1月29日に開かれた中露石油ガス協力シンポジウムにおいて、専門家は世界的な「シェールガス革命」が国際エネルギー構造に大きな変革をもたらし、そのことが中露エネルギー協力に巨大なチャンスをもたらすと指摘した。 ロシアは2011年から中露原油パイプラインによって年間1,500万トンの原油供給を開始し、中国東北の石油輸入戦略ルートが始動したが、中露天然ガス交渉は政府間のMOUが調印されたものの、企業間の契約は未だ調印できないままである。 国務院発展研究センター・ユーラシア社会発展研究所の孫永祥研究員によると、ロシアは2030年までのエネルギー戦略の中で、東方へのエネルギー多元化輸出を打ち出しているが、中露両国のエネルギー発展戦略は未だ噛み合わず、地政学と経済利益の矛盾が背後に存在している。中露天然ガス協力の最大の障害は価格問題である。 中露天然ガス交渉において、ロシア天然ガス会社Gazpromは天然ガス価格を石油価格に連動させることを提案しているが、中国の天然ガス価格は依然として低い水準に抑えられており、中国側の交渉企業である中国石油天然ガス集団(CNPC)としてはロシアの提示価格を受け入れることが出来ない。 中国現代国際関係研究院ロシア研究所の馮玉軍所長の見方によると、中露天然ガス交渉の価格をめぐるギャップには、両国のエネルギー供給と市場の多元化戦略も反映されている。もし中国が比較的高い価格でロシア産ガスを受け入れた場合、現在大規模な輸入が行われている中央アジア天然ガスにも値上げ圧力が加わることになる。一方、ロシアが欧州より低い価格を中国向けに適用した場合、欧州からの価格見直しの圧力が大きくなるに違いない。 CNPC経済技術研究院の孫賢勝院長は、2012年の中国の天然ガス輸入は数百億元の赤字になったと指摘した上で、もしロシアガスの価格が中央アジアガスよりも高くなれば、必然的に企業は受入可能かどうか考慮しなければならないと述べた。 北米を中心とする「シェールガス革命」がもたらす国際エネルギー構造の大きな変革は、中露間のエネルギー協力を推進する契機になるかもしれない。馮玉軍氏によると、シェールガス革命以降、米国の天然ガス生産量の上昇が続き、中東やカナダのLNGやパイプラインガスに対する依存が下がり、延いては天然ガスを輸出できるまでにまった。国際天然ガス市場は分裂市場から一体化へと徐々に進みつつある。 さらに、馮玉軍氏の分析によると、欧州へのLNG流入が増えたことに加えて債務危機の影響で欧州のエネルギー需要が下がっているため、ロシアのパイプラインガスに対する需要も下がっている。ロシアのパイプラインガスの欧州への輸出量は近年低下しており、欧州の需要家もロシアに価格見直しを求めるようになった。そのため、ロシアはアジア市場に目を向け始めた。このことが中露天然ガス交渉を進展させる上でチャンスをもたらすことになる。 孫永祥氏によると、米国の天然ガス生産量はすでに4年連続でロシアを上回っている。2012年の米国の天然ガス生産量は6,796億m3に達し、天然ガス価格は31%下がった。ロシアの天然ガス生産量は6,550億m3、前年比2.2%の減産になり、輸出量は9.7%減少した。一方、中国の天然ガス需要は依然として上昇を続けている。中国政府はシェールガスの大規模な発展を打ち出し、支援政策を適用しているが、シェールガスの大規模生産は短期的には実現が難しい。中国の第12次5ヵ年規画は2015年に一次エネルギー消費に占める天然ガスの比率を7.5%に高めることを目標に掲げているが、現在その比率は5%足らずでしかない。 中国国際問題研究所の夏義善研究員は、中露天然ガス協力に対して自信を持つべきであるが、焦り過ぎは禁物であると述べ、市場化の原則と多元化の方向性に従い、双方にとって適応と協調が可能な道を模索すべきであるとした。 (新華網 1月30日)
