1月15日、李克強副首相は、大気汚染管理は長期的なプロセスになるが、出来る限りのことをしなければならないと表明した。李副首相の発言には、最近全国の広い範囲で発生した深刻な大気汚染とそれに起因する経済と交通の深刻な問題が背景にある。 北京市環境保護局が経済情報化委員会や衛生局と連名で出した共同声明によると、《北京市重汚染日緊急対策方案》の始動以来、建材、鉄鋼、化学など排出の大きい業種の重点排出削減企業のうち58社の生産停止を実現し、汚染源を完全に切り離した。また41社は減産や汚染防止施設の効率向上などにより、汚染物排出を30%以上削減した。さらに、北京地区のセメント工場のうち、強聯セメントや平谷第2セメント工場などの完全操業停止を実現し、北京セメント工場も一部生産ラインを停止した。 「中国の大気汚染に起因する毎年の経済損失は、疾病コストに基づいて試算するとGDPの1.2%に相当し、支払い意思に基づいて試算すると3.8%に達する」。アジア開発銀行と清華大学が発表した《持続可能な環境に邁進する未来の中華人民共和国国家環境分析》が示すように、エネルギー需要と自動車保有台数の増大や工業の急速な拡大に起因する大気環境の深刻な悪化は人体の健康と生態系にマイナス影響を及ぼしている。 2011年の中国のGDPは47兆元であり、GDPの1.2%として計算すると、大気汚染による経済損失は5,640億元に達する。さらに、GDPの3.8%で計算すると、2012年に大気汚染がもたらした損失は2兆元近くに上る。 経済損失だけでなく、交通事故も大気汚染の深刻な後遺症である。石家荘長安交通警察大隊の張延軍氏によると、スモッグが発生すると、交通事故の確率は平常時の数倍から数十倍になる。 今回の全国的なスモッグは、これまで地方政府部門が一面的にGDPを追求して、環境のモニタリングや管理を怠ってきたことに対する警告だ」と、上海商学院経済学教授の彭理正氏は指摘する。企業や個人もまた自己の利益の最大化を追求するのみで、環境保護の社会責任を軽視してきた。環境を犠牲にして粗放型の経済高度成長を実現するモデルは最早立ち行かない。このような経済発展モデルは人々の短期的な経済利益を満たすが、環境汚染の深刻なリスクを潜在させると彭理正氏は言う。 「エネルギー多消費・高汚染産業の発展は小さからぬ影響を受けるだろう。国の関係部門はこれを機に、エネルギー多消費・高汚染産業を抑制又は移転する方法を検討して、経済発展方式の転換を急ぐことになろう」と、東北証券の匿名希望のアナリストは指摘する。今回の環境問題は石炭や化学工業に不利な影響を及ぼす公算である。 国は第12次5ヵ年規画期に環境保護税の課税を開始するとのことである。業界筋の見方によると、環境保護税の課税が始まると、石油、化学、火力発電などエネルギー多消費で高汚染の伝統企業の環境保護面での需要が刺激され、環境保護産業は黄金時代を迎えるだろう。 「大気汚染は工業構造、エネルギー構造や都市計画など様々な面に関わる。重汚染の天気を対象に臨時的な応急措置を取っても無駄だ」と清華大学環境化学工程研究院の郝吉明院長は断言する。 「中長期的に言えば、省エネ・排出削減こそが大気汚染解決の根本策だ。火力発電所の大気汚染防止標準も今後5年間の脱硫・脱硝目標を提示するとともに、都市交通の排出削減を進め、もっと厳しい自動車排ガス標準が次々に制定されるだろう」と前出のアナリストは言う。今後5年、老朽化生産能力の淘汰、エネルギー使用効率の引き上げ、汚染物排出削減の深化が環境保護産業の重点になるだろう。 《持続可能な環境に邁進する未来の中華人民共和国国家環境分析》は、中国政府が資源価格決定の仕組みを改革するとともにグリーン課税制度を導入すべきであると提言している。アジア開発銀行が打ち出したグリーン課税制度は、資源の採掘と汚染物並びに二酸化炭素の排出を対象に課税し、汚染抑制設備の投資に対しては税控除を認めるものである。 (国際金融報 1月16日)
