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中国
【原子力】

中国は一躍ウラン埋蔵大国になるのか (12/11/20)
2012/11/20
中国【原子力】

 11月4日、内蒙古中部大営地区における中央地質探査基金のウラン鉱探査において、中国最大規模の溶脱砂岩型ウラン鉱床が発見された。これまでの探査結果と合わせて、同地区のウラン累計推定埋蔵量が一躍世界クラス入りを果たす。

 「ウラン資源は原子力発電発展の前提条件の一つだ」と、中国社会科学院工業経済研究所エネルギー研究室の白副研究員は言う。「今回の発見によって、中国は国内資源に立脚して原子力発電を発展させる能力を高めることになった」。

 白副研究員の説明によると、現在、海外資源の開拓、備蓄の増加及び国内資源の探査開発がウラン資源確保の3つの方法になるが、国内資源に立脚することは中国の原子力発電の大規模な発展の基礎である。中国は20年遅れたが、目下の進展状況には好ましいものがある。

 世界のウラン資源の分布は不均衡であり、2011年で採掘費用130ドル/kgU以下のウラン確認埋蔵量は世界全体で540.4万tUになるが、オーストラリア、カザフスタンなどウラン資源保有国上位4ヵ国がその61%を占める。中国の資源量は17.14万tUで、オーストラリアの167.3万tUの10分の1でしかない。

 中国のウラン資源の特徴は、幅広く分布していることであり、確認されている350のウラン鉱床は23の省・自治区に分布している。うち中東部と南部地区が68%を占め、西部地区及び東北地区が32%を占める。ウラン鉱床の規模はいずれも小さく、中小型が総埋蔵量の60%以上を占める。単一の鉱床で埋蔵量1万トン(金属量)以上のものは少ない。

 これまで、江西、湖南、広東、広西が埋蔵量で上位を占めていたが、今回の発見により内蒙古が中国のウラン鉱埋蔵大省に躍り出た。

 国土資源部の推進の下で、「石炭とウランの並行探査」構想が広まりつつあり、中国のウラン鉱探査開発構造の転換が促されている。白副研究員によると、ウラン鉱と石炭が随伴する状況は珍しくはなく、石炭探査と並行して砂岩型ウラン鉱賦存の可能性を探査することは、第1に探査効率の向上と探査サイクルの短縮、第2にウラン鉱探査の強化、第3に資源利用効率の向上といったメリットがあり、経済収益も顕著になる。もっとも、こうしたモデルによって開発を進める場合、権益分配の難題も付きまとう。

 しかしながら、大営ウラン鉱探査において大きなブレークスルーを遂げたことは、中国の新たな地質探鉱の仕組みが実践面で成功したことを示すものであり、中国の探鉱の仕組みと技術のイノベーションと進歩によって、ウラン鉱資源のさらに大きな発見と収穫が推進されるに違いない。

 (中国産経新聞 11月20日)