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中国
【エネルギー全般・政治経済】

国務院発展研究センター「グローバルな視野から石炭供給を最適化せよ」(12/12/23)
2012/12/27
中国【エネルギー全般・政治経済】

 国務院発展研究センター産業経済研究部の銭平凡主任は2012年エネルギーサミットにおいて、次のように提唱した。

 シェールガス革命がもたらした米国おエネルギー低コスト開発時代の到来に対応し、中国の石炭サプライチェーンの関係各方面はグローバルな石炭サプライチェーンマネジメントの理念に順応し、大局を考慮に入れて、協力すべきである。国際エネルギー開発構造の変化により、中国はグローバルな石炭サプライチェーンマネジメント戦略の実施することが求められている。すなわち、国際石炭資源を積極的に利用して石炭物流システムを最適化し、石炭生産効率を高め、中国のエネルギーコストを引き下げなければならない。そうすることで、石炭という低いエネルギーコストに基づき国家の競争力を高め、中国の石炭サプライチェーンの関係各方面の効率化と協調的な発展を促進し、中国の石炭エネルギーの低コスト化と持続可能な発展を実現する。これは、石炭と電力の争いという問題にしてはならず、国家の競争力の上昇という視点が論ずべきである。

 中国の東南沿海部に深海石炭港湾エリア等の施設を建設して、国際的な石炭の「南煤北送」(南から北への石炭輸送)戦略を実現すべきである。これは中国の現行の「北煤南送」構造とは鮮明な対比をなす。国務院発展研究センターの上述の内容は研究報告にすでに研究報告にまとめられ、関係政府部門に提出されている。
 
 グローバル石炭サプライチーンマネジメント戦略を実施するのは、国際エネルギー発展情勢に適応するためである。ここ十数年、米国のシェールガスは突如として「静かなる革命」を呼び起こしている。2009年に米国はロシアを抜いて世界第1位の天然ガス生産国になった。シェールガスの発展は米国にエネルギーセキュリティをもたらすと同時に、米国の製造業の復興ももたらした。廉価な天然ガスと電力の充足によって米国の天然ガス化学工業の優位が顕著になった。米国の化学企業の稼働率は、数年前は60%に過ぎなったのが、今では93%に上昇し、世界の化学工業大手は次々と米国に移転している。

 米国の安い天然ガス価格は石炭に衝撃を与え、米国の石炭価格は下落を続けた。こうした背景の下に、米国の石炭が大量に欧州へ輸出されるようになり、世界経済の低迷と相まって、国際石炭価格は2011年以降下落が続き、今では1トン90ドル以下になった。中国の石炭価格もその影響を受け、内需の不振もあって、今年5月から下落が始まり、今では20%も下がった。中国の石炭はすでに買い手市場の新たな時代に入ったのである。

 (中国能源報 12月23日)