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【省エネ・環境】

黄浦江ブタ死骸漂流事件 行政区域を越える環境保護対策を強化せよと専門家 (13/03/14)
2013/3/22
中国【省エネ・環境】

 黄浦江上に漂流する数千頭のブタの死骸は、6年前に太湖で大量発生したアオモと同様に、長江デルタ地区が行政区域の垣根を越えて地域環境協力を展開するにはどうすれば良いのかと、大きな課題を投げかけている。2009年初頭、上海・江蘇・浙江の環境保護部門は《長江デルタ地区環境保護対策協力協定》に調印して、長江デルタにおける環境保護の一体化を推進することになった。しかし、一片の協定だけで環境汚染の再発を避けることは出来なかった。長江デルタ地区の環境協力の長期・有効なメカニズムを確立することは一刻の猶予も許さない。

 もとより環境問題には境界がないが、環境管理機能を履行する政府には管轄エリアの区分がある。「現行の環境行政管理体制は地方政府に地元の環境に対して責任を負うことしか求めず、『家の前だけ雪を掃く』状況に陥りやすい」と清華大学公共管理学院の斉曄教授は分析を示し、そのことが「越境汚染」深刻化の主因であると指摘する。
 国務院発展研究センターの元副主任である陳清泰氏は、行政エリアの区分を越える環境の管理と改善について、発達地区はより大きい応分の責任を負って、長江デルタ地区で率先した行動を取るべきであると指摘する。

 2007年夏、太湖にアオモが大量発生して無錫の飲用水が危機にさらされた。環太湖地区の河川網は互いに連なっており、一つの市だけでは解決できず、統一的な協同行動が必要になった。そのため、汚染防止協同メカニズム、地域生態系補償メカニズム及び環境事件処理協同メカニズムが環太湖において中国で初めて確立することになった。
 また、ライン河の管理ノウハウも長江デルタにとって参考になる。沿岸9か国は「ライン河保護国際委員会」を通じて密接に協力し、上流と下流の各加盟国が関連法規を共同で制定し、工業、農業、生活汚染物のライン河への排出を厳しく規制している。

 2009年に調印された長江デルタ環境保護対策協力協定には、地域の環境参入基準と汚染物排出基準の引き上げ、地域環境経済政策の革新、太湖流域の水環境総合管理の推進、地域大気汚染の抑制、健全な地域環境監督管理並びに緊急連動メカニズム、地域環境情報共有公開制度の完備という6つの内容が盛り込まれている。上海・江蘇・浙江は半年に1回、地域環境保護協力の重要事項について検討している。

 しかしながら、江蘇省環境保護局の幹部によると、長江デルタの地域環境協力の基盤は弱い。早くも2002年には浙江省嘉興市と江蘇省蘇州市が水汚染越境防止制度と水環境情報通報の仕組みを確立していたが、グリーン長江デルタの共同建設において、一片の文書に依存するだけでは不十分であり、統一的に計画、実施することが鍵になる。各地が環境保護面で総合的に考慮し、ペースを合わせることが求められる。そうすることによってようやく汚染防止の協同行動を深層レベルでの展開にまで押し広げ、真の意味での地域環境管理の長期・有効のメカニズムを確立できるのである。

 (新民晩報 3月14日)