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【石炭】

発電用石炭の一本化が確認されるも具体的プランは未発表 (12/12/24)
2012/12/28
中国【石炭】

 12月21日、国家発展改革委員会はウェブサイトにおいて、《発電用石炭価格臨時干渉措置に関する通達》を発表したが、各界から注目されている「発電用価格方案」は依然ベールに包まれたままである。今回の通達では、現今の発電用石炭需給の逐次緩和と全国的な発電用石炭価格の安定に鑑み、2013年1月1日より発電用石炭に対する価格臨時干渉措置を解除した。すなわち、2011年に国家発展改革委員会が《発電用石炭価格調節の強化に関する通達》において示した発電用石炭の重点契約価格と市場取引価格の上限に関する規定を撤廃し、発電用石炭価格は需給双方の商議により決定するとした。通達はさらに、石炭価格のモニタリング、とりわけ発電用石炭価格のモニタリングを適正に行い、発電用石炭市場の監督管理を強化するとしている。

 2004年に計画経済の色合いが濃厚な「石炭発注会」が石炭生産輸送需要調整会に改められるととともに、国家発展改革委員会は同年から毎年11月もしくは12月に次年度の石炭生産・輸送・需要の調整作業に関して指導意見を示達してきた。石炭生産輸送需要調整会は資源配置における市場の作用を十分に発揮させ、石炭の需要と供給の両サイドの企業が自主的に協議して価格を確定することを目的とするものであるが、市場石炭価格が高騰する中で、経済の平穏な発展を保障するため、2005年、2011年及び2012年に発電用石炭重点契約価格の上昇幅が制限された。また、2006年と2010年には国家発展改革委員会は石炭生産・輸送・需要の調整に対する指導意見において、発電用石炭価格の全体的もしくは基本的な安定を維持することを明確にしていた。その結果、石炭生産輸送需要調整会の性格は旧来の全国石炭発注会と本質的に変わることがなく、発電用石炭重点契約価格は本当の意味で需給双方が協議の上で確定するものにはならず、政府による統制の印象は一貫して強いものであり、発電用石炭価格は2004年以降もなお実質的に二重制が取られていた。

 2012年に入ると石炭市場価格が低迷し、特に6月以降は大幅に下落したため、市場石炭と重点契約石炭の価格差は縮小を続け、一部地方では市場価格が重点契約価格を下回るケースも出て、石炭価格の完全な市場化に向け、チャンスが到来した。そして、こうした状況の下で、関係政府部門も石炭価格の一本化方案の策定に取り組むことになった。

 現時点では衆目期待の石炭価格一本化方案は未だ制定されておらず、2013年の石炭生産・輸送・需要の調整に関する通達も出ていないが、12月21日の上記通達は極めて重要なポイントを示している。すなわち、今後の重点契約石炭は市場石炭と同様に、需給双方の自主的な協議により価格が確定され、関係部門は干渉しないようになり、発電用石炭の一本化が基本的に確認されたということである。重点契約価格と市場価格の差が極めて小さいものになり、関係部門が干渉しないようになれば、需給双方が自主的に協議することになり、石炭価格も暫時一本化されるのは自然の成り行きである。ここでわざわざ「暫時一本化」と言うのは、今回の通達の目的があくまで今年初頭から実施された発電用石炭価格臨時干渉措置を解除することが目的であり、石炭と電力の連動や輸送力配置などの内容には触れていないからである。干渉措置を撤廃するのは《価格法》の規定に基づき、干渉措置及び緊急措置を実施する状況が消滅したからであるにすぎない。同じく《価格法》の規定に基づき、もし将来発電用石炭価格に著しい上昇が生じた場合、関係部門が改めて重点契約石炭価格やその上昇幅を規定することは避け難い。なお、この場合、石炭価格がすでに一本化されているので、ここで言う重点契約石炭とは、鉄道輸送力が保障する発電用石炭になる。

 鉄道輸送力は今なおタイトであり、電力の市場化改革が停滞する中で、石炭市場の平穏な運営とは単に石炭需給企業だけの問題ではなく、また、石炭産業チェーン全体も石炭価格だけが問題になっているのではない。そのため、関係部門も12月21日の通達を受けて、2013年の石炭生産・輸送・需要の調整に関して引き続き次々と文書を通達し、真の意味での石炭価格一本化案もいずれ公布されるだろう。なぜなら、将来の鉄道輸送力をどのように配置するか、石炭価格の調整に伴って電力価格をどうするのかなどの疑問については未だに解答が出ていないからである。いずれにせよ、市場石炭と重点契約石炭が一本化に向かいつつあり、石炭価格一本化の時機は熟し、関係政府部門が重点契約石炭価格に対する統制を暫時放棄すること、すなわち発電用石炭価格の一本化を暫時実現することはすでに基本確認されている。市場化の流れに抵抗することは不可能であり、今日は発電用石炭価格を一本化し、明日は二重制を実行して重点契約石炭価格を改めて統制するというわけには行かなくなる。将来の産業管理は各方面の改革推進を通して実現するしかない。

 (国家能源網 12月24日)