1月15日、李克強副首相は、大気汚染管理は長期的なプロセスになるが、出来る限りのことをしなければならないと表明した。李副首相の発言には、最近全国の広い範囲で発生した深刻な大気汚染とそれに起因する経済と交通の深刻な問題が背景にある。
北京市環境保護局が経済情報化委員会や衛生局と連名で出した共同声明によると、《北京市重汚染日緊急対策方案》の始動以来、建材、鉄鋼、化学など排出の大きい業種の重点排出削減企業のうち58社の生産停止を実現し、汚染源を完全に切り離した。また41社は減産や汚染防止施設の効率向上などにより、汚染物排出を30%以上削減した。さらに、北京地区のセメント工場のうち、強聯セメントや平谷第2セメント工場などの完全操業停止を実現し、北京セメント工場も一部生産ラインを停止した。
「中国の大気汚染に起因する毎年の経済損失は、疾病コストに基づいて試算するとGDPの1.2%に相当し、支払い意思に基づいて試算すると3.8%に達する」。アジア開発銀行と清華大学が発表した《持続可能な環境に邁進する未来の中華人民共和国国家環境分析》が示すように、エネルギー需要と自動車保有台数の増大や工業の急速な拡大に起因する大気環境の深刻な悪化は人体の健康と生態系にマイナス影響を及ぼしている。
2011年の中国のGDPは47兆元であり、GDPの1.2%として計算すると、大気汚染による経済損失は5,640億元に達する。さらに、GDPの3.8%で計算すると、2012年に大気汚染がもたらした損失は2兆元近くに上る。
経済損失だけでなく、交通事故も大気汚染の深刻な後遺症である。石家荘長安交通警察大隊の張延軍氏によると、スモッグが発生すると、交通事故の確率は平常時の数倍から数十倍になる。
今回の全国的なスモッグは、これまで地方政府部門が一面的にGDPを追求して、環境のモニタリングや管理を怠ってきたことに対する警告だ」と、上海商学院経済学教授の彭理正氏は指摘する。企業や個人もまた自己の利益の最大化を追求するのみで、環境保護の社会責任を軽視してきた。環境を犠牲にして粗放型の経済高度成長を実現するモデルは最早立ち行かない。このような経済発展モデルは人々の短期的な経済利益を満たすが、環境汚染の深刻なリスクを潜在させると彭理正氏は言う。
「エネルギー多消費・高汚染産業の発展は小さからぬ影響を受けるだろう。国の関係部門はこれを機に、エネルギー多消費・高汚染産業を抑制又は移転する方法を検討して、経済発展方式の転換を急ぐことになろう」と、東北証券の匿名希望のアナリストは指摘する。今回の環境問題は石炭や化学工業に不利な影響を及ぼす公算である。
国は第12次5ヵ年規画期に環境保護税の課税を開始するとのことである。業界筋の見方によると、環境保護税の課税が始まると、石油、化学、火力発電などエネルギー多消費で高汚染の伝統企業の環境保護面での需要が刺激され、環境保護産業は黄金時代を迎えるだろう。
「大気汚染は工業構造、エネルギー構造や都市計画など様々な面に関わる。重汚染の天気を対象に臨時的な応急措置を取っても無駄だ」と清華大学環境化学工程研究院の郝吉明院長は断言する。
「中長期的に言えば、省エネ・排出削減こそが大気汚染解決の根本策だ。火力発電所の大気汚染防止標準も今後5年間の脱硫・脱硝目標を提示するとともに、都市交通の排出削減を進め、もっと厳しい自動車排ガス標準が次々に制定されるだろう」と前出のアナリストは言う。今後5年、老朽化生産能力の淘汰、エネルギー使用効率の引き上げ、汚染物排出削減の深化が環境保護産業の重点になるだろう。
《持続可能な環境に邁進する未来の中華人民共和国国家環境分析》は、中国政府が資源価格決定の仕組みを改革するとともにグリーン課税制度を導入すべきであると提言している。アジア開発銀行が打ち出したグリーン課税制度は、資源の採掘と汚染物並びに二酸化炭素の排出を対象に課税し、汚染抑制設備の投資に対しては税控除を認めるものである。
(国際金融報 1月16日)