えるとともに、関連政策措置を完備して、石炭市場の大幅な起伏を防ぎ、経済の安定的な運営を確保する。

　今年第1〜第3四半期は中国の石炭消費の伸び率の低下が続き、石炭生産販売量の伸び率も低下した。中国石炭工業協会のデータによると、第1〜第3四半期の全国石炭総消費量は約30.2億トン、前年同期比2.8％増となったが、伸び率は前年同期を7.5ポイント下回った。全国の石炭生産量は28.8億トン、前年同期比3.6％増、全国石炭販売量は27.8億トン、前年同期比2.4％増となった。石炭経済動向分析によると、短期的には沿海地区の石炭価格に小幅の上昇が生じるものの、当面の石炭市場の変化を分析する限り、需給緩和傾向には根本的な変化がない。大同・秦皇島線の保守検査が終了すると、全国の石炭市場は比較的大きな下振れ圧力に直面するだろう。

　（国際能源網 11月1日）