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【省エネ・環境】

中国科学院「スモッグ汚染の元凶は石炭燃焼と自動車」(13/02/19)
2013/3/4
中国【省エネ・環境】

 1月10〜14日に北京・天津・河北地区で発生した今世紀最悪の持続的大気汚染について、中国科学院の専門研究チームは、石炭燃焼と自動車が汚染の元凶であることを明らかにした。

 中国科学院の「大気スモッグの成因とコントロール」専門チームと大気物理研究所の「大気スモッグトレーサビリティ」野外観測プロジェクトチームは今年1月の重度スモッグ汚染の全過程追跡観測分析とトレーサビリティ分析を行った。

 《北京・天津・河北の2013年1月における重度スモッグ汚染過程の分析》と題する報告書を執筆した中国科学院大気物理研究所の王躍思研究員によると、1月中旬の重度スモッグの特徴として、高い湿度と降雨のなかったことが汚染物の堆積・重畳をもたらしたこと、西北の砂塵到来が重なったこと、昼間の二酸化硫黄の値が高い気体が夜間に高濃度硫酸塩粒子物質に転化したこと、石油ガスの揮発物が大量の有機硝酸塩か有機アミンに転化して人体の健康に極めて大きい影響を及ぼしたことなどが挙げられる。

 中国科学院プロジェクトチームは汚染物の成分を分析した上で、中国の中東部地区を席巻した重度スモッグ汚染物の化学組成は英国ロンドンで1952年に発生したスモッグ及び1940〜50年代に米国ロサンゼルスで発生した光化学スモッグ汚染物の混合体であり、それに中国特有のダスト•エアロゾルが重なったとの見方を示し、人為的で粗放な排出と自然生態系破壊の直接的な結果であるとしている。

 石炭燃焼と自動車が北京・天津・河北地区の汚染の主要な元凶である。王躍思研究員によると、北京・天津・河北地区のPM2.5の汚染源を解析したところ、石炭燃焼が34%、自動車が16%で、両者を合わせて50%を占めた。残りの50%の汚染源は工業、外から運ばれたもの、揚塵、飲食等である。北京地区のPM2.5の汚染源を解析したところ、自動車の要因が25%、石炭燃焼が19%(合わせて44%)であり、外から運ばれてきたものは19%に達していた。

 報告書によると、今回汚染が突出した重要な原因は、(1) 主に周辺地区の石炭燃焼によって排出されたSO2が一夜にして硫酸塩に転化した、(2) 窒素酸化物から硝酸塩への転化によってPM2.5の急上昇がもたらされた、(3) 自動車の排気ガスが大気中のNOX濃度の上昇をもたらしたこと、が挙げられるが、しかし、それよりもさらに深刻な危害は大量の「含窒素有機粒子状物質」が生成されたことである。

 専門家の見方によると、北京・天津・河北地区の重度スモッグ汚染を防止するためには工業と石炭燃焼を規制することが必要である。燃焼過程の脱硫・脱硝・除塵に重点を置き、揮発性有機物の排出を規制すると同時に、ディーゼル車の排気ガスや石油製品の品質についても高度に重視しなければならない。

 (中国環保網 2月19日)