1月29日に開かれた中露石油ガス協力シンポジウムにおいて、専門家は世界的な「シェールガス革命」が国際エネルギー構造に大きな変革をもたらし、そのことが中露エネルギー協力に巨大なチャンスをもたらすと指摘した。
ロシアは2011年から中露原油パイプラインによって年間1,500万トンの原油供給を開始し、中国東北の石油輸入戦略ルートが始動したが、中露天然ガス交渉は政府間のMOUが調印されたものの、企業間の契約は未だ調印できないままである。
国務院発展研究センター・ユーラシア社会発展研究所の孫永祥研究員によると、ロシアは2030年までのエネルギー戦略の中で、東方へのエネルギー多元化輸出を打ち出しているが、中露両国のエネルギー発展戦略は未だ噛み合わず、地政学と経済利益の矛盾が背後に存在している。中露天然ガス協力の最大の障害は価格問題である。
中露天然ガス交渉において、ロシア天然ガス会社Gazpromは天然ガス価格を石油価格に連動させることを提案しているが、中国の天然ガス価格は依然として低い水準に抑えられており、中国側の交渉企業である中国石油天然ガス集団(CNPC)としてはロシアの提示価格を受け入れることが出来ない。
中国現代国際関係研究院ロシア研究所の馮玉軍所長の見方によると、中露天然ガス交渉の価格をめぐるギャップには、両国のエネルギー供給と市場の多元化戦略も反映されている。もし中国が比較的高い価格でロシア産ガスを受け入れた場合、現在大規模な輸入が行われている中央アジア天然ガスにも値上げ圧力が加わることになる。一方、ロシアが欧州より低い価格を中国向けに適用した場合、欧州からの価格見直しの圧力が大きくなるに違いない。
CNPC経済技術研究院の孫賢勝院長は、2012年の中国の天然ガス輸入は数百億元の赤字になったと指摘した上で、もしロシアガスの価格が中央アジアガスよりも高くなれば、必然的に企業は受入可能かどうか考慮しなければならないと述べた。
北米を中心とする「シェールガス革命」がもたらす国際エネルギー構造の大きな変革は、中露間のエネルギー協力を推進する契機になるかもしれない。馮玉軍氏によると、シェールガス革命以降、米国の天然ガス生産量の上昇が続き、中東やカナダのLNGやパイプラインガスに対する依存が下がり、延いては天然ガスを輸出できるまでにまった。国際天然ガス市場は分裂市場から一体化へと徐々に進みつつある。
さらに、馮玉軍氏の分析によると、欧州へのLNG流入が増えたことに加えて債務危機の影響で欧州のエネルギー需要が下がっているため、ロシアのパイプラインガスに対する需要も下がっている。ロシアのパイプラインガスの欧州への輸出量は近年低下しており、欧州の需要家もロシアに価格見直しを求めるようになった。そのため、ロシアはアジア市場に目を向け始めた。このことが中露天然ガス交渉を進展させる上でチャンスをもたらすことになる。
孫永祥氏によると、米国の天然ガス生産量はすでに4年連続でロシアを上回っている。2012年の米国の天然ガス生産量は6,796億m3に達し、天然ガス価格は31%下がった。ロシアの天然ガス生産量は6,550億m3、前年比2.2%の減産になり、輸出量は9.7%減少した。一方、中国の天然ガス需要は依然として上昇を続けている。中国政府はシェールガスの大規模な発展を打ち出し、支援政策を適用しているが、シェールガスの大規模生産は短期的には実現が難しい。中国の第12次5ヵ年規画は2015年に一次エネルギー消費に占める天然ガスの比率を7.5%に高めることを目標に掲げているが、現在その比率は5%足らずでしかない。
中国国際問題研究所の夏義善研究員は、中露天然ガス協力に対して自信を持つべきであるが、焦り過ぎは禁物であると述べ、市場化の原則と多元化の方向性に従い、双方にとって適応と協調が可能な道を模索すべきであるとした。
(新華網 1月30日)