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【新エネルギー】

PVと風力発電の筆頭企業に最早見る影なし 泥沼に陥った生産能力過剰問題 (13/03/29)
2013/4/7
中国【新エネルギー】

 3月に入って、太陽光発電大手の無錫尚徳(サンテック)破産の余波も収まらないうちに、今度は風力発電大手の華鋭風電の「会計ミス」が表面化した。一連の荒波の背後にあるのは生産能力の深刻な過剰という現実である。

 「会計ミス」に陥った華鋭風電

 華鋭風電は先日、同社の2011年年報において営業収入が9.29億元、営業コストが6.62億元、純益が1.68億元、過大に計算されていたと発表した。つまり、同公司の上場1年目において業績はすでに様変わりしていたことになり、2011年財政年度の華鋭風電の最終純益は78.3%下方修正された。
 「会計ミス」という言い方に対して、新エネルギー産業アナリストは、風力発電産業は目下不景気であり減益も当たり前ではあるが、このような大きい差額が出るのは、虚偽契約やカラ伝票など不正な手段が取られた可能性もあると指摘する。
 華鋭風電は多事多難であり、創立者で会長の韓俊良は「個人的理由」により辞職を発表し、会長職は大株主で大資本家の尉文淵が引き継いだが、華鋭風電の未来には不透明感が増した。

 華鋭風電は4月2日に2012年の年次報告を発表するが、2012年の営業成績は4.9億元前後の赤字になると予想されている。

 業績の大幅低下の原因は生産能力過剰

 2010年に28億元の純益を上げた華鋭風電が2012年には4億元超の赤字を計上してその業績が様変わりしたことは、中国の風力発電産業全体の発展状況と切り離すことが出来ない。風力発電はすでに原子力発電を上回り、石炭火力発電と水力発電に次ぐ第3の主力電源になった。しかし、近年、風力発電産業は生産能力過剰、困難な系統連系、電力の機会損失、電力価格補助金の不履行などの要因により、風力発電企業の業績が大幅に低下している。

 申銀万国証券の新エネルギー産業研究員である余文俊氏によると、風力発電は当初急速に発展し、設備メーカーが雨後の筍のように出現して、設備の生産量が大幅に増加し、その結果、深刻な供給過剰がもたらされた。

 統計によると、2011年に中国の主要風力発電設備製造業の生産能力は3,000万kW以上に達したが、同年の中国の新規風力発電設置容量は約1,700万kWであり、2010年に比べ6.85%減少した。さらに、2012年には新規風力発電設置容量は約1,400万kWに下がった。国内の風力発電完成機産業の生産能力は今や実需の2倍以上に上っている。

 風力発電と同様に太陽光発電企業も大躍進的な発展から生産能力削減に伴う痛みが始まった。「2011年の中国国内の太陽光発電企業は262社であったが、2012年には112社に減り、半分以上の企業が太陽光発電産業から退出したことになる。それにも関わらず、2012年のPVモジュール生産能力は4,500万kWに達し、2009年の7倍になっている」と、中国太陽光発電産業連盟の王勃華事務局長は言う。

 産業発展方式に対する真摯な反省が必要

 一挙に殺到する盲目的投資は必然的に生産能力の過剰を生む。買い手市場の下で、企業は価格戦に乗り出し、大多数の企業は原価割れで販売する。その結果、2012年には中国の太陽光発電企業と風力発電企業に赤字が広がった。

 華鋭風電も無錫サンテックも中国をリードする新エネルギー企業であるが、韓俊良の辞職も、「PVのゴッドファーザー」と呼ばれた施正栄の失脚も業界の生産能力過剰を受けた萎縮期に生じている。二人の「グリーン英雄」の失意の退場に、新エネルギー産業の発展方式は反省を迫られている。

 太陽光発電と風力発電は氷山の一角に過ぎない。過去数年、不動産市場の炎上や「鉄公基」(鉄道・道路・インフラ)投資の大幅な増加による牽引の下で、非鉄金属、建材、造船などいずれも新たな事業が次々に立ち上げられたが、そのほとんどは生産能力過剰の泥沼に落ちている。新エネルギー産業が生産能力過剰から脱け出すには今後も陣痛が続くだろう。どれほどの企業が彼等の轍を踏むのかは未知数である。こうした産業が再出発して新たな道を歩むようにすること、そして他の産業が同じ轍を踏まないようにすることは、企業及び関係政府部門にとって解決しなければならない課題である。

 (新華網 3月29日)