1. HOME
  2. 中国 【新エネルギー】

中国
【新エネルギー】

バイオマス発電は産業全体が赤字 江蘇省の13社は生存の危機に直面 (13/03/21)
2013/3/29
中国【新エネルギー】

 バイオマス発電はかつて日の出産業と呼ばれ、持続可能な発展の柱とされていた。しかしながら、江蘇省のバイオマス発電事業は昨年すべて赤字状態に陥り、バイオマス発電所13社は生存の危機に直面している。

 江蘇省では2006年から、くずわらによるバイオマス発電所の建設を開始し、昨年末時点で承認されたバイオマス発電実証事業は合計30件、設備規模は80.3万kWになる。完成・稼動した実証事業は13件で、設備規模は34.1万kW、建設中の事業は3件である。昨年の江蘇省のバイオマス発電量は16.7億kWh、くずわらの年間消費量は360万トンに上り、農民にとって6,500万元の増収になった。

 くずわらによるバイオマス発電所の建設は素晴らしい事業とされていたが、「実際にやってみると、当初考えられていたような容易なものとは程遠いことが分かった」とバイオマス発電所の社長は言う。何よりも投資コストが高く、1kW当たりの建造費は1〜1.2万元に上り、在来型発電ユニットの倍以上になる。その結果、借入金の返済が大きな圧力になってのしかかる。加えて、2012年以降はくずわらの調達コストが上昇して、発電所の経営コストが嵩み、ますます経営難に陥った。関係部局の分析によると、バイオマス発電所の電力価格コストのうち燃料コストが約60%、投資コストが約20%、ランニングコストが約15%を占める。江蘇省能源局の統計分析によると、バイオマス発電所の燃料コストの年平均上昇率は15%以上になる。

 売電価格もバイオマス発電所の収益に影響を及ぼす最重要なファクターの一つである。2010年以前は江蘇省のバイオマス発電所の売電価格は1kWhにつき0.65元と余りにも低く、当時稼動したバイオマス発電実証事業の経営は困難であった。2010年から国はバイオマス発電所の売電価格を引き上げ、発電所の経営環境はある程度改善されたが、近年はくずわら買入価格や人件費の上昇によって、収益の相当部分が相殺され、発電所の経営は再び苦境に陥った。

 バイオマス発電所は乱立傾向にあり、江蘇省北部、山東省南部、安徽省北部の3つの省の境界付近では半径300キロ足らずの範囲に20社以上のバイオマス発電所が集中している。業界関係者によると、バイオマス産業の健全な発展のためには、科学的な配置を進めて乱立を防ぐとともに、くずわら収集システムを完備し、バイオマス発電設備の技術水準を高め、売電価格の水準に適正な調整を加えなければならない。

 (新華日報 3月21日)